日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

"Warsaw Wow" Kasper Tranberg / 南博

先日、デビューアルバム(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63646287.html )が再発されたピアニストの南博の作品は数多く聴いていますが、管の入ったものはBOZO名義の作品(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a53070889.html )と、Go There名義の作品(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a59740762.html )があります。
 他に、"花と水"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a57539139.html )、"Lindenbaum Session"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a59160542.html )があるが、トランペットとの共演ってのを聴いていないはず。。
Kasper Tranbergとは、自分が南さんを知る以前にいくつかアルバムを残していたのは知っていたが、どフリーとの前評判を聴いていたので手を出していません。(たぶん、すでに入手困難でしょう)
 https://diskunion.net/progre/ct/detail/060218-06 , https://diskunion.net/progre/ct/detail/XAT-1245393602 , https://diskunion.net/progre/ct/detail/XAT-1245393501

本作は、共演作のリリースからしばらく(10年以上?)経って、久々の再開セッションをライブ収録したもの。
とはいえ、前述の先入観があるのでリリース時には手を出さず、しばらく経ってかなり安価に入手しています。

メンツは、金森もとい、芳垣安洋を擁したカルテット。金森もといは20代の若手ベーシストです。
Kasper Tranberg(Tp)、南博(P)、金森もとい(B)、芳垣安洋(Ds)

演奏曲は、すべて南博のオリジナルで,タイトルのワルシャワで作ったものとのこと。
01 Empire Red State Building
02 Alley
03 More Than Quiet
04 I'm here
05 Cafe Circle
06 winter tea

前述の通り、Kasper Tranberg参加の南博作品がいくつか存在しているのは認識していたが、完全フリー作という前情報から、かなりハードなフリージャズという先入観的な印象を持っていて、これまで積極的に聴こうという姿勢ではなかったんです。(懺悔)
冒頭、かなり速いテンポではあるが4ビート基調の熱いインプロビゼーションの応酬といった演奏で、個人的嗜好の範疇にどっぷりはまってて、完全に聴かず嫌いを反省する事態に至り恐縮至極でありました。
Kasper Tranbergのトランペットがなんともクールな佇まいで、このサウンドが全体の雰囲気形成には大きな影響力を持っていると感じられる。
南さんのピアノが、曲のニュアンスに合わせた絶妙な塩梅の演奏で南さんらしいフレーズをしっかり聴かせつつ良いセンスを見せてくる。
南さんのピアノはとくにリフでらしさが出てくる。
ドラムとベースがヘヴィ級と言って良い強さを持っていて演奏の強さを引き出すには充分な面々。
実に聴き応えのあるサウンドを聴かせる。
2曲めが一番ハードな印象の曲、3曲めがスローに奏でられる渋いスタイルの曲、4曲めか一番シリアスな曲、5曲めもシリアスな展開だが、もう少しバラードな気配を感じる。
最後の曲が、音数を厳選したようなおどろしい曲で締め括られる。

ベストは5曲めにします。

"Warsaw Wow" Kasper Tranberg / 南博 (https://www.amazon.co.jp/dp/B07PFXBX3J/ )

"Takezo Yamada Special" 山田丈造

これが、山田丈造の初リーダー作になるんだと思います。
過去に、加入しているバンドのアルバムがあります。
 "MAZIWARIS" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64571648.html )
参加作は、林栄一さんの "Naadam 2020" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/478099856.html )、板橋さんの "Fumio 69" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64698636.html )と大所帯バンドに、荒武さんの "Constant as the northern star" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64781512.html )なんてのも聴いています。

メンツは2管クインテットで、山田玲, 高橋佑成は過去に数枚のアルバムで聴いていて、古木佳祐も自blogを検索したら1枚参加作が出てきました。
 蕪木光生 "Epich" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64078049.html )
曽我部泰紀だけ初のようです。皆若手ミュージシャンなんでしょう。
山田丈造(Tp)、曽我部泰紀(Ts)、高橋佑成(P)、古木佳祐(B)、山田玲(Ds)

演奏曲は、山田が5曲(1,4,6,8,9)、曽我部が1曲(3)のオリジナルに、Cole Porter, Richard Rogers, Charles Mingus, Leon Pendarvisで全部で10曲。
1.Spirit Kick
2.I Concentrate On You
3.Opus Three
4.Funky Boy
5.Glad to be Unhappy
6.Takezo Special
7.Remember Rockefeller At Attica
8.D & Y
9.Atavism
10.City Connection

冒頭から、若さ溢れるハードバップといったサウンドが飛び出たところでちょっと驚く(汗
これまで聴いてた参加作が、林栄一、板橋文夫の作品だったので、実はもうちょっとハードな演奏でくるかと思ったもので…。
程よいノリの4ビートに、2管でのアンサンブルで奏でるパリッとしたテーマ、キレの良いリズム、歌うようなソロの1曲め。
2曲めではミュートをつけたトランペットを起用した軽快なノリ。
以降も、4ビートを主体とした(8ビートもある)の典型的なと言いたいようなハードバップサウンドを聴かせる。
4曲めでエレピを起用し、ちょっとアヴァンギャルドな気配を醸し出すが、これがアルバム内で一番とんがった演奏か。
いずれの曲も若さを感じさせる溌剌とした演奏で、メンバーそれぞれのソロでも勢いのある演奏を聴かせているところが気持ち良くもあり、聴き応えあもある。
実にのびのびとしたサウンドになっている。
5曲め8曲めがバラード、個人的にはバラードとしては8曲めのほうが好きかなぁ。
若い世代なので、これまでのいろいろなスタイルを経験した中で、このスタイルがベストマッチだったということだと思うがハードバップを選んでくるのはいろいろ凄いと思わせる。

ベストは2曲めにしましょう

"Takezo Yamada Special" 山田丈造 (https://www.amazon.co.jp/dp/B08PDPRHXX/ )

"On The Mountain" On The Mountain

On The Mountainというたぶん芳垣さんのバンドの1枚めのアルバムがリリースされました。
このバンドはすでに2〜3年くらい活動をしており、過去にライブを1回見ています。
 "On The Mountain (20180120)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64391889.html )

メンツは、芳垣、岩見の両氏はお馴染みによく聴いている人ですが、吉森さんは上記ライブのときが初で、そのとき調べたら実は有名な方だったと知って驚いた記憶があります。(自分の無知とともに..)
芳垣安洋(Ds)、吉森 信(P)、岩見継吾(B)

演奏曲は、吉森3曲(2,4,9)、芳垣(1)、岩見(8)各1曲のオリジナルと、Jan Hammer, Duke Ellington, King Sunny Ade, Robert John Gaudio, Jim Pepperといった曲が並ぶ。
01. Mbir-Va
02. Dancing Rainbow
03. Thorn Of A White Rose
04. 見たことのない雨
05. African Flower
06. Samba
07. Can't Take My Eyes Off You
08. 光る絵本
09. 福の島の光
10. Witchi Tai To

冒頭がカリンバが鳴るイントロからの土着的なリズムといった様相の曲。
2曲めが、かけ声の直後に拍手が沸き起こりそれが手拍子のリズムに変化していく、そこから演奏がスタートする。
全体にリズムが強い演奏で、元々強い音のベースを奏でる岩見氏がその強いサウンドで曲の骨格を作っていくが、
印象としてはそれ以上にドラムの強さを感じるってのは、それだけ芳垣氏のドラムのもの凄さを物語っている。
それほどドラムの強さが際立って感じられる。
そんな強烈なリズムの凄さもさることながら、ピアノがこれまた素晴らしく。
ヘヴィなリズムに引っ張られることなく、ヘヴィなリズムを乗りこなすような軽やかな演奏を聴かせている。
5曲めのベースがごっつりとした低音を響かせる上を、ちょっとエキゾチックな気配を醸しつつ聴かせるピアノとか見事としか言いようがない。
的確な役割分担での見事なトリオコンビネーションを魅せつける。
いくつかの曲でボイス、ボーカルが入ってくるが、このユニットではこれが基本スタイルでありバンドの個性になっていることを実感する。
もっともそれは、ライブのアンコールで本作の最終曲でもある Witchi Tai To を聴いているが故なんでしょう。
この曲のインパクトは大きい。
このアルバムを聴いて、久々に生での演奏を楽しみたくなった。

ベストは9曲めにしましょう

"On The Mountain" On The Mountain (https://www.amazon.co.jp/dp/B08NS7PJL4/ )

"Detour Ahead: Live At Airegin" 中牟礼貞則

中牟礼さんのソロアルバムがリリースされました。
中牟礼さんといえば、今年88歳を迎えるレジェンド中のレジェンドといった存在です。
が、実はこれまでライブは何度か見ているがCDで聴くのは初めて。
ライブは以下の通り、ちょっと偏向してる感じも無きにしも非ず。。
 "竹内直BCLトリオ (20110304)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60335620.html )
 "中牟礼貞則 / 佐藤浩一(20150110)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63004234.html )
 "中牟礼貞則 / 西山瞳(20150829)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63343710.html )
 "中牟礼貞則 / 南博(20180901)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64592099.html )
 "中牟礼貞則×南博×加藤一平(20200229)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/473820421.html )

本作ですが、2003年収録のカセット音源(1〜4曲目)、と2020年収録音源(5〜8曲目)の全8曲を収録したもので、音質よりも音楽のクオリティを優先したってことなんでしょうか。

本作はソロです。
中牟礼貞則(G)

演奏曲は、スタンダードと言って良いVictor Young, Herb Ellis, Richard Rodgers, Irving Berlin, Bill Evans, Jim Hall, Steve Swallowといった面々の作品に、最後にオリジナルを演奏して締めくくる。
01 Stella by Starlight
02 Detour Ahead
03 My Funny Valentine
04 How Deep is the Ocean
05 Time Remembered
06 All Across the City
07 Falling Grace
08 Inter-cross

全体を通して表現するとすれば、枯れた味わいという表現に終始するところだとは思う。
ひとフレーズくらいの単位で意志の強さを感るじような強い打弦と優しさを醸し出すような爪弾きとを絶妙に織り交ぜることで、こまめに緊張と弛緩を意識させるそんな演奏。
その演奏の変化が飽きさせず、退屈させない心地良い塩梅で演奏を楽しませる術に繋がっているんだろうなと、これは数多く聴いたからの感想ではあります。
一言で表すには前述の通り枯淡の味わいという表現で問題ないと思うが、それでは済まされない味わい深さ、年季の凄さを重く感じるとともに、えーと、それを感じ取れるだけの自身の感性の醸成(してると信じて)にも感謝しつつ拝聴している次第です。
最後に「アンコールってわけではないがオリジナルをちょっと」とMCを入れてオリジナルを演奏して締め括られる。

ベストは7曲めにしましょう

"Detour Ahead: Live At Airegin" 中牟礼貞則 (https://www.amazon.co.jp/dp/B08MQSHYW7/ )

石田幹雄3(20210227)

2019年に聴いている、石田トリオでありますが、
 "石田幹雄3(20191218)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/472733862.html )
この時が久々の再開セッションで、その後ライブレコーディング、いくつかのライブを経て国立に戻ってきたところでその演奏を楽しませてもらおうってのが参戦の動機。
その最新作が
 "緑輪花" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/480133670.html )
新作リリースツアーのライブはルーツである北海道の各所はじめ要所で企画されていたのは告知で知っていましたが、のっけからコロナの影響でスケジュールの中止に変更にと色々予期せぬ自体に遭遇してたようです。
最終的に国立のお店でのライブは予定通り開催できる運びとなりまして、当日朝に急遽予約を入れて参戦させていただいた次第であります。

ステージセッティングは前回同様、ピアノがちょっとだけ前に出したほぼ定位置、左奥に少し余裕を持ったスペースにベース、その手前にドラムという配置。
予定時間を10分も超過したあたりで開演。
MCを石田君が担うが、とくに曲紹介はなくおもむろに演奏開始。
冒頭からテンションの高い演奏を繰り広げる。
一般的には、クレジットがしっかりしてなくても、テーマから曲名を判別できるものだが、ここでの演奏は基本的には、曲を重要視せずにフリーインプロの応酬といった様相を中心とした演奏が繰り広げられる。
結果的にそれが非常にスリリングで、このライブを体験できたことに感謝する次第。

石田は、今回基本足を組んだスタイルを基本としているが、テンションか上がってくると足を組むのをやめて、のたうち回るようにピアノと対峙する。
瀬尾のベース、基本は強力なピチカートながら、要所でアルコ弾きを駆使する。
そのアルコ弾きの響きが格好良いことこの上なし。
竹村のドラム、通常のセッティングとは異なり、バスドラムから立ち上がるタムタムを無くし、右のシンバルのスタンドからフロアタムを取り付け、スネア1個、ハイハット、シンバル1枚、タム1個というシンプルかつ変則的なもの。
皮面だけでなく、リム、胴、等々を駆使した多彩なドラミングを見せる。

曲は、これまでの美旋律からフリーまでというふり幅の広さというよりも、3者の緻密なコンビネーションを聴かせるようなもの。
この時期だから、早い時間にスタートし、基本的には時間を厳守してのライブだが、後半は予定時間を少しオーバーするくらい盛り上がっていたか..。

そして特筆が、長らく廃盤になっていた"張碓"(https://www.amazon.co.jp/dp/B000Q36TSI )のデッドストックがあったとのことで、これを入手、"緑輪花"に3人のサインをいただいて意気揚々と帰路につきました。

"緑輪花" 石田幹雄

石田幹雄のリーダー作は、2018年のソロ作、"時景"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64470109.html )以来。
本作は、彼のデビュー作で現在入手困難な"張碓"(https://www.amazon.co.jp/dp/B000Q36TSI )の3人が久々にトリオを組んで録音した作品。
元々の共演歴の長い3人であること、その後3人3様で八面六部どころでない様々な場面での活動、活躍をしていること。
・・リズムの二人が揃って板橋トリオに抜擢、竹村一哲は渡辺貞夫バンドのレギュラードラマーでもあります。
そんなわけで、3人共演はしばらく途絶えていたが、それぞれが実力をパワーアップさせたところで2019年に久々にライブを再開。
その結果がこのアルバムになったといういきさつ。であってると思う。
このアルバムもライブ録音であるが、その再開セッションの初期の頃のライブを実はしっかりと堪能している。
 "石田幹雄3(20191218)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/472733862.html )

メンツは、そういうわけで以下の通り。
石田幹雄(P)、瀬尾高志(B)、竹村一哲(Ds)

演奏曲は、クレジットされてなさそうだがいずれも3人の誰かのオリジナルってことでしょう。
Disc1
1. 4Beatなやつ
2. Dのルバート
3. ハリウス
4. 瞬芸
Disc2
1. 釧路
2. G.O.I.M
3. 熱夏
4. A.P.C.H
5. 瞬芸

上述の通り、古くからの盟友である3人なので、長らくのギャップをものともせずのコンビネーションは揺るぎないもの。
さらに、3者がそれぞれの活動で醸成してきた実力がともなって、より演奏に凄さが出てきているような印象。
2枚のアルバムのなかに、緩急、強弱、リリカルな面とカオスな面とを織り交ぜた演奏が渾然一体となっており、さらにその振り幅が大きいことで、ダイナミズム、表現の幅広さが生み出されている。
もともと石田の演奏自体の振り幅が大きいと思うが、それがさらに大きく広がっているような感じ。
ここまで表現のはばの広いピアノトリオってのもなかなかないんじゃないかと思う。
そして、それだけの振り幅に3者がそれぞれに、加担し追従しているところが、これまた凄いところ。
聴いていて、トリオの妙も、石田のピアノもさることながら、一哲のドラムの凄さが際立っていて、これが大いなる聴きどころになっている。ドラムだけ聴いてても楽しい。

いろんな意味でのハードな演奏がこのトリオを真骨頂なんだとは思うが、それをさしおいてあえてベストはDisk2の 1曲めにしましょう。

"緑輪花" 石田幹雄 (http://ishidamikio.sakura.ne.jp/disco.html )

"Tributes" Marius Neset Danish Radio Big Band / Miho Hazama

1985年生のノルウェイ出身のサックス奏者であるMarius NesetがBigBandと共演した作品。
とはいえ、Marius Nesetという名前に記憶がなく、自blogを漁ったところ E.S.T.のトリビュート作に名前がありました。
 "e.s.t.Symphony" https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63984520.html
本作の購入動機はMarius NesetではなくBigBandのほう、しかも指揮を担っている挾間美帆の参加にあります。

メンツは多いですが書き出しておきます。
Marius Neset(Ts,Ss)

Danish Radio Big Band
Erik Eilertsen(Tp)、Lars Vissing(Tp)、Thomas Kjrgaard(Tp)、Gerard Presencer(Tp)、Mads la Cour(Tp)
Peter Fuglsang(As,Ss,Fl,Cl)、Nicolai Schultz(As,Fl)、Hans Ulrik(Ts,Ss,Bcl)、Frederick Menzies(Ts,Cl)、Anders Gaardmand(Bs)
Peter Dahlgren(Tb)、Vincent Nilsson(Tb)、Kevin Christensen(Tb)、Annette Saxe(Btb)、Jakob Munch Mortensen(Btb,Tuba)
Per Gade(G)、Henrik Gunde(P)、Kasper Vadsholt(B)、Saren Frost(Ds)
Miho Hazama(Cond)

演奏曲はすべてMarius Nesetのオリジナルで、アレンジもしているよう。
1.Bicycle Town Part 1
2.Bicycle Town Part 2
3.Tribute
4.Farewell
5.Leaving The Dock
6.Children’s Day Part 1
7.Children’s Day Part 2
8.Children’s Day Part 3

冒頭サックスソロがしばらく続いたところから、フルートが絡んできたところから分ペンスタートといった様相。
この冒頭曲のテーマが息継ぎできないんじゃないかというくらいの旋律で、さらにそれが延々と続いていて、とんでもない曲。後半ではアンサンブルに引き継がれるからBigBandの面々もたまったもんじゃない。
全体にBigBandは木管楽器が中心となってのアンサンブルを主体にした、優しい音色という印象を持つようなサウンドに仕上げられている。
途中、6曲めででてくるギターソロがちょっと意表を突くが、そんなアレンジの妙なんかもみせる。
そして、Marius Nesetのちょっと太めで強めのサウンドが、優しい音色のBigBandのサウンドから、しっかり浮き出てくるように前面に鎮座しているのが、主役の主役たるところ。
こういう演出というかしっかりとした仕込みもできている。
しかし、ずっと吹きまくっているんじゃないかというくらい、ずっとMarius Nesetのサックスが聴こえてきているのは体力的にも大したもんだと思います。

ベストは、2曲めにしましょう。

"Tributes" Marius Neset Danish Radio Big Band / Miho Hazama (https://www.amazon.co.jp/dp/B08F6M5KF9/ )

"Nothing Unspoken Under The Sun" 松丸契

松丸契の絡んでいるプロジェクトはいくつかあって、
 m°Fe は、2月にアルバムがでるらしい
 THINKKAISM は、2019年にアルバムが出ています。 https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/470849815.html
 SMTK https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/475485933.html は、石若のプロジェクト
と、これまではユニットの名称でのアルバムが続いたが、ようやく個人名義のアルバムがリリースされました。

メンツは、Boys Trio(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64034776.html )をリズム隊に迎えたカルテット。
言い換えると、THINKKAISMを1人ドラムにしたものとも言える。
松丸 契(As,Ss)、石井 彰(P)、金澤英明(B)、石若 駿(Ds)

演奏曲は以下の通り。松丸5曲、石若2曲、金澤1曲のオリジナルに、Interludeは即興なんでしょう。
01 harim tok (for West Papua)
02 ignorance is bliss
03 虫籠と少年
04 interlude
05 it say, no se
06 霧雨
07 夏は短い
08 interlude
09 暮色の宴
10 when we meet again

濁りのあるサックスが第一声。
これで、アルバムのおおよその傾向がわかるというか、難解なんだろうなとは感じられる。
ビート感のないスピリチュアルな気配濃厚なサウンドが大半を占める。
松丸のサックスの神経を尖らせ、慎重にコントロールされた音色、フレーズが空間を切り裂くように響く。
一聴、とっつきの悪い曲調に、訥々とした演奏もあるので、少々理解しにくい部分もあると思うが(自分も似たようなもん)、
回数重ねて聴くことでその真価深化具合が垣間見えてくるような印象。
Boys Trioの面々が、磐石のコンビネーションで松丸の音世界をバックアップする
曲の雰囲気に追従もし先導もするような変幻自在のドラミングのもの凄さ
なんだかんだで石若はやっぱり凄いと思わされる。
4曲め8曲めがサックスとのデュオで、これがまた程よいドライブ感と緊張感で聴き応えあり。
ピアノはほぼバッキングに徹するがそれでも存在感に揺るぎのないもので(当然だが)侮れない存在。
聴けば聴くほどに、なんだかわからないけど凄いと感じてくるようなアルバム。

ベストは3曲めにしましょう。

"Nothing Unspoken Under The Sun" 松丸契 (https://www.amazon.co.jp/dp/B08KHRNJ1C/ )

"Human Dust Suite" Miki Yamanaka

山中みきのアルバムを聴くのはこれが2枚めです。
 "Miki" https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64689341.html
リーダー作としては3枚めのようで、2012年の下記作が、おそらく自主制作で、これが初リーダー作のようです。
 "Songs Without Lyrics https://www.mikiyamanaka.com/product-page/songs-without-lyrics
参加作では、Roxy Cossの作品で聴いています。
 "Future Is Female" https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/474041550.html

メンツは、アルトサックスを擁したカルテット編成。Jochen RueckertとOrlando le Flemingを擁しているところがすごい。
Orlando le Flemingは前作でも共演していて、よっぽど相性が良いってことなんでしょう。
Anthony Orjiというサックス奏者ははじめて聞く名前です。
Miki Yamanaka(P)、Jochen Rueckert(Ds)、Orlando le Fleming(B)、Anthony Orji(As)

演奏曲は、Randy Westonが1曲(11)で、残りは Miki Yamanakaのオリジナル。
01.Pre School
02.March
03.First Day of Spring
04.Human Dust Suite I Brain
05.Human Dust Suite II Hatsu
06.Human Dust Suite III Tummy
07.Human Dust Suite IV Feet Go Bad First
08.Human Dust Suite V Party's Over
09.O 2017
10.After the Night
11.Berkshire Blues

基本的には、非4ビートのCool Jazzといった様相の曲が並んでいる印象。
1曲めこそ、4ビートでしっかりCool Jazzな演奏ではあるが、以降の曲ではそこはかとなくCool Jazzな気配を感じさせるような、そんな演奏。
サックスが、多分初めて聴く人だが、この人がCool Jazz系の音色と演奏の人で、このサウンドが全体の印象に繋がっているんでじゃないかと思う。
ピアノは優しく奏でるところはしっかり優しいが、全体的にはぶっ叩くほどではないにしてもタッチは強めでしっかりはっきりとした音色が持ち味になっている。
そして、控えめな印象だった前作よりは前面に出てきている場面が多いか。
ベース、ドラムがインスピレーションに基づいた演奏を主体としているが、キメるところをしっかり決めてくるからカオスにはならず、ドライブとグルーヴが出てきている。
そこがこのアルバムの格好良いところ。

ベストは11曲め

"Human Dust Suite" Miki Yamanaka (https://www.amazon.co.jp/dp/B089MT2C4P/ )

"Introducin'" 浅利史花

最近、頭角を現してきたた(と言って良いと思う)女性ギタリストである浅利史花の初アルバム。
ライブも数回見てます。
 "20190916" https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/470158045.html
 "20200316" https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/474091829.html
 "20201214" https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/479033736.html
いま気づいたが、すべてギターが異なる。HP(https://fumikaasari.com/profile.html )みるとこれで所有ギターのすべてのよう。

曲ごとにメンツを変え、まさに"Introducing"というにふさわしい、いろいろな側面をみせてくれるようなメンツと曲構成。
浅利史花(G)
江澤茜(As:7,8)、駒野逸美(Tb:7,8)
中牟礼貞則(G:3)、北島佳乃子(P:1,4)、石田衛(P:6,8)
小杉敏(B:1,2)、三嶋大輝(B:4,5,7,8)、木村紘(Ds)、柳沼佑育(Ds:4,5)

演奏曲は、スタンダードといって良い楽曲に、カーペンターズを含んだ全部で9曲。オリジナルはなし。
1. Triste
2. Summit
3. Black Orpheus
4. Bluesette
5. Daahoud
6. Goldfish Droppings
7. Sing
8. Close To You
9. But Beautiful

ミディアムテンポの4ビートで奏でられるオーソドックスな曲が並ぶ。
曲によって編成とメンバーが変わるが、オーソドックスな演奏での安定のギターサウンドがスタイルの一貫性をみせ、散漫なイメージはない。
とくに、ギターが短いフレーズの末端での処理を、キレの良い若々しさを見せたり、女性的な優しくていねいにまとめたりと、しっかりと表情をみせながらの演奏が印象的。
3曲めで御大中牟礼さんとのデュオ。
御大の枯れた味わいとの対比を見せつつ、それでいて良いコンビネーションを聴かせる。
6曲めが旦那である石田衛とのデュオで、双方の優しさに満ち溢れたような演奏がなんとも…妬けるっていうかw
7曲めと8曲めがカーペンターズの曲で、たぶん本人の好きな曲なんでしょう。
7曲めは主旋律を2本の管に任せてギターはザクザクとコードを掻き鳴らすことに終始する、8曲めは、ギターがしっかりと主旋律を担う。
いずれも元曲のテーマをしっかりと聴かせ、曲の良さを引き出している。

ベストは5曲めにしましょう。

"Introducin'" 浅利史花 (https://www.amazon.co.jp/dp/B08L82FP22/ )
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