日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

Miggy Augmented Orchestra "Colorful"

この盤は、Disc Unionの宣伝を見て、気になって買ったもの。
リーダーの宮嶋みぎわは、Vanguard Jazz Orchestraの日本代理人で、1枚めのアルバムがArtistShareからリリース。
さらに、本人持参の先行発売がされ、それが少し安価であるってんで、電車に乗っていそいそ買いに行ってきました。本人には会えませんでした。

メンツは以下の通り。

宮嶋みぎわ(Cond)
Dan Urness(Tp)、David Smith(Tp)、Matt Holman(Tp)、Nadje Noordhuis(Tp)、
John Mosca(Tb)、Jason Jackson(Tb)、Jennifer Wharton(BTb)、Douglas Purviance(BTb)、
Ben Kono(As,Ss,Fl,Cl)、Alejandro Aviles(As,Ss,Fl,Cl)、
Sam Dillon(Ts,Fl,Cl)、Quinsin Nachoff(Ts,Cl)、Carl Maraghi(Bs,BCl)、
Jeb Patton(P:1,3-8)、Migiwa Miyajima(P:2,9)、Jared Schonig(Ds)、Pete McCann(G)、寺尾陽介(B)
Guest from Orange Pekoe
Tomoko Nagashima(Voice:9)


演奏曲はすべて宮嶋のオリジナルで、全部で9曲。
01. Ready ?
02. Colorful by Migiwa Miyajima
03. Captain Miggy's Age of Discovery
04. Find the white line - inspiration on birds
05. The Hi Hat Man
06. Drops into the Sky - dedicated to Kumi Hoshika
07. Awakening
08. Hope for Hope
09. An Ending - I love you

ビックバンド、ラージアンサンブルと昨今の大所帯バンドは、あえて名前を変えて新しいことを演っていることをアピールしている印象があるが、そんな両者の違いを乱暴に書き出すと。

ビックバンドは、エリントン、ベイシーのバンドが代表格のトランペット、トロンボーン、サックスにピアノベースドラムにギターという楽器構成を基本に、音の厚みと勢いによる迫力あるサウンドを基に、ソロイストの演奏に圧倒される

ラージアンサンブルと言われるものは、ビッグバンドとはちょっと異なる楽器編成、緻密でありながら凝ったコード使いと進行、
さらにそれをしっかりと計算し尽くして構成され、ときに意表をつくようなことすらある楽器の割り振りによるアンサンブルで聴かせ、その分温度感は低めになることが多いか。
大半は、ソロイストが入ってジャズの様相を呈すが、そこが聴きどころの大きな部分ではない。

で、この作品。Vanguard Jazz Orchestra 関係者ってこともあってか、楽器編成は、持ち替えは半端なさそうだが、ビッグバンドと大差ないもの。

しっかりとしたビートは維持しながら、複雑な構成の曲を緻密なアンサンブルアレンジで構築、ちょっと高めの温度感で聴かせる。決してECMのような低い温度感には向かわない。

曲によってではあるが延々と熱いソロをたっぷりと聴かせる場面もあり、ソロにオォッと感じることも。
技巧的には、いろいろなギミックが其処此処で聴かれ、刻々といろんなことが起こるが、曲としては一貫性があり、散漫なイメージは感じさせない。

個人的にではあるが両者の溝を埋めるようなビッグバンドとラージアンサンブルの双方の良さを上手く取り込んだ作品として興味深く聴いた。

ベストは6曲めにしましょう。

Miggy Augmented Orchestra "Colorful"(https://www.amazon.com/dp/B07GJM5V9Z/)

永武幹子 Trio "Collection 1"

レギュラートリオに限らず頻度高くNo Trunksでのライブを見ている永武幹子の初音源です。
これまでのレギュラートリオの観戦記は以下の通り。もうちょっと聴いてた気がしてたが3つでした..。
 永武幹子 トリオ (20170322) (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64071218.html)
 永武幹子トリオ (20170826) (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64241452.html)
 永武幹子トリオ (20180428) (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64482369.html)

これらライブの後の2018/05/28(月)に柏Nardisで行われたライブを録音して、CD-Rリリースしたのが本作。

メンツはレギュラートリオである以下の3人。
永武幹子(P)、落合康介(B)、服部マサツグ(Ds)

演奏曲は、1曲を除いてすべて永武のオリジナル。
1 Throw Away
2 Twenty One
3 My Ship
4 I'm Just Awake
5 Grotta Azzurra
6 Gold Has Twelve Fingers
7 Leaving
8 If I WereA Bell

全体的には、いつもの強めのタッチで繰り出されるエモーショナルなフレーズが「ほとばしる」という表現が適切か。

フリーな演奏に行く場面はほぼ皆無で、バップ的に古いスタイルの演奏に傾倒していく場面のほうが多い印象。

6曲めが一番フリーに傾いた演奏で、後半は6/8拍子の西アジアぽい?リズムになだれ込む。
普段のこのトリオの演奏はもう少しフリーの気配が濃いめだと思って思っている。

1曲めの冒頭と最後で、さざ波のようなゆったりとした抑揚を女性的なタッチで奏でていく演奏がちょっと特別感のある演奏。
3曲めのスローな曲でもタッチは強めで押し通している(エンディングは、だいぶ柔らかなタッチになってはいるが。)
だけにこの演奏は、意表をつかれた感じ。

もっとも演奏するたびにどう展開するか演っている本人達も楽しみにしているらしく、上述の3つのライブでも
 おもちゃのピアノ持参、他人の曲とオリジナルを分離したセット構成、前半は即興だけの演奏
と、異なる構成でそれぞれスリリングな演奏を聴かせていた。
なもんで、この演奏も彼らのある時期の一端を切り取っただけということなので、普段の演奏をこの録音で
判断するのもちともったいない。

とはいえ、2曲めを筆頭に、ゴリっとしたベースとドラムに低音の凄みを効かせたピアノというこのトリオの本領発揮的な演奏は充分に楽しめる内容にはなっていると思う。

ベストは、5曲めにしましょう。

中牟礼貞則, 南博デュオ(20180901)

南博さんの本業はピアニストですが、ご本人のhpに書いていた文章がことのほかおもしろく、それらが3冊の書籍になっています。(正確には、パリスはfacebookに書いてました..)
 「白鍵と黒鍵の間に」(https://www.amazon.co.jp/dp/4094085262/)
           (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/53793479.html)
 「鍵盤上のU.S.A.」(https://www.amazon.co.jp/dp/4093878544/)
          (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/57302800.html)
 「パリス」(https://www.amazon.co.jp/dp/4905447941/)

この最初の本「白鍵と黒鍵の間に」では音楽を生業にすると決意してから米国に行くまでの間のことが書かれており、ちょうどバブル真っ盛りに銀座の高級クラブでの体験を軸にした内容でした。(記憶)
そこに、頻繁に God Father 愛のテーマ を弾かされて辟易したような話が書かれておりまして,,。

そんなのを読んだら、そんな演奏を聴いてみたいと当時、ひそやかに思っていたら、ちょうど10年前のある日、1フレーズだけ余興で弾いてくれたことがありまして、これが個人的にはかなりツボでして..
 "BOZO (20080712)" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/54056703.html)

いつの日か、銀座のクラブを再現するライブなんてものがあればいいのにと夢想しておりましたところ約10年の時を経て実現したのが今回のライブでありました。

マスターからの企画提示を南さんが快諾したところまではすんなりだったらしいが、共演者を探すのにちょっと苦労したようだが中牟礼さんがokしてくれて、今回のライブが実現したとのこと。

しかも、中牟礼さんと南さんの共演はこれが初めてだそうです。

中牟礼貞則(G)、南博(P)


20時を10分も過ぎたところから、南さんのMC(本の話、当時の逸話など)を曲ごとに挟みながらの演奏。

演奏した曲は以下の通り。
1st set
Misty
Love Theme from The Godfather)
The Girl from Ipanema
Tenderly

2nd set
Stardust
My Way
Two Degrees East Three Degrees West(John Lewis)
Softly As In a Morning Sunrise

Encore
On Green Dolphin Street

曲の大半は、誰もが聴き知った名曲で、南さんもMCで
 「弾くのは食傷していたがあらためて弾くととても良い曲であることをあらためて認識した」
と言っていたが、曲のクオリティが高く、それを名手2人が料理していく。
しかも今回の企画が企画なので、テーマを崩さず、アドリブも曲の雰囲気を崩さずそれでいて両者の個性もしっかり出てくるような演奏は、これは鳥肌もんでありました。

演奏時間は、両セットとも40分程度と短めではありましたが、濃密な演奏を堪能させていただきました。

次回、この2人のライブの日程は決まっていますが、こんな選曲での演奏は絶対に望めません。
今回逃した人は、思いっきり悔しがってください(笑)

後から聴いたんですが、中牟礼さんは当時こういう仕事は一切していなかったそうです。

Happy Hour "Last Order"

前作は、2015年にリリースされていましたが、そのときは片山広明名義でアルバムタイトルが"Happy Hour"でした。
 "Happy Hour"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63197838.html)

このメンツでライブも見ていまして、その時の記録が下記。
 “Happy Hour"(20150626)(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63249022.html)

これ以降も、コンスタントに西荻窪"Clop Clop"とかで演奏をしているのは知っていましたが、あまりいろんなライブハウスに行きまくっても際限ないので赴いてはいません。
そんなこんなで、4年ぶりの新作が出たってんでいそいそと買ってきた次第。

メンツは不変の以下の4人。
片山広明(Ts)、石渡明廣(G)、早川岳晴(B)、湊 雅史(Ds)

演奏曲が、以下の通り。片山さんの好きな曲が並んでいるような感じ。
Drunkensteinなんて古い曲を演っていて、ちょっと楽しみ。

1. Lady's Blues
2. Drunkenstein
3. A-zone
4. Hymne a l'amour
5. Hallelujar
6. りんご追分

石渡の特徴的なギターによるイントロからそろっとドラムが紛れ込むと、片山のサックスがビビっとリフを挟み込むオープニング。
この気だるい雰囲気がなんとも味わい深い。
石渡の露払いに片山のちょっとこぶしの効いたブルージーなサウンドが心地良く響く。

2曲めが、"そーかなあ"(https://www.amazon.co.jp/dp/B0000564O7/)に入っていた古い曲の再演。
片山の奏でるイントロから、石渡とのユニゾンでのテーマ。続く石渡のソロでの早川の掛け合いと息を持つかせぬ展開。

以後も、石渡、早川が肩で風切ってずずっと前に出てくると、ここぞというところで、満を持して親分片山登場と言った、そんな流れを想起する演奏が繰り広げられる。
そんな硬派な雰囲気を醸しながら、それでいて、どことなくヨレッとした雰囲気を感じさせる(実際の演奏はそんなことはないが)、そんな作風がlast orderの酩酊感を醸していて楽しい。

後半が、愛の讃歌、ハレルヤ、リンゴ追分と濃い演奏の3連荘で締めくくられ、いずれも、ライブでは演奏頻度の高い曲と思われるが、やり過ぎなほどにたっぷりと情念を湛えたドロりとした演奏で、本領をたっぷりと楽しませてもらった、お腹いっぱいてな様相。

ベストは、そんな本領曲から5曲めを選びたいと思います。


Happy Hour "Last Order"(https://www.amazon.co.jp/dp/B07F52GWMT/)

B'Ridge "B'Ridge"

この盤は新譜漁りをしているときに見つけて、佐山さんのピアノに若手のリズムが絡む演奏がどんなことになっているのか気になったもの。

織原は、アルバムでもライブでも多数聴いていて、アルバムの最近作は橋爪亮督のアルバムに入っていました。
 "Incomplete Voices"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64159819.html)
福森は、自blogではCRCK/LCKSの石若のトラで演奏したNegiccoのアルバムで聴いています。
 "Live at UMEDA CLUB QUATTRO, LIQUIDROOM" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64536045.html)
が、リーダーの佐山さんの入ったアルバムって1つも紹介されていませんが、Ponta BoxはいくつかCDを持ってて、多少なりとも聴いています。

佐山雅弘(P)、織原良次(B)、福森康(Ds)

演奏曲は、佐山5曲、織原5曲のオリジナルに、Esperanza Spalding、Jaco Pastoriusで全部で12曲
1. Ballad for Yasushi
2. しなやかな指をもちなさい
3. Radio Song
4. Space Bridge
5. umi
6. sora
7. riku
8. 鉄と火花
9. Lullaby of Bassist
10. ヌデレバの追走
11. 人間が住んでる
12. Three Women

福森のドラム。
暴れまわるというより音の散弾を撒き散らしていくようなイメージ。ていねいに端正にジワリと攻め立ててくるような演奏。
頭でっかちではないが知性を感じさせるようなドラミングでいながらグルーヴ感はしっかり持ち合わせている。

織原のベース。
タッピングによる高音でバッキングをしていく2曲め、高音での美旋律が印象的な9曲めと、基本的には高音域でのメロディアスなフレーズを多用しながら良く歌う。
後述の通りピアノの音数が少なめな分、ベースが全体のイニシアチブを取っているような印象すら感じさせる。
織原の、軽やかなサウンドが全体を軽やかに聴かせる効果はありそう。
もっとももともとが重い曲調はほぼ皆無なのではあるが、それでも聴きやすい雰囲気を醸しているところはあると思う。

そして、佐山のピアノ。
テーマとあとは要所って程度に、必要以上の音は出さないような印象。
そのフレーズは現代音楽を彷彿とさせるような知性的な表現を織り込んだ、それでいて渾身と表現したくなるような音を繰り出してくると言った感じで、とても奥深いパワーを感じさせるような音を繰り出す。

当然、3曲めのソロとか7曲めのように、ピアノが前面に出てくるものも含まれるが、全般的にはベースより半歩か一歩くらい下がったような立ち位置という印象。
それでいて存在感はしっかりあって、この辺が佐山さんの巧さを感じさせるところか。

全体に知的な印象が勝ったような文章になっているが、実際は程よくノリのあるメロディアスな演奏で気持ち良く聴いていられるような演奏。

ベストは、Esperanza Spaldingの3曲め


B'Ridge "B'Ridge"(https://www.amazon.co.jp/dp/B07C5NSSNQ/)

Underground Funk Universe "Underground Funk Universe"

この盤は、中央線ジャズど真ん中なメンツで買いを決めたもの。
林、片山、石渡、早川、湊、後藤、藤掛..と知った名前がずらっと並ぶと壮観ですらある。
もっとも、音の予想も明瞭ではあるが..。
藤掛さんが主宰するFULLDESIGN RECORDS(http://fulldesignrecords.com/)からのリリースで、過去にどんなアルバムを買っているか丹念に探ると8作もありました。
 "Alien's Social Dance Party"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/52905855.html)
 "8Seasons"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62310970.html)
 "トリオねじ×林栄一"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62373668.html)
 "K.O."(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63350019.html)
 "@驢馬駱駝"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63544529.html)
 "トリオねじ×坂田明"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63566354.html)
 "Trio Edge"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64055424.html)
 "Inside or Outside"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64294220.html)

こうやって眺めると、FULLDESIGNオールスターズ的な面々とも言えそう。
林 栄一(As)、片山広明(Ts)、辰巳小五郎(Tp)、後藤 篤(Tb)、加藤崇之(G)、石渡明廣(G)、早川岳晴(B)、湊 雅史(Ds)、藤掛正隆(Ds)、桑原延享(Tp,Voice)

演奏曲は、後藤3曲、早川2曲、早川,藤掛共作1曲に、インプロビゼーション2曲という構成。
1 Gokvise 1
2 Station Eleven
3 三陸 Fight Song
4 Anthem (part1)
5 The Six
6 Gokvise 2
7 Como Esta Krakow
8 Anthem (part2)

林、片山の2サックスの競演から始まる冒頭から、8ビートのタイトル通りにファンク色の濃い演奏が延々と繰り広げられる。
6曲めはLed Zeppelinにこんなリズムのドラムが打ち鳴らされる曲があったよう..。

ツインドラムの分厚く重量感のあるリズムに5つの管楽器が咆哮をぶちまけるテーマから、林、片山を筆頭とした各メンバーのソロへ、
そのメンバーの各人が各人の個性を爆裂させ、主張しあい、俺が俺がのカオスに陥ったようなソロの応酬へとなだれ込む。

林も、片山も、後藤も、石渡も、加藤も、早川も、一聴してわかるような強い個性のある奏者であるが故に、そんな面々が積極的な主張を繰り広げまくったらどうなるか。
もちろんテーマがあって、キメもあって、8ビートの強力なリズムがあってと、中央線ジャズとしての体裁は取られているので、そのビートに身を委ねていればその楽しさは存分に享受できる。

それにしても、中央線ジャズな面々は大所帯でドビャーッとやる演奏が好きな人が多いとつくづく感じ入る。

ベストは、イントロのツインドラムが格好良い7曲めで。

Underground Funk Universe "Underground Funk Universe"(https://www.amazon.co.jp/dp/B07D9R7V38/)

永武幹子, 岩見継吾デュオ 独壇場+ (20180813)

永武さんのライブを見るのは、今年5月の増尾好秋とのデュオ依頼。
 "永武幹子+増尾好秋(20180521)"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64503352.html)

このときのライブは独壇場の拡大版でしたが、今回も独壇場枠での開催。
No Trunksでの月曜のライブを「独壇場」と名付け、若手ミュージシャンがソロかデュオで21時から1時間1セットの演奏をするライブです。

舞台セッティングは、最近多いピアノを左側に移したもので、ドアの前にベーシストが立ちます。

ほぼ定刻に、「以前セッションをしたことはあるが、ちゃんとした形での共演は初めてである」とのMCから演奏スタート。

粒立ちのあるピアノに粒立ちのあるベースでの応酬が楽しい1曲めから、美旋律をしっとりと奏でていく2曲めと、幅広い曲調の演奏を取り込んだ選曲。

岩見の弦をネックにあててバチバチ言わす奏法を多用して永武のピアノを煽る、それに呼応してダイナミックな美旋律から速いフレーズへと、変幻自在なソロを繰り広げる。
そして、しっとりめの曲では絶妙のコンビネーションで聴かせるデュオ演奏の美しさ素晴らしさにうっとりさせられる。
途中エンディングの直前で永武のエモーショナルな演奏に岩見が入る隙を延々見定めていたりと、初顔合わせの予定調和的演奏に陥ることなく、ヒリヒリするようなスリリングなとはいかないがその場その場で双方が双方の演奏に呼応した演奏を繰り広げているのがしっかり感じとれる。

曲は、Carla Bley, Misha Mengelberg, Duke Ellington, Pharoah Sanders等のジャズメンオリジナルを中心にしたもので、オリジナルは皆無だったと記憶。

本編最後のPharoah Sanders の "Hum Allah Hum Allah Hum Allah"では両者が歌まで歌いだしての、結構な盛り上がりに聴く側も心地良くどっぷりと聴き入る。

アンコールにもしっかり応えてくれ、ブルースのリクエストにガッツリの長いベースソロのあとに、フリー要素を少し感じさせるピアノソロ。
続いて、ピアノとベースのハードな応酬になだれ込むという展開で半分即興半分既成曲(Straight, No Chaser)のような演奏を楽しませてくれて大団円

お客さんもこの時期には多い16人いたんじゃないかという盛況具合、アンコール含めて1時間強のたっぷりと演奏してくれました。

"Double Rift" CRCK/LCKS

CRCK/LCKSは、「Saxの小西がリーダーの若手の敏腕ジャズミュージシャンが集まって結成したポップスのバンド」という紹介になると思います。

CRCK/LCKSのアルバムはこれが3作めで、過去の紹介は以下の通り。
 "CRCK/LCKS"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63750539.html)
 "Lighter"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64210000.html)

さらに、アイドルグループのNegiccoのアルバムに参加したのがあって..。
 "Live at UMEDA CLUB QUATTRO, LIQUIDROOM"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64536045.html)

と、忙しい面々だと思うが、このバンドも精力的に活動を続けているというのは嬉しいところ。
もっとも、ボーカルが入った方が万人受けはするでしょうから、人気も出ているってことなんでしょう。

メンツは以下の通り。小西がリーダーだが他の面々が凄いというのが個人的感覚。
小西遼(Sax)、小田朋美(Vo,Key)、井上銘(G)、越智俊介(B)、石若駿(Ds)

演奏曲は以下の通り。1曲めは本当にイントロ程度の内容でした。
1 Introduction
2 O.K.
3 No Goodbye
4 Skit
5 窓
6 たとえ・ばさ
7 zero
8 病室でハミング
9 Shower

普段は、ほとんどインスト(歌なし)の音楽ばかりを聴いているが、このバンドもそうだが、たまに日本語の歌詞のある曲を聴いている。
が、基本的に歌詞の内容をじっくりと聴いていることは、ほぼ皆無で、ほとんど演奏だけを楽しんでいて、歌声も音として楽しんでることがほとんど。
ではあるが、本作の前半は軽めのお洒落な内容で、後半はちょっと重ためな歌詞か。というのは気になってしまった。

2曲めが「奥渋、ニコタマ」、3曲めで「狂って」、7曲めで「ゼロになる」、8曲めでは「レコードに針を心臓に針を」...♪

演奏は、インテンポでのハリのあるビートから、捉えどころがないくらいに暴れまくる、微妙かつ大胆に抑揚をつけた石若のドラミングに。。。

シンセベースも使っているのかドロンとした低音が多めか、エレベでのメロディアスなソロも聴かせる越智のベース。
そんなリズムに乗っかって、小田のエレピを中心としたキーボードによる曲の核になるようなバッキング、エレギによる印象的なリフを中心に、曲によってアコギも披露している井上のギター。
さらに小西のエフェクト的サウンドが音の厚みを載せていく。
本業のサックスは、最後の曲の最後だけだったんじゃないか?

7曲めは、小西のエフェクト音を大幅にフィーチャーしたもの。
続く8曲めは、井上のギター(これがまた良い演奏)を中心としたアコースティックな演奏からと、演奏のバリエーションの幅の広さからして、まったくもって飽きさせないサウンド。
演奏だけで満足できるとは言わないが、この演奏があっての極上のポップスとは言える。

その最後の曲だけ小西が歌っているが、バンドとしてのあり方を示唆するという意味で理解はするが、いらないかなぁ

ベストは、2曲めでしょう。


"Double Rift" CRCK/LCKS(https://www.amazon.co.jp/dp/B07F835C67/)

"MAZIWARIS" MAZIWARIS

板橋文夫トリオのドラマーである竹村一哲、林栄一のGatos Meetingでトランペットを吹いている山田丈造、CRCK/LCKSのベーシストとして活躍している越智俊介、という個人的にもちょっと気になっている若手が3人も入ったバンドのアルバムが出るってんで、これはすぐにで入手したいといろいろ調べていたら、ちょうどこのメンツのうちの2人が出るライブがあったので、ライブ観戦を兼ねて購入してきたもの。
その時の実況は
 山田丈造, 碓井佑治デュオ 独壇場+ (20180709) (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64546780.html)

この4人は北海道出身で、幼なじみを含む古くから一緒に活動をしていたらしく、他にもベーシストの瀬尾高志、ピアニストの石田幹雄と、最近の若手に北海道出身で活躍が目立つ人が多いことを
考えると、日本のイスラエルになってきているのか!?とか考えてみたりw

上記の通り、3人はそれぞれ別の音源で聴いている面々ですが、ギターの碓井さんは前回のライブで初めて聴いた人。
竹村一哲(Ds)、山田丈造(Tp)、碓井佑治(G)、越智俊介(B)

演奏曲は、碓井3曲、竹村3曲、山田2曲、越智1曲とメンバーのオリジナルだけでの全部で9曲。
先日のライブでは、ジャズメンオリジナルを入れていたので、ライブとも若干雰囲気は異なるアルバムと推測。
1.Summer Samba
2.Ochi's Blues
3.Shining Breeze
4.雀百まで踊り忘れずロック
5.フードファイターうすい
6.丈造スペシャル
7.Last Train
8.さよなら
9.Smoothness, Fascinated,Ripeness

竹村一哲の骨太で破壊力のあるドラムと、越智俊介のうねりながらよく歌うベースとが織りなすロックテイストの高いリズム。
ちょっと歪ませた音色を駆使した、出自がいかにもロック(世代的にギター弾く人の大半はロックから入っているとは思うが。)なサウンドの碓井佑治のギター。
2曲め前半のカッティングの格好良さ、5曲め前半のブルース感たっぷりのソロが素晴らしい。
キレの良いパリッとしたトランペットが冴え冴えとした音を絡めてくる山田丈造。

曲調も、そんなロックテイストのものに、ポップな雰囲気も入った明るい曲調が多めの8ビートを中心にしたもの。

それぞれの演奏を言葉にしていくと、ロック以外の何者でもないような印象ではあるが、それでいて全体的にはロック色に塗り固められた演奏になっていないのは、それぞれがジャズの素養を持ったミュージシャンが故のマジックか。

ベストは、8曲めにしましょう。

"MAZIWARIS" MAZIWARIS(http://ittetsu2.blog.fc2.com/blog-entry-54.html)

原田依幸、片山広明 (20180721)

生活向上委員会大管弦楽団を構成していた2人の共演は、噂によるとその時以来らしい。
そんな2人のデュオがあるってんで、何をも差し置いて赴いた次第。

生活向上委員会大管弦楽団では、当時アルバムを2枚リリースしていてCD化もされています。
 "This is Music is This!?"(https://www.amazon.co.jp/dp/B000UUOK1A)
 "ダンス・ダンス・ダンス"(https://www.amazon.co.jp/dp/B000UUOK1K/)

自blogでは、初期に
 "生活向上委員会大管弦楽団"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/8022528.html)

ちょっと前に復刻されたNYでのバージョンも所有しています。
 "生活向上委員会ニューヨーク支部"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63896773.html)

当時、NHKにも出てました。
 https://www.youtube.com/watch?v=XYg8-xIlkko


ピアノはほぼ定位置のまま。右端に椅子が置いてあって、こちらが片山さんが座る場所のよう。

定刻を10分も過ぎたところで、両名が徐に前へ出てきて、MCもなく音を出し始める。
拍手をする隙間すらなし。

原田さんは、下駄履き(!)で、下駄を脱いでピアノに対峙する。

弱音器を駆使して、強いタッチとの音の強弱でメリハリをつけつつ、フリースタイルのフレーズをガンガンと繰り出す、年齢をまったく感じさせない原田のピアノ。

そんなピアノに機敏に反応していく片山のサックス。
原田のフレーズに呼応して、自分の音、しかもかなりゴリゴリな気合いの感じられる音、を紡ぎ出していくような感じで、表層的には絶妙な交歓と言いたくなるようなものではあるが。
実際のところは、素晴らしいコラボレーションと言うよりは、喧嘩とまではいかないが、ある種の対決ムードが漂っていたような気配は否めず。
双方が双方の音に良い意味で反応していくというよりは、あぁ来たらこう返すといった対峙的雰囲気すら感じられたか。
それでいて、良いバランスで絡んでいるように聴かせるのは百戦錬磨のプロフェッショナルなところなのかもしれない。

開演前にほとんど会話してる感じでもなく、幕間は少し話していたようにも見えたが、終演後の会話は、双方の演奏を労う感じてもなく、片山さんがさっさと帰る直前にちょっと話す程度。

短い演奏が終わったあと、ちょっとイラッとしているようにすら見える後姿。
客の少なさにイラついていたのか、長年共演していなかった何かが残っていたのか。

この後は絶対ないだろうなと言う意味では貴重な場面を目の当たりにしたと言えるのか。
1stセットが30分程度、2ndセットが15分というアンコールの拍手すらできる雰囲気でなく終演。
聴衆は、5〜6人といったところ。

ある程度はこんな展開を覚悟(期待)していたので文句はないが…。

いろんな意味で凄いライブを堪能させてもらいました。
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