日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

"Time Remembered" 須川崇志 Banksia Trio

須川のリーダー作を紹介するのはこれが2作め。前作は
 "Outgrowing" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64688221.html )
トリオとしては、Ictus Trioの下記が直近の作品だが
 "ICTUS" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64398605.html )
古くは、桑原あいの作品があり、これが個人的には、初須川ということになる、
 "Love Thema" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63152665.html )

須川のサウンドはライブでも多く聴いているが、本作はライブでも聴いたことがない、林正樹をピアニストに迎えた作品。
林のアルバムも実は多く聴いていまして、ざっと並べて以下のような感じ。
 "Double Torus" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61724220.html )
 "El retratador" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62617345.html )
 "Pendulum" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63495170.html )
 "Lull" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64417037.html )

ここに石若駿を迎えた、かなり強力な布陣でのトリオです。
須川崇志(B)、林正樹(P)、石若駿(Ds)

演奏曲は、須川3曲、石若3曲、林1曲のオリジナルに、スタンダードを入れた全部で8曲。
1.Time Remembered
2.Yoko no Waltz
3.Nigella
4.Banksia
5.Under the Spell
6.Lamento
7.Largo Luciano
8.Yoshi

全体的な印象としては、クールだったりシリアスな雰囲気が前面に出ている、東鉄な美しさを持った作品というのが第一印象で、温度感は総じて低めという印象を持つということにはなる。
が、林のピアノが奏でる旋律にそこはかとなくほの温かいものを感じるのも事実で、個人的感覚としては、このピアノの醸す温度感で、そう冷ややかなものではなくじんわりと温かなものを感じるようなアルバムと受け取っている。

個々人の演奏も、名手揃いなので満足度の高い演奏であるのは当然として。
須川のピチカートでの音の強さ、表現の盤石さは言うに及ばず。
ボウイングでの圧倒的な表現力に脱帽。
特に 6曲めで冒頭からのがっつりと披露している渾身のボウイングが圧巻。
ここでの石若は、石若の繊細さがよく出ているドラミングで、
これまでの演奏の中でも際立って(肯定的な意味で)温度感の低いドラムを叩いているのではないかと感じられる。
細心の集中力で音を出しているような気配すら感じるような、そんなドラムを聴けるのは、ちょっと珍しいように思う。

美しさとほの温かさとが醸し出す、程よい緊張感が心地良い、素晴らしい作品に仕上がっている。
今年の年間ベストの有力候補です、これは。

ベストは3曲めにしましょう。
"Time Remembered" 須川崇志 Banksia Trio (https://www.amazon.co.jp/dp/B082JRMNX1/ )

"Folky Talkie" 渡辺翔太

渡辺翔太のリーダー作を買うのはこれが2作め。
前作は石若駿参加を見つけて買いを決めていますが、本作も同様の理由と言って良いでしょう。
その前作の紹介は
 "Awareness" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64531360.html )

メンツが前作と同じで、石若、若井に、ボーカルの吉田も同様に参加。
渡辺は若井とともに1988年生ということで、若手だけのメンバーでコンスタントにアルバムを作れているということになる。
渡辺翔太(P)、石若駿(Ds)、若井俊也(B)、吉田沙良(Vo:3-5,8,10)

演奏曲は、すべて渡辺のオリジナルで全部で10曲。
01 Aaron (prelude)
02 Prisoner of
03 回想
04 Circle
05 Voice
06 Time-lapse
07 Forbidden Fruits
08 Milhaud
09 Nathaniel
10 君を抱きよせて眠る時

冒頭がピアノソロでの演奏で、タイトルからAaron ParksかAaron Goldbergへのオマージュと思いそうだが、たぶんAaron Choulaiなんじゃないかと思うw
3曲めからの数曲で、スキャット的なボイスが入り、最後の10曲めではしっかりとした歌詞のあるボーカルが入る。
前作ではたしか2曲での起用だったはずなので、渡辺翔太の音楽にとって吉田沙良のボイスの重要性が増してきていると推測できる。
全体的に曲調が歌のないポップスと言っても過言ではないような感じのものが多く、そのために吉田のボイス、ボーカルがランダムに入ってきても違和感のないということなんでしょう。
逆に、ジャジーな雰囲気を感じさせる場面はあまり多くない印象か。
即興と思われるパートも、気合の入った演奏を仕掛けてくるリフなんてのもあるが、なんだか印象が薄いというか..。

ピアノはテーマもソロもメロディアスな旋律を柔らかめなタッチ奏でるスタイルで、程よくハードでダイナミックな演奏も駆使するが、基本は非常に美しい音色で聴かせるところに持ち味がある印象。
エレピを一部では利用して音の変化を作っているが、それが曲調と相まってか格好良くハマっていて好印象。
若井俊也の太めな音色でどっしりとした迫力を聴かせるたおやかなベースが全体のポップな感じに加担している部分もありそう。
ベースの支配力が強いわけではなさそうだが、全体にじわじわ効いているように感じられる。
ここでの石若のドラムは、あまり石若固有のグルーブ感は希薄なオンビート基調のドラミングを披露している場面が多い印象ではあるが、部分部分で石若グルーブをしっかりと発揮する場面があるのでそうもの足りない印象にはなっていないか。

ベストは2曲めにしましょう。

"Folky Talkie" 渡辺翔太 (https://www.amazon.co.jp/dp/B07Z75ZYNT/ )

永武幹子, 江藤良人 デュオ独壇場+ (20200203)

独壇場は、月曜の21時からの1セットだけのライブで、若手ミュージシャン数人が順繰りに出演して月1回程度開催されている。
過去にも永武の独壇場は見ていて、直近はソロ
 (20191118) https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/471625745.html
デュオは、2018年夏の岩見とのライブを聴いています。
 (20180813) https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64575612.html

今回は、最近気になるドラマー江藤良人とのデュオ。
江藤の演奏は、直近ではなんとなんとのRosario Giuliani, Fabrizio Bosso Quintet で聴いています。
 (20190919) https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/470325767.html

開演30分前に到着、先客が5-6人いたと思う。
ピアノは定位置で蓋を開けた状態、ドラムは左側で自前のドラムセットを持ち込んでいました!! 1時間のライブなのに凄いことです。

ほぼ定刻に演奏開始。
演奏したのが明るめの雰囲気の曲が多め、テンポも全体的に速めなものが多かったか。
たしかオリジナルが1曲で!他は聴き知った曲が大半で全部で6曲演奏してたと思います。
元々、強めのタッチでガシガシ攻め立てるピアノの永武だが、速いテンポで音数の多いフレーズもしっかり速弾きでこれでもかってくらいアグレッシブに鍵盤を叩きまくる。
4曲めだったかOrnette Colemanのround tripで、さいしよのテーマはまっとうなテンポだつたのが、後半で江藤がテンポを「意図的に?)グッと上げて最後のテーマの速いこと速いこと、良く指がついていくなと感心しきり。
さすがにその後少し長めのMCで休憩したあと、次の曲はバラードを選んでました。
バラードと言っても、冒頭はゆったりとした感じに始まるが、テンポこそ変わらないものの徐々にテンションが上がってきてダイナミックな演奏へと変わっていく。
繊細にメロディアスでありながらピアノを気持ちよく乗せながら煽っていくようなドラミングで、終始テンションの高い演奏をサポートしていく江藤のドラム。
曲がの印象に綺麗に乗っかっていながら曲を先導していくようなスリリングでありながらなんとも心地良い。

アンコールにも応えてくれて、軽く終わるかと思ったら、ここでも熱い演奏をたっぷりと演じ、後半のピアノソロでは江藤が手拍子を促す場面も!
1時間を少し越えるたっぷりと演奏を聴かせてもらいました。
最終的に10人くらいの聴衆だったか。

前日が深酒(Megの会 VS No Trunksの対抗戦がありました)だったので、早々に辞してきました。

"Temporary vol.2" CRCK/LCKS

CRCK/LCKSは、Saxの小西がリーダーの若手の敏腕ジャズミュージシャンが集まって結成したポップスのバンドという紹介になると思います。

CRCK/LCKSのアルバムはこれが5作めで、過去の紹介は以下の通り。
 "CRCK/LCKS" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63750539.html)
 "Lighter" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64210000.html)
 "Double Rift" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64572120.html)
 "Temporary" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/472752629.html)
今日紹介は、昨年末に、10月,12月と立て続けにリリースされた"Temporary"の2作めのほう。

メンツはここのところ不動の以下の5人
小田朋美(Vo,Key)、小西遼(Sax)、井上銘(G)、越智俊介(B)、石若駿(Ds)

演奏曲は以下の通り。
01 かりそめDiva
02 IDFC
03 interlude#1
04 Crawl
05 interlude#2
06 素敵nice
07 Rise

前半が、前作よりノリの良い曲が入っていて、聴いていて気分が高揚する。
後半は、多少メローな方面に振った曲になっていく傾向だが、いずれも最近のCRCK/LCKSの作品らしい選曲と言いたい。
そんななんで石若の叩くドラムがオンビートになる頻度は高く、叩きまくってはいるが独特のビート感に身を委ねる快感は多少減じているか。
ボーカルがお約束的に電気処理している曲がいくつか入っているが、小田の声は個人的には生声のままのほうが魅力的だと思うが…

この盤では井上のギターが良い味を出している頻度が高く、カッティングから5曲めの小品でのソロから格好良い演奏を楽しむことができる。
しかし、2曲がとても短いのもあってここでの7曲はあっという間に終わってしまうわけで、そこがちょっと不満ではある。
ボーナストラックで、SongBookに入っていたChristmas Song のクラクラバージョンを聴けるが、元曲は電気処理したボーカルだったが、こっちでは生声で録られていて、ここでのポップなアレンジと相まってこっちのバージョンのほうが個人的には好感触

ベストは、6曲め

"Temporary vol.2" CRCK/LCKS (https://www.amazon.co.jp/dp/B07ZGMB63G/ )

"Beyond The Mirage" 日野皓正

日野皓正のアルバムを紹介するのは、これが3枚め。
 "Re-Cover" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63352854.html)
 "AFTERSHOCK" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63809097.html)
"AFTERSHOCK"で日本の若手ミュージシャンを多く起用していたのですが、本作でも同様に若手ミュージシャンを多く起用しています。
ピアノの石井はずっと一緒であることがわかり、彼への信頼感の尋常無さがうかがえます。
が、最近、高橋佑成に変わったはず。

そんなメンツは、加藤一平、石若駿の参加が個人的には映えます。
日野皓正(Tp)、加藤一平(G)、石井彰(P)、杉本智和(B)、石若駿(Ds)

演奏曲は以下の通り、すべて日野のオリジナルです。
01 Beyond The Mirage
02 Long Branch
03 Shun
04 Rumson Rain
05 Buttonwood
06 Vanish
07 Aftermath
08 Still Be bop
09 Zodiac
10 Oneiros

冒頭、石井の弾く電子オルガンによるビャーっというサウンドに、まずは耳を持ってかれる。
そしてそこに、石若の自由度の高いドラムが絡み込んでくる。
これがあるとないとで雰囲気はだいぶ変わってくると充分に感じられる。
おそらく日野もこのドラムサウンドあってのレギュラーバンドであることを自覚しているんじゃないかと思うが。
その日野も、年齢を考えたら平伏するしかない、渾身のブローで果敢に応戦。
インパクトのある曲は、そんなオルガンにエレベの入った、電気Milesの発展系といえるサウンドにあるのは仕方がない部分もあると思うが、なかには、アコピ、アコベを起用した曲なんてのもあって一筋縄ではいかない。
そして、いずれの曲でも張りのあるサウンドを聴かせている日野のトランペットが冴え冴えしい。
加藤のギターは、個人的感覚としては加藤らしさは存分に発揮されているとは言い難いところも多少なりとも感じられるが、Nouonでもそうだが、新しい側面を見せてきているというのもありそう。
8曲めでは、前面に出て独特のエモーションな演奏を聴かせる。
アルバム全体を通してスローだったりバラードな演奏を排除した、攻め姿勢の強いサウンドで、日野のとんがった格好良い演奏をたっぷりと聴くことができ満足度が高い。

ベストは8曲めにしましょう。
"Beyond The Mirage" 日野皓正 (https://www.amazon.co.jp/dp/B081Q8W21Z/ )

松丸契ソロ (20200127)

松丸契の演奏を聴くのは、これが2回め。
前回は、mo℉e というバンドで昨年9月に聴いています。(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/470295189.html )
それと、アルバムが1枚 THINKKAISM”(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/470849815.html )
今回はソロでの演奏ってことで、どんな松丸ワールドが聴けるか興味津々に、雪の予報のなかいそいそと出向いた次第。

定刻を微妙に過ぎたところから演奏開始。
椅子に座ったままおもむろにサックスを吹き出す。
最初は単音を、ブォーブォーブォーっと吹き鳴らし、徐々にフレーズにしていくようなイメージ。
すぐにピアノに対面するようにして、ピアノに向かって音を出す。
すると、ピアノ線がその音に共鳴して小さな音でビーンと残響を響かせる。
開演前にピアノの蓋を開けて準備していたが、それがこの効果を生み出していたってこと。

印象としては、3章節分くらいのフレーズを即興で奏で、息継ぎのタイミングでリセットして次の即興フレーズに進む、そんな演奏を延々と繰り広げていく。
そしてその間に、前述のピアノの残響だったり、実際にピアノの鍵盤を叩いて音を出して
アクセントをつける。

演奏前に、ソロで人前で演奏するのは初めてであること、
これまでの演奏は他の演者のサウンドを聴きながら、その内側から出てくるような演奏を心がけてきたが、今回はその相手がいないことになる。
なんてことを話していたが、聴いていて外向き、外側からのサウンドという印象はあまり感じられず、自身の前のフレーズをきっかけにした内側からのサウンドという印象を感じたが..。

約45分強の完全即興をたっぷりと堪能してきました。
夜から雪という予報にも関わらず、初来店という人複数を含んで6〜7人の聴衆でした。

"Answer to Remember" Answer to Remember

石若駿の新プロジェクトは、知古の若手ミュージシャン多数と共演したもので、SongBookシリーズが陰であれば、こっちは陽に当たる作品とのこと。
そんなインタビューはここ(https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/23606 )を参照。

メンツは曲ごとにいろんな人が入っているようですが、ジャケに記載の文字が読みにくいので詳細は割愛。
曲ごとのフィーチャは曲タイトルに書かれているのでそれを参照。
石若駿(Ds,etc)

演奏曲は以下の通り。
1.Answer to Remember
2.TOKYO feat.ermhoi
3.Still So What feat.ATRBand
4.RUN feat.KID FRESINO
5.GNR feat.黒田卓也
6.Cicada Shells feat.Karai
7.410 feat.Jua & ATRBand
8.TOKYO (reprise)
9.GNR feat.ATRBand
10.LIFE FOR KISS feat.中村佳穂Band
11.RUN (ATRBand Version) -bonus track-

16ビートのダンサブルな曲が大半を占める。
そんなアップビートを叩く石若のドラムをたっぷりと聴くには好適な曲構成。
ボーカルの入る曲が多く、ラップまで出てくるが、最近の若い世代としてはラップはボーカルの一分野として普通になっているということでしょうから驚くには値しません。
ただ、(自分が親父だから)個人的な拒絶感は多少なりとも持っているが、ここでのラップはそう嫌悪感なく聴けているか。
日本語のラップではあるが、ちょっと解釈しにくい語り口なのが良いのかもしれない。
通して聴いていると、過去に聴いているSongBookシリーズで聴けたようなサウンドがちょこちょこ出てきていて、そんなサウンドが石若の感性に依るものであることが良く判る。
演奏面としては、上記インタビューにもある通り、ここでは石若はドラムを叩きまっていることを表明しており、その通りに石若の、おおらかでダイナミックでグルーヴ感のあるドラムをたっぷりと楽しむことができる。
他のミュージシャンも、特に管楽器、サックス(たぶん中島朱葉)とトランペット(たぶん黒田卓也))がのびやかな良い演奏をしていることが印象に残っているか。

ベストは、3曲めにします。

"Answer to Remember" Answer to Remember (https://www.amazon.co.jp/dp/B07ZLJKMBX/)

中山拓海 "たくみの悪巧み"

中山拓海は1992年生まれ。国立音楽大学ジャズ専修の1期生で、最近では鈴木勲オマサウンドのメンバーとして演奏をしている若手注目株の一人。
気のせいだったかもしれないが、昨年(2019年)の国立音大の学祭で、ジャズ専修のオーケストラに入っていて名前を(中林と勘違いしたかもw)覚えてたら、新作リリース告知を見つけて思わず購入を決めたもの。
ピアノが高橋佑成だったからというのもあるが..。
ドラムの山田玲は、平井庸一の2014年作 "Pascoal Project"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63022917.html), 菊地成孔のガンダムのサントラ(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64347331.html), 桑原あいの2018年作(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64611830.html)で聴いていました。たしか、菊地氏がラジオでべた褒めしてたのがこの人だったかもしれません。

そんなメンツは、高橋佑成が1994年、勝矢匠1991年、山田玲1992年と若手を揃えた4人。
中山拓海(As, Ss)、高橋佑成(P)、勝矢匠(B)、山田玲(Ds)

演奏曲はすべて中山拓海のオリジナル。
01 High Humidity
02 The Asteroid
03 Cross Road〜他愛もない歌〜
04 Suite I
05 Suite II
06 Suite III
07 Suite IV
08 Cinquenta E Nove
09 Born, Live and Die

8ビート系のノリの良い曲からスタートし、ラテン系リズムを感じさせる曲が続く曲構成。
続く3曲めがスローな曲、そして組曲を挟んで、8曲めもラテン調の曲。
勝矢匠のエレクトリックベースがゴリゴリウネウネ鳴り響き、いずれの曲でもしっかりとした自己主張をしている。
とくに8曲めでのスラップを入れたソロが格好良い
山田玲が若さ溢れるハリのある元気なドラムを聴かせ、しっかりドラムに注目して聴いているとその熱気に気分が高揚してくる。
中山拓海のサックスは旨さは感じられる、超高速フレーズも淀みなく吹き切るだけのテクニックとアイデアも感じられる演奏をしてくる。
ただ、個人的な好みからするとパリッとしたインパクトがちょっと弱いかなぁとも感じていて、そういう意味も含めて、エモーショナルな表現に持ち味が出ているんじゃないかと思う。
個人的聴きどころは、ここでも高橋佑成のピアノにあって、個人的嗜好にピッタリとあってしまっているのか、固有のフレーズを駆使した即興を聴くとそれまでと音楽の雰囲気が変わって聴こえてくるように感じるくらい。

中山の旨さを感じさせるという意味で、3曲めをベストにしましょう。

中山拓海 "たくみの悪巧み" (https://www.amazon.co.jp/dp/B07Z657X51/)

"むかしむかし" 守谷美由貴

守谷さんのリーダーアルバムを聴くのは、たぶんこれが初めてだと思います。
参加作だと、旦那の 本田珠也 のリーダー作で聴いていたり。。(下記)
 "Second Country" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64270321.html)
 "Save our Soul" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64748027.html)

ライブでは、Yam Yma's (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/471801695.html)で聴いていたりと、相応に頻度高く聴いているし、リーダーライブの告知は相応に見ているにもかかわらず、現場にはあまり赴いていないという..。

メンツは、ここのところ共演頻度が非常に高い 守谷,永武のデュオに、スガダイローの最近のレギュラートリオのドラマーである今泉総之輔を加えた3人ということになります。
今泉の近作では "公爵月へ行く" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/469415774.html) を聴いています。
守谷美由貴(As,Ss)、永武幹子(P)、今泉総之輔(Ds)

演奏曲は、守谷のオリジナルが3曲に、山下洋輔のオリジナルが2曲を中心にその他2曲と言うそんな構成。
01 ミナのセカンドテーマ
02 用心棒
03 むかしむかし
04 Think of One
05 Castaway
06 キアズマ
07 Every Day is a New Day

メンツ構成と選曲とを見れば一目瞭然のとおり、山下トリオを範とした演奏であることは自明。
守谷のファンファーレのようにサックスが鳴り響く冒頭から、フリースタイルの怒涛のブローへと。
ドラムソロをそのまま繋いで2曲めへとなだれ込む。
3曲めがバラードでこれがタイトル曲で、情感たっぷりのしっとりとした演奏でなかなか沁みる。
1曲め、6曲めが山下の曲でフリーの熱い演奏。
5曲めは牧歌的な旋律のおおらかな雰囲気を持った曲で、この曲後半の永武のナイアガラグリッサンドとでも言いたいグリッサンドはなかなか圧巻。
7曲めはおだやかな8ビートのポップな曲で、これが最後の曲ということになる。
守谷の渾身のブローが聴けるフリーから、愚直なまでにしっとりとしたバラード、そしてポップな曲までとバリエーション豊かにてんこ盛りではあるが、あまり散漫なイメージにはなっていないか。
個々の演奏では、なんだかんだやっぱり、永武のソロの鮮烈さにやられているか。
特に2曲め 6曲めでの長尺ソロが個人的白眉で、音数多めにガシガシと攻め立てたかなりアグレッシブなソロを聴かせてくれる。
もう一つ、今泉の重量級のドラムが演奏を重厚なものにしていることも特筆すべきでしょう。

フリーな演奏に真骨頂があると思っているので、
ベストは、6曲めにします。

"むかしむかし" 守谷美由貴 (https://www.amazon.co.jp/dp/B07ZW9PY9W/ )

"SongBook4" 石若駿

本作の1作めでも記載してありますが、石若駿のやってることはひと通りチェックしておこうという意識がありまして、本作も(普段ほぼ聴かない)ボーカルものであることは承知のうえで嬉々として買ってきています。

過去の3作は以下の通り。
 "SongBook" http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64021298.html
 "SongBook2" http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64343657.html
 "Songbook3" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64679619.html)

このSongBookシリーズも4作め
これまで、角銅真実を中心としながらも、小田朋美、青羊、ermhoi、Sara Rectorと、さまざまな人がボーカルを担って、アルバムを作ってきていたが、本作では角銅真実を中心に据えてきていることが如実になってきていると言えそう。
SongBookシリーズ自体が角銅真実とのコラボ作といった様相を呈しているといっても過言ではない
その角銅も、個人名義のアルバムをリリースするらしいので、このプロジェクトは双方にメリットのあるプロジェクトになっていることを感じる。
 "oar" (https://www.amazon.co.jp/dp/B081KR18SR/)
この角銅の新作には、12/13があり、11/21があり、10/25がある。こっちには、5/13があるのが関連性を感じさせて。。。

メンツは以下の通り。
石若駿(Ds, Kbd, etc)、角銅真実(Vo:1-6)、
西田修大(G:2-7)、Marty Holoubek(B:2,5,6)、
光永渉(Vo:5)、James Macaulay(Tb:6)、君島大空(G,Vo:6)、
井上銘(G:5,7)、
小田朋美(Vo:7)、小西遼(Vocorder:7)、越智俊介(B:7)、

演奏曲は以下の通り。上のメンツのとおり曲によって奏者は変わります。
1.May13th
2.New Habanera
3.awarere
4.Yesterday Song
5.春霞
6.akete
7.IWAOTONARITE

曲のテンポも、そう早くなく、歌詞もほぼ早口にならないところで留めていて、牧歌的なポップスといった印象の作品に仕上げてきている。
歌詞の内容は深く言及しませんが…。
演奏では、曲調から石若のドラムが際立つような場面は少ないが、朗らかなドラミングが心地良い。
が、耳を惹かれたのは、冒頭のアコギもそうだが、要所で出てくるギターで、なんとも良い味を出している。
演奏しているのは上記メンツ記載の通り様々なミュージシャンが担っているわけで、個人的嗜好も否定しないが、ギターが効果的に鳴るようにアレンジがされているってことでしょう。
曲によってピアノが入るものがあるが、これはすべて石若の演奏。3曲めでそのピアノがフィーチャされる。

ベストは、唯一の角銅との共作である6曲めにしましょう。
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