日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

J. J. Soul (20190118)

2019年の初ライブは永武さんのJ.J.Soulというユニット。
2018年最後に効いたライブも永武さんのトリオ(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64693412.html)でしたw
最近、永武率が高いですねww


J.J.Soulを聴くのはこれが初。そのメンツは以下の通り。
吉良は世田谷トリオ(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64627120.html)等で生演奏を聴いているが、石川は音源含めこれが初のよう。
永武幹子(P)、石川隆一(B)、吉良創太(Ds)

開場の14時少し前に現地についたが、昼ピでは珍しくすでに7〜8人並んでいました。
14時過ぎ開場、14時半を少し過ぎたところで開演。

1stは、カーラ・ブレイ、デュークエリントン、ジェロームカーンオリジナルの新曲2曲で1時間強
2ndは、本田竹広2曲、鈴木チンさん、本田竹広の4曲でほぼ1時間に、アンコールが if I were a bell
という構成だったか。
両セットともたっぷりとした演奏時間で、いずれの曲もソロ


バンド名の通りソウルな雰囲気をたっぷりと感じさせる演奏から。

特に永武の弾くフレーズが、いつもの打鍵の強さのまま、黒さとは違うものを感じつつ、でも実にソウルフルさを感じさせるもので、いつものトリオとは向き合い方から違うことをうかがわせる。

当初の大雑把な印象としては、石川のベースがしっかりとリズムキープをしている印象で、吉良、永武が暴れていても、彼のベースが曲の体裁をキープしている感じ。
が、曲によっては確実な運指で速いフレーズもこなして演奏をしっかりと鼓舞してくる。
1stの4曲めの永武オリジナルでの高速なウォーキング、2ndの最後の曲(本田のサラームサラーム)でのソロとか、おっと思わせる演奏をきめてくる。
このバンドのおもしろさの一端をしっかりと主張している感じで好感触。

吉良は、いつものごとく"いくときにはいくよ"と怒涛の連打乱打で耳を持ってかれる。
が、冷静に聴いていると実はスティック、ブラシ、マレットと曲中でもこまめに持ち替え、繊細に表現の調整をしていたり、バッキングでのグループ感が実はすごかったり、ドラムの多彩な表情をいろいろな角度から見せてくれる。
もっとも本領は、ぶっ叩きだと思うが…
ソロも多く、これでもかというくらいにぶっ叩くソロをこれてもかってくらいにたっぷり時間をとって演奏。

このバンドは、永武の好む日本人ピアニストをリスペクトしているとのMCでの説明だったが、落合、服部とのトリオより演奏の難易度を低めにノリ易いことを主眼においているんじゃないか。

あっちがライブ構成も時期で変え、実験的なことを多用してヒリヒリするような演奏になることが多いイメージ。
個人的なジャスとしてのおもしろさはあっちかなぁと思ったが、一般的にはこっちのほうが人気はあるんでしょう。
聴衆は、30人に近かったんじゃないかと..。

石川広行/岸本賢治 "Improvisations"

この盤は、本年11月に石神井公園に聴きに行った小さなジャズ祭に出ていたユニットが会場で売っていたアルバムです。
個人的には、下記の2人の演奏だけ聴ければokだったので、未チェックでした
 "須川崇志, 吉本章紘 デュオ(20181103)"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64646978.html)

が、同じ会場で購入していたS氏にお借りすることができまして、聴かせてもらってます。
会場ではベース、ドラムを擁したカルテットでの演奏をしていましたが、この盤ではデュオの演奏を聴くことができます。
石川広行(Tp)、岸本賢治(G)

演奏曲は、Improvisationと題された即興が3曲と、スタンダードが1曲というのがオリジナルで、ここにはボーナストラックとしてスタンダードが3曲追加されています。
1.Improvisation #01
2.All The Things You Are
3.Improvisation #02
4.Improvisation #03
Bonus track
5.The Nearness of You
6.Body And Soul
7.Stella by Starlight


まず何と言っても冒頭のギターでの低音の一撃が、結構なインパクトを与える。

曲目を見てわかる通り、即興とスタンダードが半々の割合で演奏されるが、冒頭が即興曲。
即興の曲では、ギターが低音を響かせてベースを作りながらだったり、弦をミュートさせて響きを廃したサウンドだったりとバリエーション多くいろんなパターンのサウンドでいろんな意味で少々の泣きの気配を孕んだようなフレーズを奏でると、トランペットがよりエモーショナルに感じられるようなサウンドをパラパラと散りばめる。
即興は抽象度高めのちょっと捉えどころのない感じのもので、音色とサウンドの重なり合いに面白さを
感じられれ...というもの。

打って変わってスタンダードは、ストレートにテーマを奏で、ギターの盤石な伴奏に乗っかって、トランペットが美旋律を朗々と吹ききるような、ごくごくオーソドックスな演奏で、そのギャップにも驚く。
おそらく普段から演奏して馴染んでいる曲を普段通りにリリカルにスウィンギーに演奏しただけではないかと推測。

しかし、後半3曲のスタンダードがボーナストラック扱いになっているが、前半4曲で完結する素のアルバムの難易度の高さは、相当のものがあると思うのだが...。

ベストは、2曲めで良いと思います。

https://zujarecords.bandcamp.com/album/jazz-in-nippon-recorded-at-bar-time-hiroyku-ishikawa-yoshiharu-kishimoto-improvisations-vol-01

Nouon "Flow"

Nouonのスタジオ録音の2枚目のアルバムがリリースされました。
前作は、
 "Kuu" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63552065.html)
で、2016年に入手しています。
その後、ライブは個人比としては高頻度に聴いていたのですが、2017年8月を最後にメンバーの1人 Huw Lloyd が脱退し、新メンバーに加藤一平を迎えての初ライブが2018年3月。その後正式加入が発表され、すぐに新作の録音に入るという情報が流れ、2018年12月にリリースされたのが本作ということになります。
加藤が入った新生Nouonの演奏は、このアルバムの録音直前に聴いています。
 "Nouon (20180607)" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64518299.html)

他のメンバーは不変で、以下の通りの布陣。
Azusa Yamada(Vib)、Kevin McHugh(Key)、Ippei Kato(G)、Junpei Yamamoto(Ds)

演奏曲は、旧曲の再演に新曲を加えたもので、3, 4, 5, 8, 9が旧曲(でいいはず)。
1 Give The Pigs Their Slop
2 Linda Hamilton
3 Man In The kitchen
4 Above Avrage
5 Pigeons
6 Selectness
7 Amor Brasillero
8 Dicks
9 Keviman Kebumen

メンバー交代して初のアルバムということで、加藤一平が入って、どうサウンドが変化するかが最大の関心ごと。

アプローチは異なるが、役割的には山田と加藤は近いところにいるというのが前回のライブのときにも薄々感じていた役割分担。
が、そんな役割分担予測から、同期するような場面、微妙に同調した演奏、絶妙に反目するような演奏と、つかず離れずの演奏をしていまして、この同期するというところが Huw Lloyd との演奏ではあまり見られなかったところという印象で、この辺に新生Nouonのサウンドの新しい面白さが出てきているんじゃないかと予測。
そういう意味では、これまで認識していた加藤の真骨頂とは異なる部分での魅力が引き出されていると言えるのではなかろうか。

既成曲が多く含まれていて、当初は聴き馴染んだこれらの曲がどう変化進化したかに興味を持ちそれを面白がって聴いていたが、新曲の曲調、雰囲気が今後のこのバンドの嗜好思考を予測させると思い至ると、新曲のほうに興味の対象が徐々に移っていく。

そんな新曲では、2曲めがもしこのバンドの先鋭的な響きだとしたら、この先、Pat Metheny のOrchestrion を指向している部分もあるのではないかと勘ぐってみたり、7曲めでの響きのきれいな音色でのビブラフォンとの交歓から、美旋律のギターソロと、一瞬"加藤か!?"とか思ってしまうほどの、加藤の美学を前面に出したサウンドとか..。
こんなサウンドの端緒が進化していくのか、まだまだ変化を続けるのか今後が楽しみ。

加藤が、非常に抑制を効かせながらテーマをユニゾンする場面とか、Kevin McHughのソロに優しく絡んでくるような入り方とか、当初はちょっと違和感さえ感じていたのが、聴き込んでくるに従ってゾクゾクとするくらいになってくるから面白い。
加藤の真骨頂は、小出しにはちょこちょこ出ているが、8曲めのソロでがっつりと聴かせる。

ドラムの山本もパワフルな演奏を仕掛けてくることもあるので、加藤とのバトル然とした演奏とかも期待したいところである。

ベストは、新曲のなかから6曲めに。

Nouon "Flow"(https://www.amazon.co.jp/dp/B07KGWSW39/)

"Fumio 69" 板橋文夫

板橋文夫の新作は、ここのところの活動の中心になっている大所帯バンドを中心としたもの。
前々作 "みるくゆ"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63880619.html) では、類家, 纐纈, レオナと
3人だったのが、前作 "Alligator Dance 2016"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63979738.html)では
さらに 、後藤, 高岡が加わり5人になり、本作では、林, 片山, 吉田, 山田, 太田, 外山が加わり11人にと
拡大している。
本作での拡大は2009年の "We 11"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/58441623.html) の面々を加えたようなメンツと言えそう。
この盤も流通にはほぼ乗っておらず、リリースされた情報は知っていたが、12月のライブ "板橋文夫, 瀬尾高志, 本田珠也"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64671847.html)のときに入手できるだろうと悠長に待っていたました。
が、この盤の核になるメンバーで九州でリリースツアーをしているときに片山の訃報が入ってきて、はたと気づいて、これが遺作か?と思ったらすぐに入手したくなり、ネットであれこれ探していたら新宿のユニオンに在庫がある情報を見つけて、仕事帰りに探しに行ったのであります。
ところが、いくら探しても見つからず..。店員さんにも探してもらったら、とんでもないところに挿さっていたのを見つけてもらえて無事入手できた。
でも、紹介はこんなに遅くなってしまいました (^^;;

メンツは前述の通りの大所帯。ただし、すべての曲にすべてのメンバーが入っているわけではない。
少ないところを抜粋すると、3曲めが片山とのデュオ、5曲めが吉田, 瀬尾のトリオ, 7曲めが纐纈, 瀬尾, 外山のカルテット、
8曲めが瀬尾, 竹村とトリオ、9曲めが林とのデュオ、13曲めが太田, 外山とトリオ、と言った感じ。
板橋文夫(P)、
林栄一(As)、纐纈雅代(As)、片山広明(Ts)、吉田隆一(Bs)、
類家心平(Tp)、山田丈造(Tp)、
後藤篤(Tb)、高岡大祐(Tuba)、太田惠資(Vn)、
瀬尾高志(B)、竹村一哲(Ds)、外山明(Ds)、レオナ(Tap)

演奏曲は、板橋7曲、レオナ、吉田、纐纈が各1曲、Roland Kirk、Barry White、Don Gibsonで全部で13曲。

01Dancin' Madam 2018
02産褥マタニティブルーズ
03Lady's Blues
04Dream in Dream
05手からこぼれるように
06DOKOMADEMO
07冬のワルツ
08PAKA!
09Mary Hartman, Mary Hartman
10Lonely Lonely
11FUMIO69・ROCK
12I Can't Stop loving you
13七夕


片山のブローが冒頭を飾り、陽性の軽やかな演奏をあに突入して行く1曲め
2曲めが、片山の馬のいななきのような咆哮からレオナのタップをフィーチャーした大作
3曲めは、片山と板橋のデュオで聴かせる情念の1曲

以降、
哀愁感のある曲、美旋律を聴かせる曲、フリーな気配を湛えた曲、乗りと勢いで聴かせる曲、心地良いアンサンブルを聴かせる曲、10分前後の大作では、そんな演奏が場面毎に現れると、幅広い板橋ワールドをこれでもかと繰り出してくる。

そんな中でも、このバンドの真骨頂は、全員(、特に管楽器に)クセの強い面々が揃っているところで、
そんな輩が一斉にドビャーっとやったら、そのカオス感、パワー感は、尋常ならざるもので、その圧倒的にパワフルな演奏にこそ聴きどころがあると信じているが…

そんな場面が1曲めとか6曲めとかで聴かれるが、それが11曲めでピークを迎え、"ロック、文夫"の掛け声からのノリノリのロックテイスト満載の演奏がカオティックに温度感高く鳴り響き、中間部では、片山のソロも涙ちょちょぎれながら堪能できる。

板橋のもう一つの大いなる魅力である、美旋律、哀愁のバラード曲が半分くらい入ってくるが、これはその後の怒涛の演奏を堪能するための露払いと言ってしまいたいくらい、大所帯の圧倒的サウンドをこの盤では堪能したいところ。。

聴いていて前面に出るのが片山のテナーの頻度が高いことと、前述の通り片山の遺作であることから、聴くべきは3曲めとか9曲めのデュオであるのは間違いないが、心を鬼にしてアルバムの中のベストは11曲めを指定させてもらいます。


"Fumio 69" 板橋文夫(https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1007766366)

永武幹子トリオ (20181226)

永武トリオを見るのが約半年に1回というペースになってきている気がします。
これくらいのペースで見ていると、バンドの進化が判りやすくて良いのかもしれないと、最近は思い始めています。
 "永武幹子トリオ (20170826)" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64241452.html)
 永武幹子トリオ (20180428)(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64482369.html)
逆に、永武参加の他のユニット(守屋マセキのYumYums、石川吉良のJ.J.Soul等々)がタイミングが合わずに全然見れていないので、最近ではそっちが気になっているところもあり。

ピアノが右の定位置から少し出して斜めに設置、ドラムが右奥。ベースが右手前という配置。

メンツは、不変の下記3人。
永武幹子(P)、落合康介(B)、服部マサツグ(Ds)


開演は、20時を5分も過ぎたところで。

永武オリジナルを中心とした選曲で前半では、オーネットコールマンは演っていた。

大半の曲で、イントロをしっかりアレンジしてあったり、即興からテーマに戻る部分にちょっとした決まりごとを入れてあったりといった感じで、テーマがよく映えるような演奏が多めだったか。

過去の演奏は、たとえば前回は、前半は曲の途切れなしで、曲の雰囲気が変わると曲が変わっていたという、即興もよりスリリングな展開で、今回よりも熱さと粗さを感じさせるものだった印象。

もっとも、今回の演奏がもの足りないことはなく、全体にしっかりと曲を楽しみつつ演奏も楽しめる良いバランスだったんじゃないかと思うくらい。
さらに、あらためて永武オリジナルの曲の良さを感じられた。
新曲以外のオリジナルは、CD(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64599079.html)に収められた曲が大半で、曲を知っていたが故に曲の良さを実感できたのかも。

前半最後の5拍子の曲の後半にドラムソロのパートがあり、そこだけ熱い演奏になって、途中休憩。

後半は、新しめの曲を中心にしたもので、バロックぽいピアノ練習曲のような曲から、トランプシリーズの、ハートのクイーン、クラブの2なんて曲を披露。
後半最後の曲は、曲っぽいのが良いかフリーぽいのが良いか聴衆に問いかけ、フリーぽい曲を演奏。
この曲の途中で、落合がベースにエフェクト(エコーかな?)をかけ、それに呼応したドラムとの掛け合いは
ピアノが入る余地少なく、Zycos(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64482321.html)のような雰囲気すら出てきて面白かった。
雰囲気は、最後を除けば全般的には前半に似た感じで曲の良さをしっかり感じさせるような演奏で終始。
年末はあまり激しい感じのを演りたい気分にならないから、なんて服部さん言ってましたが..。

アンコールにも応えてくれ、バラードをしっとりと演奏して大団円。

お客さんは、10人前後はいたんじゃないかと思う。
平日なので、終演後はあまり長居せずに辞去いたしました。

"Miki" Miki Yamanaka

兵庫県出身でNYで活動をしている人らしいが、これが初リーダー作で良いと思います。
(実際は、本人のサイトに、ダウンロードだけの3曲だけってアルバムの記載があるが)プロフィールを読むと、smallsジャズクラブでの演奏頻度が相当高いようだが、"Live at Smalls"(http://live-at-smalls.blog.jp/)レーベルでは、名前をみたことがないのが..

この盤もリーダーが日本人ってんで聴いてみようと思ったのが大いなる動機ではあるが、メンツの良さも大いなる購買意欲には繋がっている。
そんなメンツは以下の通りと、実はなかなか豪華です。
Miki Yamanaka(P)、Steve Nelson(Vib)、Orlando Le Fleming(B)、Bill Stewart(Ds)


演奏曲は、8曲のオリジナルと、Thelonious Monkとその他1曲という構成。
01 Mr. Pancake
02 Eyes
03 Monk's Dream
04 Sea Salt
05 Stuffed Cabbage
06 Book
07 A Fake Hero
08 For All We Know
09 Wonder
10 what About Food


4ビート、8ビートのちょっとコンテンポラリ色を感じさせる現代的なサウンドで、あまり激しくないがノリの良さを見せる演奏を聴かせる。

1曲めが、テーマ直後にベースソロという展開にちょっと驚く。
普通だったらピアノがリーダーなんだからと思うが、意表を突かれる。
きっと、共演を希望していたOrlando Le Flemingに敬意を表しているんでしょう。
その後のVibとPの短めのソロの応酬が格好良く、テンションが上がる。
が、ここもSteve Nelsonと主役を分かち合うことで敬意を表していると推測する。

Orlando Le Flemingが、最初のソロをとっているのに呼応するように、バッキングからフロントでの即興と自身の表現力を最大に発揮して印象的なフレーズを連発していてこのアルバムのなかでの大きな存在感を出している。

リーダーのMiki Yamanakaは、粒立ちの良い打鍵でも優しさを感じさせるような音色で、女性らしい元気の良さを見せるようなピアノ。
リーダーであるからと必要以上に前面にしゃしゃり出ることはなく、程よくメンバーを立てているところがまた好感触。

Steve Nelsonは、テーマこそ曲によっては前面での演奏を聴かせているが、バッキングで印象的な演奏を見せることはほぼ皆無。
ソロの場面になるとおもむろに現れて、その瞬間にその場をかっさらって行くような、そんな印象を感じさせる演奏。

全体に柔らかなテンションの中、しっかり演奏を締めていくようなドラミングは、Bill Stewartの真骨頂と言えるでしょう。

ベストは1曲めで良いと思います。


"Miki" Miki Yamanaka(https://www.amazon.co.jp/dp/B07DPGVPZM/)

"Outgrowing" 須川崇志

吉本章紘とのデュオ作がひそかに素晴らしい、本田珠也が自身のリーダー作では必ず起用するベーシスト、須川崇志の初リーダー作がリリースされました。

最近、ライブでの遭遇率が高いんですが、最近の参加作を少し列挙しておきます。
 Niran Dasika "SUZAKU" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64477405.html)
 Ictus Trio "ICTUS" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64398605.html)
 吉本章紘, 須川崇志 "Oxymoron" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64339949.html)
 Tamaxille "Live at Pit Inn" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64332094.html)

本作のメンツは、古い知人と思われるアメリカ人で、録音もNYとのこと。
須川崇志(B:2,5,7、Cello:1,3,4,6,8)、Leo Genovese(P)、Tom Rainey(Ds)

演奏曲は、3人の共作が4曲(1,3,4,5)須川のオリジナルが3曲(2,7,8)に、八木美知依(箏奏者)で全部。
3人の共作は即興でしょう。
01 First Meeting
02 Outgrowing
03 Violoncello
04 Short Story Long
05 Motion
06 Izayoi 「十六夜」
07 Ancient Blue
08. Uncompleted Waltz

音粒の乱れ打ちのような1曲め
ベースのミニマルなフレーズをモチーフ的に一定間隔で提示しながらのフリーインプロな2曲め
響きを抑えたチェロとピアノの高音のせめぎ合いの3曲めは、1分30秒くらい
チェロのボウイングによる即興的フレーズにピアノの散りばめたようなサウンドが振りまかれる4曲め
と、前半の大半は即興を中心とした演奏で占められる。
後半は、モチーフ的に短いものであっても、もう少し曲の体裁を持ったものが増えている印象。
6曲めは、ピアノの反復するフレーズに、チェロのボウイングがゆったりとしたフレーズを乗せてくる。
1小節2音くらいで鳴らされるベースとピアノのユニゾンのトロッとした演奏に、いずれかの即興をそっと乗せてくるような7曲め
ピアノの伴奏に須川のチェロのボウイングが美しく奏でられる小品で締めくくり。


全体を通して、難易度は相当高めの即興を中心とした演奏でボウイングを中心とした須川の情念のこもった演奏と綺麗な音色、
的を得たと言いたくなるような、ピアノの必要なだけの即興なのに迷いを感じさせない音出し。パルシブに演奏に刺激を与えるドラム。
それぞれのフレーズと音とを楽しみつつ、インプロビゼーションの妙を楽しめれば、この作品を楽しめるんじゃないかと思う。

ベストは7曲めにしましょう。


"Outgrowing" 須川崇志(https://www.amazon.co.jp/dp/B07JB6Q4ZW/)

"Songbook3" 石若駿

本作の1枚めでも記載してありますが、石若駿のやってることはひと通りチェックしておこうという意識がありまして、本作も(普段ほぼ聴かない)ボーカルものであることは承知のうえで嬉々として買ってきています。
が、最近の拡散具合におじけづいているところもありまして、ミニマルを素にしたバンド  "東京塩麹" (https://www.amazon.co.jp/dp/B0721SMNQ4/) とか、和楽器とコラボレーションしている "INNOCENCE" (https://www.amazon.co.jp/dp/B0721SMNQ4/) とかまでは追いつけていないんですが、そろそろそんな状況でも良いくらいに才能が拡散発散しているということで、喜ばしいところです。

そんな中、ライフワーク的にリリースされている自作曲集であるsongbookは、良しw化の本質が出ている気がするので、もうしばらく聴いてみようと思っています。
過去の2作は以下の通り。
 "SongBook" https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64021298.html
 "SongBook2" https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64343657.html

このsongbookシリーズも3作続くと、自身のイメージを体現してくれるようメンツも増え、組み合わせも微妙にコントロールするようになっていることが感じられる。
それでも、その根幹をなすのが角銅真実の声であることは間違いなく、彼女抜きでのsongbookシリーズはありえないってことは、しっかり感じられる。

そんな本作のクレジットは以下の通り。
石若駿(Ds)
角銅真実(Vo:2-5)、ermhoi(Vo:1,6)、Sara Rector(Vo:7)

Niran Dasika(Tp)、西田修大(G)
Marty Holoubek(B:2,5)、渡辺翔太(Syn:2)
Gideon Jukes(Tuba:1)、佐藤采香(Euphonium:1)、佐藤芳恵(Bcl:4)
須川崇志(B:7)、吉本章紘(Ts:7)、中島あきは(As:7)

演奏曲は以下の通り。オリジナルなので、タイトルの付け方の妙があるのかどうか..。
1.OldfriendzII
2.おこのみやき
3.New Waltz
4.つづくよ
5.Song of New year's day
6.Rest
7.SSTC

ユーフォニウム、チューバとのほのぼのとした音色の管が通奏的になることで、雰囲気がとても和らぐ1曲め。
Marty Holoubekによる高速フレーズのベースのイントロから牧歌的な歌、渡辺翔太のシンセサイザー乱れ打ちと、6分程度の演奏だが、雰囲気の変化が楽しい2曲め。
佐藤芳恵のバスクラの柔らかい音を伴奏に、4連で下がるフレーズが続く歌が独特の雰囲気を醸す4曲め。

典型的4拍子のリズムを叩くドラムのピアノトリオをバックに歌う掠れ声に、逆再生のオルガンの音が通奏的に入ることと、中間部のピアノソロ(は石若演奏?)が良い味を出している5曲め。ここでのMarty Holoubekのベースがほぼバッキングだが格好良い。
バロック調と言ってしまいたいようなストイックな雰囲気を感じさせるピアノだけが伴奏に入った6曲め。

加工した2声のボーカルが印象的で、後半のサックスの掛け合いが格好良い7曲め

全体を何度となく聴いていて、印象に残ったのは、ユーフォニウム、バスクラとエッジ感の弱いサウンドが持ち味の音を使い、ドラム、ギターの音色を60年代ぽくすることで、ほんわかとした雰囲気になるよう作り込んでいるところでそんな作風が個性になっている。

ベストは、7曲めにします。

"Songbook3" 石若駿(https://www.amazon.co.jp/dp/B07HBV6QPC/)

"はしごを抱きしめる" 魚返明未トリオ

魚返明未のリーダーアルバムはこれが2作めだと思うが、初作もしっかり買っているのは、メンツが故でありまして(御免)
前作も同様ではありましたが以下の通り。
魚返は1991生の芸大卒。石若が1992年生なので、完全に同世代の盟友であるということでしょう。
ちなみに楠井は1985生とちょっと上だが、北海道出身であるところが石若と同郷ということになります。

魚返明未(P)、楠井五月(B)、石若駿(Ds)

初作の紹介は下記で、2015年でありました。
 "STEEP SLOPE"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63342279.html)

本作の演奏曲は以下の通り。すべてオリジナルで良いと思います。後半3曲が組曲になっています。

1 そばに離れて
2 振り翳す
3 はしごを抱きしめる
4 三つの風 Part 1
5 三つの風 Part 2
6 三つの風 Part 3

魚返のピアノは、全体に響きを綺麗に聴かせながら、美旋律の美しさを追求していくような優しく演奏を紡いでいくようなところと、しっかり粒立ちのある打鍵でダイナミックでメリハリのある演奏とを使い分けるスタイルで、盛り上がる場面をしっかり盛り上げる。
そんな両面の良さを持っているように感じている。
本作でも曲によって場面によって、ソフトな面ハードな面を巧みに使い分けた演奏を聴かせる。
3曲めではそんな優しいタッチで奏でるダイナミックなフレーズなんてのもあってこれがまた素晴らしい。

楠井もまだまだ若い人だが、かなりしっかりしたタッチのベースを弾く人で、低音をしっかり響かせながらタッチもしっかりしていて、何曲かで披露しているソロがそんな印象をより明瞭にしている。

石若の4ビートでのシンバルレガートから、プレイキーばりのファンキーなノリと、静謐な雰囲気を出すシンシンと鳴らすシンバルと、ガッツリと叩きまくるところは力強く攻める。
そんな曲により機敏に反応を変えるドラミングはここでも健在。

全体には、4ビート基調のオーソドックスなスタイルの演奏が中心で曲の面白さ巧妙さを聴くというよりは、3人の演奏自体をたっぷりと堪能できる作品に仕上がっている。

ベストは、6曲めでしょう。

"はしごを抱きしめる" 魚返明未トリオ(https://www.amazon.co.jp/dp/B07G1YKQ7K/)

板橋文夫, 瀬尾高志, 本田珠也(20181201)

板橋文夫さんのライブを見るのは、2016年のFit!+纐纈雅代以来で、約2年ぶりになります。
そんなに見ていなかったのかと、この文章を下記ながらビビってます。

 "板橋文夫 Fit! + 纐纈雅代(20160812)"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63818432.html)

さらに、Fit!のオリジナルメンバー3人だけでのライブも見ていないというのも、自分で驚いています。
Fit!のトリオ部分のメンツは、板橋文夫(P)、瀬尾高志(B)、竹村一哲(Ds)の3人ですが、今回はメンバーからドラムが本田珠也に変わってのトリオ。
そんなメンツは、
板橋文夫(P)、瀬尾高志(B)、本田珠也(Ds)

19時20分頃お店について、先客が5〜6人くらい。

今回のステージは、左奥にドラムの珠也さん、その手前にベースの瀬尾さん、右奥がピアノは入口を半分くらい覆うように前に出されたセッティング。
ピアノはいつものように、天板、側板、消音器と外されています。
マイクはベースにだけ付いていて、ピアノにマイクは入れてなかったと思います。
そのベースのアンプが前半は床に置いてあったが、音が飛ばなかったんでしょう、後半はカウンターの椅子を持ってきてその上に乗せていました。

1stセットは20時05分くらいからほぼ1時間で4曲。2ndセットは20時半過ぎから、アンコールを入れて1時間弱で4曲といった構成。
冒頭、せーので「ドスッ」と一発音出しからスタートするフリーに近い演奏のタイトルは"PAKA"だったか。
2曲目は「ヒット曲」という紹介でアリゲーターダンス。これでもかってくらいにパワフルで燃える演奏を繰り広げる。
今回、(マスターのリクエストもあって)片山トリビュートの曲が数曲やってまして、
前半では、新作のFumio69でデュオを披露していた"Lady's Blues"
後半は、"Quatre"(https://www.amazon.co.jp/dp/B004LWFKWQ)で、片山と演奏している名曲"Hallelujah"を。
そして最後は、板橋の名曲"For You"をアンコールに披露して終了。

一哲がパワフルで煽り立てるようなドラムなのに対し、珠也は重量級の打撃で演奏を推していくようなスタイルで、いつものFit!(はCDでは良く聴いている)とは一味違う板橋トリオを聴くことができた。

大半の曲が、いつものようにパワーで押し切るような、"これでもか"感の強いものであるのは、板橋トリオの持ち味ではあるが、今回はとくに3者のパワフルな演奏のなかに、微妙にコントロールした非常に繊細な表現が見えていたことで、とくに個人的には珠也のハイハットワークの繊細さに目が行ってしまったのが特筆でありました。

板橋は、ほとんど立ちあがって鍵盤を叩くように弾き続け、グリッサンド(今回、拳での打鍵は少なかった印象)を多用した演奏で、しっかりピアノを酷使しているな感のあるもの。
瀬尾も板橋に負けじとベースを酷使するような演奏で応戦。
聴衆もそんな演奏に、容赦ないかけ声(微妙にあっているようなあってないようなタイミングと言葉
("待ってました!!"に"イヤッホー"は...(笑))で演者を盛り上げ、3者ともTシャツを汗みどろにした熱演で応えてくれたのでありました。

聴衆は、男女比同じくらいの結局20人くらいになっていたと思います。
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