日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

"Vol.掘Rip,Rise&Panic" 板橋文夫FIT!

板橋文夫FIT!の3枚めのアルバムということでリリースされたもの。
過去の2枚は以下のとおり。
 "New Beginning" https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60841417.html
 "MA BU I" https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63010284.html
実際には、トリオ+他のメンツってのも含めて、これ以外にも関連作は出ています。
 "あぁー!飯舘村" https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61819218.html
with MARDSとして、類家, 纐纈, 後藤, 高岡, レオナ
 "Alligator Dance 2016" https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63979738.html
+類家, 纐纈, レオナ
 "みるくゆ" https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63880619.html
なので、3枚めという告知に、えっ?、と思ったのが正直なところ。

メンツは、不変の3人
板橋文夫(P)、瀬尾高志(B)、竹村一哲(Ds)

演奏曲は、追悼曲が2曲、コロナ対抗作、人気曲を絡めた全部で8曲。
1.DE・BA・GA・ME2
2.夏
3.ぼくは多くの河を知っている
4.3rd Step
5.K 〜故 サックスの片山広明に捧ぐ
6.Corona vs Alligator
7.渡良瀬
8.しばちゃん 〜故 柴田浩一氏に捧ぐ

トレモロ、グリッサンドを交えた強打鍵から、拳転がし奏法も駆使したフリーへとなだれ込むようなハードな演奏から、思い入れたっぷりに聴かせる美旋律まで多彩なピアノ表現を聴かせる板橋の魅力がしっかりと出ている。
ミスタッチをものともしない勢いのある演奏が最高に格好良く、粗さみたいなものも感じられるが、それが個性というか味というかしっかり魅力になっているところはいつ聴いても感嘆するところ。
かてて加えて、Fit!の2人の演奏が強烈。
一哲の腰の座ったぶっ叩きが全編にわたって強烈無比なビートを叩き出す。
ここのところパワーアップしているんじゃないかという瀬尾の、これまたごっつりとキレの良さとパワフルさとを兼ね備えたベースが響く。
選曲も、Alligator Dance、渡良瀬等々有名曲を織り込んでいて、そういうところもちょっとうれしい。
冒頭がメンバー紹介を兼ねたような曲で、渡良瀬が本篇最後の曲。板橋のソロでしっとりと奏でられるしばちゃんがアンコール。とライブを聴いているような流れもまた素晴らしい。

ベストは敬意を表して、7曲め

"Vol.掘Rip,Rise&Panic" 板橋文夫FIT! (http://bowz.main.jp/itabashi/index.html )

"Abstract Messages" Bungalow

Bungalowというユニットは、2017年に前作を新譜漁りしていて見つけたところが馴れ初め。
ピアニストの佐藤浩一がそもそも好きなミュージシャンで、いろいろ聴いているうえに、大村亘の演奏も2011年のリーダー作"Introspect"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60707416.html )を聴いている人。このアルバムを出した後インドに渡ってパーカッション修行に行ってたはず。
Bungalowとしてはこれが5枚めのアルバムになるはずです。
 "Metropolitan Oasis" https://www.amazon.co.jp/dp/B005YK8UWG/
 "Past Life" https://www.amazon.co.jp/dp/B00E5M1SZU/
 "Unseen Scenes" https://www.amazon.co.jp/dp/B00U0AU6KY/
 "Introspect"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60707416.html )

メンツは微妙に変遷しているようで、サックスが山本昌広からMike Rivettに、本作ではベースの池尻洋史が入っていないようです。
Mike Rivett(Ts)、佐藤浩一(P)、大村亘(Ds)

演奏曲は、メンバーのオリジナルだらけで、佐藤が4曲、大村が5曲、Rivettが2曲で全部で11曲。
01 Entropy in Flux
02 Rainy Lullaby
03 Dance of the Earth
04 The Simple Truth
05 Til When
06 Reduce
07 Abstract Messages
08 Fifteen Years
09 Destination of the Spirit
10 Fragile Systems / Between Realms
11 Gong

あまりしっかり覚えてはいないが、前作より様々な電子音が多くシンセだったり、ノイズ的なものだったり、エフェクト系、その他諸々。
空間を埋め、音の厚みがよりしっかりと出るような作風を目指しているということか。
3曲めではラジオアナウンスのようなボイスが入り、ある種のメッセージ性も予測できるが、全体としてはあまり明瞭には感じられない。
前作(の文面で)はクールジャズの様相という印象だったが、本作はコンテンポラリ寄りというか現代音楽寄りの曲調が多めで、佐藤のピアニズムに依っている曲が多めな気もしているが、はてさて。
大村の、ドラム以外にタブラその他のパーカッション類の音色が効果的に響くのが印象的。
このサウンドがバンドの個性に繋がっているのは間違いないでしょう。
このバンドでのサックスの印象がなんだか際立っていなくて、音色としてはしっかりはっきり判別できるが、電子音の音色のバリエーションに埋もれてしまっているような感じで、それも含めてこのバンドのサウンドってことだとは理解してます。
9曲め後半のソロとか、良い演奏もあるんですげどね…

ベストは3曲しょう。

"Abstract Messages" Bungalow (https://www.amazon.co.jp/dp/B08GV7F7VY/ )

"刻 HASHed Music" Hiroaki Katayama 4SAX

片山広明が亡くなったのが、2018年11月13日(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64655989.html )
翌11月14日に予定されていた明田川荘之とのデュオは、その直前に片山の体調不良を理由にソロに変更。
(結果的にキャンセルになったらしい)
個人的には、原田とのデュオを7月21日に聴いている(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64556399.html )。

記録音源としては、"Last Order"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64588498.html )が同年7月にリリースされているが、このアルバム以降はこれまで音源の発売はなかった。
本作は、2018年6月に行われたサックスカルテットのライブに、対バンの4管獣とのアンコールを加えて、メンバーの立花秀輝がCD化したもの。

メンツは、若手を含めた渋さホーンズといった様相の4人
片山広明(Ts)、鬼頭哲(Bs)、立花秀輝(As)、松原慎之介(As)

演奏曲は片山の演奏でお馴染みのものが並んでいる感じだが、全部で6局。語りだけのトラック(MC)が3つ含まれる。
そして、4管獣が入ってのアンコールが1曲という構成。
1. Four SAX
2. All of Me
3. MC
4. Hallelujah
5. MC
6. Go-Kart Twist
7. Lawns
8. MC
9. Before the Liquer Store Closes

Encore with SIKANJYUU
10. Better Git In Your Soul
11. Ending

4本のサックスの多彩なサウンドが飛び交うフリーフォームの猛者たちによるリズム楽器なしの演奏
テーマとか、キメるべきところはしっかりキメてくるので、そのアンサンブルの妙技をどっぷりと堪能することができる。(そんなところが中央線ジャズなんだと思う)
もっともフリーな演奏のパートでも絶妙に音を重ねているのか、不協和なサウンドが出てくるようなことはなく、
4本のサックスのカオスでありながら端正な音の重なり合いをたっぷりと楽しませてくれる。
1曲めは途中途切れないところからall of me が顔を出してくると(2曲めなのだがいつのまにかトラック上は2曲めになってる)2曲め(トラック上は4)は、片山おハコのハレルヤ、4者の持ち味を充分に発揮したような迫力たっぷりの演奏。
以降も、MCどころかヤジもハプニングも含めて小さいハコでのライブを全部おさめちゃったような内容で、笑いあり、感嘆あり、感動ありのこってりとした内容にお腹いっぱいになりますです。
選曲は、片山さんのおハコな曲が多いのは、中堅若手が、しっかりリスペクトしているということでしょう。
トラック9が、「酒屋が閉まる前にお酒を買いに行こう♪」の大合唱になだれこむ大曲^_^
そのあとが、四管獣が入ったより大所帯での演奏でアンコール。

ベストは、トラック4に尽きるでしょう。

"刻 HASHed Music" Hiroaki Katayama 4SAX (https://katayama4sax.wixsite.com/website )

浅利史花, 中島朱葉デュオ独壇場+ (20201214)

浅利史花の独壇場を聴くのは3月以来。
3か月に1回の 前回(ソロ)はタイミングが合わず。。
 浅利史花, 石田衛デュオ独壇場+ (20200316) (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/474091829.html )

ステージは、左に蟻田、右にサックスと並んで座る(椅子に座っての演奏でした)という配置。
約1時間前に到着して4番めだったか。浅利さんはいたが中島さんはまだ到着してませんでした。

あらためてメンツは
浅利史花(G)、中島朱葉(As)

ほぼ定刻に演奏開始。
演奏したのは、BeBop,HardBop系のスタンダードを中心に、ボサノバ等7〜8曲くらいだったか、ダーンザット、スクラップル、朝日
オリジナルは無し。

女性的な感じもさるとこながら、若い世代の演奏という印象を持ったのが、浅利のギター。
オーソドックスなスタイルが故に、無意識にも枯れた世代の演奏を想起して比較しようとしているするからかもしれないが、この日の演奏が好調だったような気もしている。
座った席から左手のコードを抑える手がよく見えて、その細かく繊細に動くさまと、そんな運指からいろいろなスタイルの演奏が次から次へと飛び出してきて飽きさせないところがなんだか凄いなぁと、そんなところに感嘆してました
今回もエフェクターの類は一切なし。
中島のサックスは、ほとんど変化球的な音色を使わず、力感のこもったサウンドで速めなリフを交えながら次から次へとフレーズを紡ぎ出していくような直球勝負的なサウンドといった様相。
最近、フリースタイルが主となる奏者を聴く機会が(特にラ邦人では)多かったので、そんなサウンドが個人的にはとても新鮮に響く。
バラードでも、しっとりとした中にもある種の勢いみたいなものを感じさせるのは若さゆえなのではないかと。。
このデュオは別のライブハウスでは何度か演っているとのことで、ほどよいアレンジでの両者の掛け合いも阿吽の呼吸で淀みなく聴かせる。

アンコールにも応えてくれて、1時間強たっぷりとゆったりと演奏を堪能させていただきました。
焼酎のお湯割りを呑みながらその余韻に30分くらい浸ってから帰路につきました。

"SongBook5" 石若駿

石若駿のSongbookシリーズの5作めがリリースされました。
初作が2017年なので、約1年1枚のペースでのリリースってことになります。

過去の4作は以下の通り。
 "SongBook" http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64021298.html
 "SongBook2" http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64343657.html
 "Songbook3" http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64679619.html
 ”Songbook4” https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/473056188.html

これまで自身作曲の曲を、角銅真実をはじめ数人のボーカリストを招いて歌ってもらっていたものを徐々に角銅の比重があがっていき、本作では角銅だけのボーカルということになっている。
演奏も、石若自身が多くを 本作ではドラムとピアノ等鍵盤楽器は自身の演奏だが、他の楽器はそれぞれ仲間のミュージシャンを起用している。
角銅真実(Vo)、 西田修大(G)、 Marty Holoubek(B:2-6)、 佐藤良枝(Cl:2-4,6)、 Niran Dasika(Tp:3)、 松丸契(Cl:4)、石若駿(Ds,P)

演奏曲は、7曲めが角銅の曲で残りは石若のオリジナル。
1.Semitori Shonen
2.Natsuyasumi
3.Messe Basse 1
4.Messe Basse 2
5.Messe Basse 3
6.Messe Basse 4
7.Happy Song   

全体に、これまでのアルバム通りに牧歌的な雰囲気を持った曲が多いが、これまでよりもノリ良く聴けるような印象。
曲としても明るめでほど良いテンポが大半を占めており、前作でも多くの曲で起用されていた西田のギターが、ここでは全面的に起用されロックテイストのあるギターでポップな雰囲気を出しているのが大きいか。
また、角銅のファルセットでの歌唱が、ある種の重苦しさ(褒めてます)を加えて独特な石若SongBookワールドを作り出している
これが5作めとなるこのシリーズだが、おおおざっぱな印象としては「Songbookスタイル」のようなものが確立されてきていると感じられ、聴いていてこれはSongbookの中の曲だなというのがわかってくる。
おそらくではあるが、このシリーズは石若のライフワーク的なものだと思っているが、固有の音世界をしっかり構築してきたということなんでしょう。
トラックタイトルも、毎回ちょっと楽しみにしているのだが、今作はMesse Basseだらけでそこはちょっと残念。
歌詞があるので、その語を拠り所にすることで普通の人は普通に聴けるというのもあるかもしれないが(その詩にどんな意味があるかはちょっと悩みそうだが)、個人的にはやっぱり演奏を主体に聴いてしまっているのは。。。

ベストは、7曲めにしましょう。

"SongBook5" 石若駿 (https://www.amazon.co.jp/dp/B08JZB4KS5/ )

"Live At Pit Inn" 坂田明×トリプルエッジ

坂田明×トリプルエッジのアルバムは、2019年夏に、なんとミスマッチな組み合わせのバンドを作ったもんだと驚いて買いを決めてまして、その紹介は
 "坂田明×トリプルエッジ" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/468530050.html )
冷静に考えると、レーベル主催の藤掛さんがブッキングしたってことなんですかね?
坂田明に坪口昌恭をぶつけてくるという発想は英断というか見事というか意表を突き過ぎているというか。。
そんな初作に引き続いて、Pit Innで行ったライブ音源がリリースされたので、これは買わねばならぬ聴かねばならぬと、買い込んできたもの。
しかし、ライブを演ったのも凄いが、反響が良かったということでしょう、ライブアルバムまで作ってしまうというのがこれまた凄い。

メンツは、前作と変わらず、坂田、坪口に、早川岳晴とレーベル主催の藤掛正隆が入ったカルテット。
坂田明(As,Cl)、坪口昌恭(P,Syn)、早川岳晴(B)、藤掛正隆(Ds)

演奏曲は以下のとおり。クレジットの記載はないが、全部即興ということで大丈夫と思います。
1. Triple Edged Due
2. In Seven
3. Yansa-Yoiyasa
4. Botchan Dongri
5. Rolschach Suite 2019
6. Nyudo Seikyo

坂田のサックスと藤掛のドラムのもの凄さに圧倒されるってのが第一印象。
さらに、怒涛のドラムにベースの低音が乗ることで、ど迫力のリズム、グループが鳴り響く。
坪口のピアノが冷静に絡んでいくが、耳はパワフルなサックスとドラムに持ってかれてる場面が大半か。
2曲め、5曲めとか生ピでなくとシンセサイザーを多用している曲ではバランス的には対峙できてるような気がしている。
半分くらいの曲で、坂田の語りがフィーチャーされているが、これがまた面白くて、意味があるような無いような言葉をドスの効いた声音で捲し立てられると、異様な説得力というか聴かせる力を持っていて侮れない。
4曲めは「どんぐりころころ」を講談どころでない迫力で語り尽くす。そう来たか!って感じ。
前作でも書いているが、坂田、坪口という合わなそうな両者の組み合わせだが、このライブのほうがしっくりきているようにも感じられるのは、何度かの共演でそれぞれの立ち位置を明確にしていったからか。
それが生ピを弾く比率を上げてバッキング的な役割を担う場面が多いということからもしれないし、あるいは坂田の語りに重きを置いた曲が多めってのにあるのかもしれない。
4曲め、6曲めでは、坪口のボコーダーと坂田の語り、サックスとの掛け合いがあるが、個人的にはここが坪口を起用した最大のおもしろさだと思っている。

ベストは、6曲めにしましょう。

"Live At Pit Inn" 坂田明×トリプルエッジ (https://www.amazon.co.jp/dp/B08J4P5HP5/ )

"Hat and Beard" ONJQ

大友良英ニュージャズクインテットも活動歴の長いバンドになっているが、サイト(http://otomoyoshihide.com/discography/)を眺めると、2001年の"Flutter"(https://www.amazon.co.jp/dp/B00005BAEM/ )からで、Quintet以外にOrchestra, Trioも含めて今までに15作作られている模様。
自blogでは、ONJQ名義とONJO名義の3作を紹介している
 "Live in Lisbon" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a42025633.html ) 2006
 "Out To Lunch" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a32981622.html ) 2005
 "Tails Out" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64255897.html ) 2003
本作は、先日の新譜会の際にお借りして聴かせてもらってます。
この直前のリリースが2010年のTrio+なので、だいぶ緩慢な活動ではあるが、水谷, 芳垣の両名も相当多忙だと思うし、大友も他のプロジェクトで多忙でしょうからいたし方のないところ。

メンツは、大友, 水谷, 芳垣の3人が固定で、フロントが菊地, 津上, Mats Gustafssonと変遷し、本作では類家, 今込という布陣になってきている。
大友良英(G)、類家心平(Tp)、今込治(Tb)、水谷浩章(B)、芳垣安洋(Ds)

演奏曲は、大友が2曲、Eric Dolphyが2曲、Ornette Colemanが1曲、6曲めはWayne Shorterから大友の曲へのメドレーとなっている
01 Flutter
02 ID-10
03 Lonely Woman
04 Hat&Beard
05 Straight Up and Down
06 Swee-Pea 〜 There

Flutterという曲が大友のNew Jazzと書かれるバンドの初作のタイトルでもあるように、基本となっている曲のような位置づけ。
自Blogでも"Live in Lisbon"で同曲を聴いていることになっているが、ほぼ即興のフリー系ヘヴィな曲という印象。
ベースとドラムによるドロりとした感触の低音に、トランペットを主体とした管楽器のパワーあるサウンドでのテーマが乗り、さらに大友のギターが過激にノイジーなサウンドをぶち撒ける。
ONJQというとそういう印象の刷り込みであるが、そういう意味では2曲めはおとなしめな印象になるか。
3曲めは元曲が明確なので、ハードな演奏だがわかりやすい。
そして4曲めは打って変わって相当ハードなサウンドとなっている。
5曲めの延々と続くギターソロを聴いていると、ONJQは過激な大友のサウンドを聴くバンドであることをあらためて認識する。
その前に出てくる類家も相当過激だとは思うが。
わかっている人には、たまらなく魅力的なサウンドだと思うが、初心者には相当ハードなサウンド。
ただし一度聴き馴染んでしまうと、忘れた頃に聴いても「あー、これこれ」となるところが、中毒性があるというか、独特な高揚感を味わせてくれるというか。
大友もこのバンドを長く続けている理由ではないかと勘繰る。

ベストは5曲めで

"Hat and Beard" ONJQ (https://www.amazon.co.jp/dp/B085QNG9LN/ )

"Naadam 2020" 林栄一 Mazuru Orchestra

林栄一のリーダー作を聴くのは、彼の大所帯バンドGatos Meeting名義の “The Book Of Gatos”(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64448356.html )以来。この作品はライブ会場等一部で販売されただけで市販にはまわらず、なんらかのトラブルで作り直すということだったが、それっきりになっているよう..。
ライブでは、ソロ(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/473772172.html )含め少人数のバンドでは 早川DUO(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/476626592.html )、南DUO(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64425301.html )とかいろいろ聴いています。

本作は、林さんが古希を迎えた記念に新宿Pit Innで行われたスペシャルバンドでのライブ。
メンツは、Gatos Meetingの面々を中心に現在の中央線ジャズの主要メンバーと言いたい面々を揃えている。
林栄一(As)
松井宏樹(As)、藤原大輔(Ts)、吉田隆一(Bs)、類家心平(Tp)、山田丈造(Tp)、後藤篤(Tb)、高橋保行(Tb)
石渡明廣(G)、石田幹雄(P)、岩見継吾(B)、磯部潤(Ds)、外山明(Ds)

演奏曲は潔く3曲だが、21分, 11分, 37分といずれもがっつりと長丁場の演奏なのはライブが故ということ。
1. Naadam
2. Fables of Faubus
3. 組曲

冒頭、名曲Naadamのイントロから吉田のバリトンのバリバリいうサウンドから石渡のギターが絡み、おもむろに始まる複数の管楽器でのユニゾンによるテーマになだれ込む、この迫力。
最初のソロは御大のアルト。貫禄十分の林節をぶちまける。
曲は、いくつかのパートに分かれているような感じで、少しづつニュアンスの違う演奏を聴かせる。そして最後にテーマに戻ってブワッと終わる。

長丁場の曲が3曲だけ収録という潔さも凄いが、その演奏がほとんど全員がゴリゴリのサウンドの猛者といった様相というのがもっと凄い。
藤原のテナーもゴリゴリだし、後藤のトロンボーンもゴリゴリだし、吉田のバリトンももちろんゴリゴリ、岩見のベースもゴリゴリ、磯部のドラムだってゴリゴリとしたサウンドを叩き出す。
聴いていて、この管楽器の分厚いサウンドの快感は、2017年から新作のリリースがない渋さ知らズに渇望している面々には、この作品を聴いてその飢えを凌げるのではないかと思う。
3曲めのラストのブローをかまし、最後のメンバー紹介もやっていたであろう吉田が音楽監督なのではないかと推測。
これで足りなきゃ、youtubeに音源が2曲 Let's Cool One, Better Get Hit in Your Soul 上がっているので見つけて聴いてください。

収録曲が3曲なのでベストは決めません。

"Naadam 2020" 林栄一 Mazuru Orchestra (https://www.amazon.co.jp/dp/B08HN9RYJF/ )

"Telepathy Jazz Project" 服部正嗣

服部正嗣の演奏は、けっこう古くから演奏を聴いていて、
 スガダイロートリオ(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a58221223.html)、
 Zycos(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64482321.html)、
 後藤篤カルテット(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64241452.html)、
 永武幹子トリオ(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64071218.html)
等々と、CDも相応数、ライブも頻度高く聴いています。

そんな服部君がコロナ渦に始めたプロジェクトで、オンラインセッションを演るとタイムラグで音がズレるという問題点を逆手にとって、音を聴かずに映像だけでなにかを感じ取ってセッションをするという取り組みから生まれたプロジェクト。
で、サイト(https://www.telepathyjazz-project.com/)を作成して活動をしてます。
本作は色々なメンツによるそんなセッションを集めた作品で、Telepathy Jazzの初作ということになります。

メンツは以下のとおりで、主催の服部正嗣の入った演奏が5曲、入らない演奏も3曲入ります。ピアニスト2人、ベーシスト2人、ギター、ピアノ、トランペット、アルトサックス各1人という布陣。
石川洋行(Tp:2)、中島朱葉(As:3,6)
松原慶史(G:8)、石田衛(P:4,7)、高橋佑成(P1,3,4-7)
落合康介(B:5)、清水昭好(B:1-3,5,6,8)、服部正嗣(Ds:1-3,6,8)

演奏曲名は以下の通りで、すべてインプロビゼーションです。
1 Telepathy Jazz 1 First Impact
2 Telepathy Jazz 2 Have a Good Dat
3 Telepathy Jazz 3 Passion
4 Telepathy Jazz 4 On The Floor
5 Telepathy Jazz 5 Nowhere Sea
6 Telepathy Jazz 6 Toward The Center
7 Telepathy Jazz 7 Own Stride
8 Telepathy Jazz 8 Rain and Sleepy

3曲めのサックスとピアノの場合、サックスの運指とブレスのタイミングをみて、ピアノが合いの手を入れるような所作が見てとれるか。
4曲めのピアノデュオだと、運指量と、叩いている鍵盤が左右どちらかで、双方がバランスを取ることで主従の役割はそこはかとなくわかるんであろう、おおよそ役割分担ができた演奏を聴かせる。
なんてことを想像しながら聴いてしまうところが、こっちにもテレパシーが飛んでるのかと思ってみたり。
若干手さぐり感も感じさせつつ、しっかりスリリングなフリーインプロビゼーションジャズを聴かせている。
こういうセッションでも、明らかな破綻を見せるような状況には陥らないところがプロフェッショナルを感じさせる。
ただ、全体にモチーフ的なものに終始するのは、仕方のないところか。

おもしろいアイデアだし、上述の通りプロジェクトのサイトまで作って挑んでいるので、このあともシリーズ的に作品を作っいくんじゃないかと思う。
なので、今後の進め方、課題とその克服法とか服部さんもいろいろ策を練っていると思うが、勝手に考えちゃうと、ちゃんとした曲を演奏することとかキメを入れる手段を考えるなんてのも考えられそう。
頭を振ってでもテンポ維持をしつつ、なんらかの合図でキメを入れ合わせられれば、凄いことになりそうな気がする。
手指の合図は普段のライブでも駆使しているので、それを進化させればできるんじゃないかと期待してます。

ベストは6曲めにしましょう。

"Telepathy Jazz Project" 服部正嗣 (https://www.telepathyjazz-project.com/ )

明田川、梅津デュオ (20201016)

明田川さんのライブは、3年前の片山さんとのライブ以来。
 ”明田川、片山 デュオ (20170715)” (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64196549.html )
このときの、明田川、片山の共演も近年では珍しかったと思うが、今日のこの2人の共演も、だいぶ久しぶりとのことで、冒頭21世紀になって初と梅津さんが言ってました。

ステージは、最近多かいピアノを左まで引き出すセッティングで、ピアノの定位置が梅津さんの立ち位置になるような配置。
開演冒頭にパーキンソン病であることを伝え、「薬を飲んでの演奏なのでどうなるかわからない」というMCから演奏開始。
明田川さんのしっとりめのイントロに、梅津さんが哀愁あるテーマを奏で出したところで、いきなり涙が出そうになった…
体調的に弾いてみなけりゃわからないような状況なのかもしれないが、1曲めこそ普通のエンディングですっきり終わったが..。
2曲めからエンジンか目覚めたかのような様相で、冒頭こそ多少のフリーな気配は感じさせつつオーソドックスな演奏の範疇で攻めてくるが、しばらくすると堪忍袋の尾が切れたかのように、辛抱ならんというが如くに、左手のひらを使い出し、右肘を使い出し、果ては立ち上がって尻で一撃と、唸り声とともに明田川節炸裂な演奏へとなだれ込む。
曲の切れ目も関係なく、気ままにあっちいったりこっちいったり的にいろいろな曲のモチーフが現れては消え、曲が終わりそうになっても終わらずすぐに次の曲のイントロをポロンと弾きだして、それを聞いて「あぁ、あの曲ね」と梅津さんが絡んで、と延々。。「私バカよね♪」の頻度が高かったか。 後半では「ヘルニアの唄」もあった。
梅津さんの前には譜面も並べてあったので、基本的には演る曲の打ち合わせはできていたと思うが、どれだけ使われていたか。
演奏の主導権は完全に明田川さんにあって、梅津さんは明田川さんの音に合わせて音を選んでいるような状況、音を出そうと準備しつつもタイミングをつかめない場面も何回か見られた。
それでも、後半ではジャブを入れつつ一気呵成に主導権を取りに行くような場面なんかもあって、ジャズだなぁとw

真ん中の休憩時間に服薬していたようだが、後半冒頭はソロでピアノを弾くと自ら言って20分強のソロピアノを披露するくらい、今日はかなりな絶好調だったんじゃないかと思う。
演奏を始める直前にオカリナを取り寄せたが、結局使わなかった。。

1st set ほぼ定刻から1時間弱。2nd setも時間通りに開始し1時間強程度。アンコールなのかそうじゃないのか判らない2曲が入って大団円。
お客さんは、15人いっぱいいっぱいだったんじゃないかと思う。

と、ここで片山さんとのデュオの記事を読み返すと、まぁ似たような展開だったとww
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