日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

"RS5pb" 類家心平

類家心平のリーダー作を聴くのは、これが5枚め。リーダー作としては、"NM.40°"(https://www.amazon.co.jp/dp/B00H6X5F2M/ )だけ未聴ということになるはず。
これまで紹介したアルバムは以下の通り。
 "4 AM" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62350850.html )
 "Sector b" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61093238.html )
 "UNDA" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63739147.html )
 "Lady's Blues" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64832143.html )

本作のタイトルであるRS5pbは4年前はユニット名として記されていたはずだが、本作は類家名義にしてバンド名を広く認知してもらおうという意図が働いたか。
"UNDA"がRS5pb名義で作られたアルバムで、メンツはこのアルバムと変わっていません。
そこに弦楽器、サックスのゲストが入ります。
類家心平(Tp)、田中tak拓也(G)、中嶋錠二(P,Key)、鉄井孝司(B)、吉岡大輔(Ds)
後関好宏(Ts,Bs)、橋本歩(Cello)、高橋暁(Violin)、田中景子(Viola)

演奏曲は以下の通り。1曲を除いて類家のオリジナル。
1.Civet
2.Caotic Teritory 1
3.Dada
4.Zero Zero
5.Lady Jane
6.Vida
7.Nibiru
8.Soma (Bonus Track)
9.IO (Bonus Track)

ディストーションのかかったギターとキーボードのパルシブなサウンドが最初に鳴り響き、ロックな気配が濃厚に漂うなか、ワウワウをかけた類家のトランペットが響き渡る1曲め。
類家のトランペットが、オープン、ミュートでの生音に、電気処理した音に、ワウワウをかけたりと曲によって音色の変化はつけているが、哀愁を感じるようなというか甘くメロディアスなというかエロチックというか、特有のサウンドの美しさが際立っている印象。
ドラムのしなりの効いたようなビートと、うねるようなベースの低音で醸し出されるグルーヴの格好良さが全体の雰囲気を躍動的にもメローにも雰囲気をしっかりと
ギターはロックなカッティングとリフで存在感を出している印象。前作ではアナーキーなんて書いていた..
このサウンドが入ることで雰囲気はだいぶ変わってきていることは間違いない。
ピアノはダイナミックなサウンドから、クラシックテイストなソロから、アヴァンギャルド(7曲めはけっこう攻めている)なサウンドからと変幻自在に演奏の厚みを引き出してきている。
このバンドにはこのピアニストが重要な存在だと思わせるくらいに好相性を感じる。
曲は前半がロックなビートフルな演奏で、後半にいくにしたがってスローな曲が増えてくるような構成。
とくに5曲めが、極めつけのバラードで、これが実はけっこう映えている。

が、ベストは2曲めにしましょう。

"RS5pb" 類家心平 (https://www.amazon.co.jp/dp/B083NSZ8P1/)

"3 points inverted" 3 points inverted

藤掛正隆が主宰するFullDesignレーベル(https://fulldesignrecords.com/)から新作がリリースされていたのでチェック。
メンツを見て買いを決めています。

過去にもいろいろ聴いていますが、いずれも大半が中央線ジャズ好きとしては涎が出てきそうな布陣だと思います。
全貌をしっかり確認しているわけではないので、まだまだおもしろい組み合わせ、作品が隠れているかもしれません。
 片山広明、太田惠資 "K.O."(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63350019.html )
 トリオねじ×林栄一 "トリオねじ×林栄一"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62373668.html )
 片山広明×石渡明廣×藤掛正隆 "8Seasons"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62310970.html )
 "驢馬駱駝" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63544529.html )
 トリオねじ×坂田明 "トリオねじ×坂田明"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63566354.html )
 "Trio Edge"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64055424.html )
 "Inside or Outside"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64294220.html )
 "トリプルエッジ" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/468530050.html )

本作は、加藤一平が入ってきているのがミソで、フリージャズであろうことは容易に想像できるので、どれだけ暴れ、どれだけ過激な演奏が楽しめるかが期待感であります。

メンツは
立花秀輝(As)、加藤一平(G)、藤掛正隆(Ds)

演奏曲は以下の通り、ぜんぶインプロですが、 順番通りに並んでいないところが..^^
1 Improvisation #01
2 Improvisation #03
3 Improvisation #12
4 Improvisation #04
5 Improvisation #02
6 Improvisation #05
7 Improvisation #10
8 Improvisation #11
9 Improvisation #09

音にならない風切り音のような音と高音域にこだわり続けるサックスに、電気処理をたっぷりと施したギター音で、ギュルギュル、キーキーいうようなパート。
ブチブチいうタンギング音に、ギターも細切れな音を重ねていくパルシブなサウンドが溢れるようなパート。
片山ばりに官能的なサウンドを奏でるサックスに幻想的なギターが絡むパート。
ドラムのロックなビートに、サックスが豪快なブローで応酬、ギターはトリッキーなフレーズを突き刺してくるようなパート。
6曲めは、ギターが低音攻めを仕掛けてきて、さながらベース、ドラムを擁したサックストリオの様相で
ゴリゴリの中央線ジャズを聴かせる。
フリーインプロビゼーションのさまざまな側面をこれでもかと詰め込んだような、そんな印象。
ただ、曲順を見ればわかるとおり、聴き続けて飽きさせないよう構成は考えていると思われる。
ノイジー、鋭角的、暴力的で破壊力抜群でありながら、ちょっと繊細な面も見せる、そんなサウンド。
これが聴いていて、爽快感すら感じさせるくらいに格好良くもあり、清々とした演奏を楽しめました。

ベストは、5曲め

"3 points inverted" 3 points inverted (https://www.amazon.co.jp/dp/B084GF5Z8B/ )

浅利史花, 石田衛デュオ独壇場+ (20200316)

浅利史花の演奏を聴くのは、昨年9月の独壇場以来。
もう少し聴いても良いとは思うのだが、なかなかタイミングが合わず。。
今回は、ご主人であらせられる、石田衛とのデュオってことで、石田さんのピアノも聴いてみたいというのもあっての参戦であります。
石田さんの演奏は、けもの(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63238654.html )、太田朱美(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61274185.html )のリーダー作等CDでは聴いていますが、生できくのはこれが初。
ちなみに、浅利の前回の記録は
 浅利史花, 落合康介デュオ独壇場+ (20190916) (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/470158045.html )


ステージは、デュオでの最近の定位置である、ピアノを左側に持ってきた配置。
前回(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/473820421.html )加藤が座っていたあたりに、浅利が座る。ただし足元の装置類は今回は皆無で、そこが潔い(?)ところ。
前回の独壇場ではちょっと持ってきてたんですけどね..

定刻をちょっと過ぎたところで、楽器のあるところに歩み寄り、ちょっとチューニングを合わせたところで演奏スタート。
今回の浅利のギターは前回の青いヤツではなく茶系のオーソドックスなタイプのもの。
演奏曲はすべてスタンダードの範疇に入る曲で5〜6曲だったか。
石田は、体を大きく揺することなくピアノに対峙していて、同じ石田でも、幹雄の大きく体を揺するスタイルとは大きく異なる。
微妙な抑揚をつけつつ微妙にアウトさせ、コロコロとしたと形容したくなるような、気持ち良く聴いているとそのまま気持ち良く聴いてしまうくらいのウォームなピアノといった印象。
なんというか、どことなく包容力みたいなものを感じるような演奏と感じられた。
浅利のギターは、オーソドックスな王道的ジャズギターといったスタイルで、単フレーズ、オクターブ奏法、掻き鳴らし等々を駆使した演奏を聴かせる。
前回の印象よりも、流暢で饒舌なギターを弾いているように感じられたか。

大半の曲でソロはそれぞれがとってはいるが、明確にどちらかのソロという場面と双方のソロの応酬の様相を呈する場面とがあって、さらに曲によりソロでのバッキングの具合をちょっとずつ変化させてくるので、都度「今度はこうきたか!」なんて面白がりながら聴いていた。
ソロを完全に一人で演奏する場面はないことはないが、少なかったと記憶している。
緊張感とか、熱気とかとは違う、わくわく感というか展開で飽きさせないようなそんな演奏。
それと、曲の展開でのテーマとかの合わせは普通にこなすが、中ほどの曲の後テーマに入る直前くらいだったと思うがちょっとしたキメの部分があって、そんなのがピッと決まるところに阿吽の呼吸ができていることを感じてみたり。
と、全体をゆったりと楽しみながらも、小技的な部分に耳を持ってかれる、そんなえんそを堪能させてもらいました。

アンコールにも応えてくれて、1時間強たっぷりとゆったりと演奏を堪能させていただきました。

"Our Platform" 井上銘

井上銘のリーダー作を買うのは、実は3枚めで、初リーダー作の"First Train" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61200599.html )と、次作の"WAITING FOR SUNRISE" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62457967.html )を買ってまして、これ以降はStereo Champのアルバムが数枚続くんですがこれらは縁なくて聴いていません。
本作は、アコースティックジャズと演っているという情報から、これは買いでしょうと意気込んで買ってきたもの。

メンツをよく見ると、若井、柵木は上記初期アルバムでも共演していました。今更気づく。。
井上銘(G)、魚返明未(P)、若井俊也(B)、柵木雄斗(Ds)

演奏曲は、井上銘のオリジナルが4曲、Harry Warren, Richard Rodgers, Ron Carter, Cole Porterとスタンダードいえる曲が並んで全部で9曲。
1 The Lost Queen
2 Next Train
3 You’re My Everything
4 It’s Easy To Remember
5 Eighty One
6 I Didn’t Know What Time It Was
7 Waltz
8 I Love You
9 A Memory Of The Sepia

4ビートを基調とした選曲はアコースティックジャズという事前情報から充分に予測できていてそれが購入の大きな動機になっている。
シンプルにテーマを奏でた後は、速弾きを交え、程よくアウトしてみたりと、コンテンポラリー軽快好きとしてはなんとも心地良いサウンドを基にした演奏を組み立てていく。
井上の奏法は、コンテンポラリーを素にした彼らしいスタイルをしっかりと踏襲していてまさにこういう演奏を聴きたかったという直球ど真ん中な演奏。
そしてなにより、揃えたメンツが素晴らしい。
魚返のキラキラしたフレーズが随所で光る美旋律を主体としたフレーズが映えるピアノ。
具体的な部分では違うことは前提として、大枠での雰囲気的には、Lyle Maysが演っていたピアノの印象をも感じさせるような、そんな雰囲気も感じられるような演奏。
魚返の演奏スタイル的には過去これまでの演奏と大差ないようにも思えるがフォーマットよって聴く側の印象も変わっているところはあるかも。
シンバルを中心に据えたドラミングでありながら、タムを効果的に使った軽快な演奏で、全体を軽やかに盛り上げていく柵木のドラムが良い味を出している。
盤石なウォーキングから、メロディアスなバッキング、疾走感あるノリの良いバッキングと、縦横無尽に演奏を躍動的に盛り立てる若井のベース。
主役含めいずれも若手の中ではいろんな方面で頭角を見せているような面々を揃えているだけあって、いずれの演奏も気持ちよくスウインギーで、実に格好良く心地良い演奏を楽しむことができる。
この文を書いた後に、若井, 柵木が過去に聴いている盤にも入っていたことを再確認してまして、再度旧作を引っ張り出してきて聴いてみようかと思った次第。

ベストは5曲め

"Our Platform" 井上銘 (https://www.amazon.co.jp/dp/B082PQMKZV/ )

"Warm Feelings" the EROS

後藤浩二というピアニストは、日本人のジャズを聴き始めたころに名古屋に良いピアニストがいるということで誰かに教えてもらった記憶があります。
当時の新譜を聴いた記録がありまして(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a4038691.html )
blogのごく初期で、中身薄いですが(恥)
が、タイトルが書いていない(笑) 年代的に"Azul"(https://www.amazon.co.jp/dp/B0008GJZDY/ )だったと思われる。(手放してないはずなので探せば出てくると思う)
この頃から名前は憶えていたが、以降アルバムを買う(聴く)ことはありませんでした。すいません。

本作は、先日のライブ(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/473425622.html )のときに江藤さんが、持ってきていたのを購入しました。
メンツは、以下の通り。加藤雅史のベースは、ライブ、アルバム含め初のようです。よく見ると3人とも「*藤」なんですね(笑)
後藤浩二(P)、江藤良人(Ds)、加藤雅史(B)

2018年10月に行われた名古屋のライブハウス jazz in LOVELY でのライブを収録したもので、CD2枚にたっぷりと演奏が入っています。

後藤のオリジナルが3曲、江藤のオリジナルが2曲に、Joe Henderson, Charlie Haden, Don Cherry, Duke Ellington等々で全部で14曲、なかでもBeatlesが2曲入っているのが特徴的。
DISC1
1 Recorda Me
2 First Song
3 Nostalgia
4 SHIROKO
5 You are My Everything
6 Utakata
7 The Nearness of You
DISC2
1 The Fool on the Hill
2 The Rainy Day
3 Art Deco
4 In a Sentimental Mood
5 Hey Jude
6 This is New
7 La Rencontre

後藤の強めでありながら流麗なタッチで奏でられるピアノ。
速いフレーズも、本人が弾きたいフレーズを淀みなくきっちりと弾ききって聴かせる。
ただ、テクニック偏重なんてことはなく、粗さをものともしないノリの良さ、タメを効かせたしっとりとした表現等々しっかり弾き分けて、表現力の幅の広さを見せ、多彩な表現力と盤石のタッチは、旨さ上手さ巧さを感じさせる。
力強い運指で強めの音を弾き出す、音程もしっかりゴンゴンというが如くのベースがまた素晴らしい。
ノリの良い曲では演奏をグイグイと煽っていくようなドラミング、しっとりとした曲では演奏を包み込んでいくようなドラミングと、打力を微妙にコントロールしながら、緩急織り交ぜ、演奏をきっちり締めている江藤のドラム。
各人の演奏は、個々に聴いていると硬質な部類になると思うが、3者が揃ったところで奏でられる音楽は柔軟な雰囲気を感じさせる、とても心地良いくつろいだ気分に変化。

選曲も、ジャズメンオリジナル、Batles、を含む4ビート8ビートを中心にしたもので、テーマもあまり崩さず演奏しているので、難易度も高くなく、2枚続けて気持ちよく体を揺すって聴ける作品に仕上がっている。

ベストはDisc1の3曲め

"Warm Feelings" the EROS(https://www.amazon.co.jp/dp/B07PQTYD13/ )

中牟礼貞則×南博×加藤一平(20200229)

この組み合わせは、南さんからの提案で実現したものと聞いていますが、ギター2人にピアノというトリオ構成でのライブです。
2人のギターが、重鎮中牟礼に、若手の過激系筆頭?の加藤ということで、この組み合わせでどんな音楽が飛び出てくるか興味津々で会場に赴いた次第。

開場するくらいの時間に着きましたが、その後も続々とお客さんが入ってきて、予想以上(失礼)の集客にちょっと驚くくらい。(20人弱はいたのでは?)

セッティングは、ピアノが左側に移動され、その手前に中牟礼さんが立ち、元々のピアノの場所に加藤君が座るという配置。
ちょうど、左前から右奥への斜めな配置といった塩梅。
加藤の足元にはペダル類がたっぷりと並べられています。

メンツをあらためて書き出すと以下の通り。
中牟礼貞則(G)、南博(P)、加藤一平(G)

定刻を5分も過ぎたところで開演。
演奏するのはすべて、スタンダードかジャズメンオリジナルで、Duke Ellington, Toots Sealmanとかがあったような..。
各人のオリジナルはなし。(1つだけ例外、後述)

曲によって、3人の誰かがイントロ的な演奏をした後に、テーマを多少なりとも崩しながら演奏し、その後はアドリブへと続くようなオーソドクスと言えるような進行が基本。

聴いていて、加藤が中牟礼を凝視して、バッキングで暴れようと目論んでいるのが見てとれるが、中牟礼は意に介さず、加藤が暴れ始めると中牟礼が引き気味になってしまうような場面が多数みられたか。
中牟礼が引いてしまうので、南は場を取り繕うようにバッキング的な演奏をしてくると、加藤がそれにのっかる。すると中牟礼の出る幕がよりなくなって聞く体制に入ってしまうと..。

もっと中牟礼が自分の演奏を誇示して、あるいは加藤がもっともっとメリハリをつけて中牟礼が主導権を握るような展開を促せたら、暴れる加藤を、中牟礼、南の2人で受け止めるくらいのバランスになってもっと面白かったんじゃないかというのが正直なところ。
そんななんで、加藤はオーソドクスな音色を使っての演奏が多かった印象。過激な音をもっともっと駆使したかったんじゃないかと思うが..。

2nd setの冒頭が、それぞれのソロからスタートしたが、中牟礼が、2ndの冒頭をそれぞれのソロを披露することを提案したとのMC。
1st setで各自の演奏の良い部分がしっかり披露しきれなかったから、まずは各人の持ち味をしっかり提示することをを優先したんでしょう。
ここで、中牟礼、南はスタンダードをしっとりと聴かせていたが、加藤は今作ったと言ってオリジナル(ノートランクス)を披露。ここで電気処理を存分に駆使した過激なサウンドを爆裂していた。

2ndの後半になって中牟礼のフラストレーションが溜まってがっつり弾き出したところで、本来の面白さが出てきたかなぁとは思ったが。

1st setが50分くらい、2nd setも似たような感じ、さらにアンコールにも応えてくれました。
次回があるなら、より融合し進化した変則編成のトリオが聴けるんじゃないかと思うが、

皆さんが辞したところで、ゆっくりとお店を後にしました。

林栄一ソロ(20200226)

本来は、高橋祐成とのデュオの予定でしたが、高橋祐成が発熱でお休みということで、急遽林栄一ソロとなったライブです。

開演ちょっと前に到着、今日はかぶりつきでと、一番前に陣取ったら、大半のお客さんが前の方に座るという、ちょっと珍しい展開。
定刻を5分も過ぎたところで演奏開始。

最初の曲こそ、即興での演奏だったが、次の曲から、スタンダード、ジャスメンオリジナルを中心とした選曲に切り替えてゆく。
Thelonius Monk、Ornette Colemanといった曲から、2ndでは、Astor PiazzollaのLibertango、Eric DolphyのFire Waltzまで披露。
Ornette Colemanの曲はLonely Wonanだったはずだが、途中で、夢は夜開く が紛れ込んでくるあたりが、林節の真骨頂か。
曲の間はさることながら、曲の途中でもこまめにリードの調子を整えながら、最善の音出しにこだわった演奏を聴かせる。
テーマをそこはかとなく提示しつつ、気の向くままに演奏を展開して即興へと雪崩れ込む、そんなスタイルが林栄一らしく、ずりすりと引き込まれていく。

2ndの後半で伝家の宝刀ナーダムを繰り出し、そこが今週のハイライトってな様相か。
しかし、あの曲の破壊力は凄まじいものがあるとあらためて実感する次第。

1stが30分強、2ndが45分くらい、ソロでの演奏であることと年齢を考えたら、充分にたっぷりとした演奏を聴かせてくれたと言えるでしょう。
お客さんは10人を少し欠けるくらい。濃密な演奏を分かち合いました。
平日なので早めに辞してきました。

"Time Remembered" 須川崇志 Banksia Trio

須川のリーダー作を紹介するのはこれが2作め。前作は
 "Outgrowing" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64688221.html )
トリオとしては、Ictus Trioの下記が直近の作品だが
 "ICTUS" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64398605.html )
古くは、桑原あいの作品があり、これが個人的には、初須川ということになる、
 "Love Thema" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63152665.html )

須川のサウンドはライブでも多く聴いているが、本作はライブでも聴いたことがない、林正樹をピアニストに迎えた作品。
林のアルバムも実は多く聴いていまして、ざっと並べて以下のような感じ。
 "Double Torus" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61724220.html )
 "El retratador" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62617345.html )
 "Pendulum" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63495170.html )
 "Lull" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64417037.html )

ここに石若駿を迎えた、かなり強力な布陣でのトリオです。
須川崇志(B)、林正樹(P)、石若駿(Ds)

演奏曲は、須川3曲、石若3曲、林1曲のオリジナルに、スタンダードを入れた全部で8曲。
1.Time Remembered
2.Yoko no Waltz
3.Nigella
4.Banksia
5.Under the Spell
6.Lamento
7.Largo Luciano
8.Yoshi

全体的な印象としては、クールだったりシリアスな雰囲気が前面に出ている、東鉄な美しさを持った作品というのが第一印象で、温度感は総じて低めという印象を持つということにはなる。
が、林のピアノが奏でる旋律にそこはかとなくほの温かいものを感じるのも事実で、個人的感覚としては、このピアノの醸す温度感で、そう冷ややかなものではなくじんわりと温かなものを感じるようなアルバムと受け取っている。

個々人の演奏も、名手揃いなので満足度の高い演奏であるのは当然として。
須川のピチカートでの音の強さ、表現の盤石さは言うに及ばず。
ボウイングでの圧倒的な表現力に脱帽。
特に 6曲めで冒頭からのがっつりと披露している渾身のボウイングが圧巻。
ここでの石若は、石若の繊細さがよく出ているドラミングで、
これまでの演奏の中でも際立って(肯定的な意味で)温度感の低いドラムを叩いているのではないかと感じられる。
細心の集中力で音を出しているような気配すら感じるような、そんなドラムを聴けるのは、ちょっと珍しいように思う。

美しさとほの温かさとが醸し出す、程よい緊張感が心地良い、素晴らしい作品に仕上がっている。
今年の年間ベストの有力候補です、これは。

ベストは3曲めにしましょう。
"Time Remembered" 須川崇志 Banksia Trio (https://www.amazon.co.jp/dp/B082JRMNX1/ )

"Folky Talkie" 渡辺翔太

渡辺翔太のリーダー作を買うのはこれが2作め。
前作は石若駿参加を見つけて買いを決めていますが、本作も同様の理由と言って良いでしょう。
その前作の紹介は
 "Awareness" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64531360.html )

メンツが前作と同じで、石若、若井に、ボーカルの吉田も同様に参加。
渡辺は若井とともに1988年生ということで、若手だけのメンバーでコンスタントにアルバムを作れているということになる。
渡辺翔太(P)、石若駿(Ds)、若井俊也(B)、吉田沙良(Vo:3-5,8,10)

演奏曲は、すべて渡辺のオリジナルで全部で10曲。
01 Aaron (prelude)
02 Prisoner of
03 回想
04 Circle
05 Voice
06 Time-lapse
07 Forbidden Fruits
08 Milhaud
09 Nathaniel
10 君を抱きよせて眠る時

冒頭がピアノソロでの演奏で、タイトルからAaron ParksかAaron Goldbergへのオマージュと思いそうだが、たぶんAaron Choulaiなんじゃないかと思うw
3曲めからの数曲で、スキャット的なボイスが入り、最後の10曲めではしっかりとした歌詞のあるボーカルが入る。
前作ではたしか2曲での起用だったはずなので、渡辺翔太の音楽にとって吉田沙良のボイスの重要性が増してきていると推測できる。
全体的に曲調が歌のないポップスと言っても過言ではないような感じのものが多く、そのために吉田のボイス、ボーカルがランダムに入ってきても違和感のないということなんでしょう。
逆に、ジャジーな雰囲気を感じさせる場面はあまり多くない印象か。
即興と思われるパートも、気合の入った演奏を仕掛けてくるリフなんてのもあるが、なんだか印象が薄いというか..。

ピアノはテーマもソロもメロディアスな旋律を柔らかめなタッチ奏でるスタイルで、程よくハードでダイナミックな演奏も駆使するが、基本は非常に美しい音色で聴かせるところに持ち味がある印象。
エレピを一部では利用して音の変化を作っているが、それが曲調と相まってか格好良くハマっていて好印象。
若井俊也の太めな音色でどっしりとした迫力を聴かせるたおやかなベースが全体のポップな感じに加担している部分もありそう。
ベースの支配力が強いわけではなさそうだが、全体にじわじわ効いているように感じられる。
ここでの石若のドラムは、あまり石若固有のグルーブ感は希薄なオンビート基調のドラミングを披露している場面が多い印象ではあるが、部分部分で石若グルーブをしっかりと発揮する場面があるのでそうもの足りない印象にはなっていないか。

ベストは2曲めにしましょう。

"Folky Talkie" 渡辺翔太 (https://www.amazon.co.jp/dp/B07Z75ZYNT/ )

永武幹子, 江藤良人 デュオ独壇場+ (20200203)

独壇場は、月曜の21時からの1セットだけのライブで、若手ミュージシャン数人が順繰りに出演して月1回程度開催されている。
過去にも永武の独壇場は見ていて、直近はソロ
 (20191118) https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/471625745.html
デュオは、2018年夏の岩見とのライブを聴いています。
 (20180813) https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64575612.html

今回は、最近気になるドラマー江藤良人とのデュオ。
江藤の演奏は、直近ではなんとなんとのRosario Giuliani, Fabrizio Bosso Quintet で聴いています。
 (20190919) https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/470325767.html

開演30分前に到着、先客が5-6人いたと思う。
ピアノは定位置で蓋を開けた状態、ドラムは左側で自前のドラムセットを持ち込んでいました!! 1時間のライブなのに凄いことです。

ほぼ定刻に演奏開始。
演奏したのが明るめの雰囲気の曲が多め、テンポも全体的に速めなものが多かったか。
たしかオリジナルが1曲で!他は聴き知った曲が大半で全部で6曲演奏してたと思います。
元々、強めのタッチでガシガシ攻め立てるピアノの永武だが、速いテンポで音数の多いフレーズもしっかり速弾きでこれでもかってくらいアグレッシブに鍵盤を叩きまくる。
4曲めだったかOrnette Colemanのround tripで、さいしよのテーマはまっとうなテンポだつたのが、後半で江藤がテンポを「意図的に?)グッと上げて最後のテーマの速いこと速いこと、良く指がついていくなと感心しきり。
さすがにその後少し長めのMCで休憩したあと、次の曲はバラードを選んでました。
バラードと言っても、冒頭はゆったりとした感じに始まるが、テンポこそ変わらないものの徐々にテンションが上がってきてダイナミックな演奏へと変わっていく。
繊細にメロディアスでありながらピアノを気持ちよく乗せながら煽っていくようなドラミングで、終始テンションの高い演奏をサポートしていく江藤のドラム。
曲がの印象に綺麗に乗っかっていながら曲を先導していくようなスリリングでありながらなんとも心地良い。

アンコールにも応えてくれて、軽く終わるかと思ったら、ここでも熱い演奏をたっぷりと演じ、後半のピアノソロでは江藤が手拍子を促す場面も!
1時間を少し越えるたっぷりと演奏を聴かせてもらいました。
最終的に10人くらいの聴衆だったか。

前日が深酒(Megの会 VS No Trunksの対抗戦がありました)だったので、早々に辞してきました。
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