日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

藤原大輔 "Jazzic Anomaly"

藤原大輔さんというと、個人的にはPHATというユニットのリーダーということで、認識ができています。
 PHAT((http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/20880859.html))
最近では、rabbitooの一員としても認識できているのですが、いずれもライブで生で見たことはありません(汗)
えーと、邦人ジャズを聴くようになったきっかけが、ある雑誌でPHATとTZB(tokyo zawinul bach)が特集されているのを見て聴いてみたいと思ったところにありまして、そこからいろいろと派生に派生を重ねて現在に至ることになるので思い入れだけはたっぷりあるんですが..。

ということで、藤原大輔さんがPHATを解散してしばらくは、何やってるか全然知らなかったのですが、ちょっと前からライブハウスのライブ情報をみていて"藤原大輔"という名前がひっかかって、Velvetsunのust中継でちょこっと見たりとかしていたのですが、それ以上には至らず..
さる中古屋で盤漁りしていたらこの盤を見つけ、PHAT後の藤原さんの演奏をしっかり聴いてみたいという欲求から購入してきました。
といいつつ、rabbitooの新譜の前哨戦的な気分もありましたが..CD出るの待ってるんですがねぇ..
ちなみに、2004年のアルバムとなります。

本作のメンツは以下の3人(+2人)。宮本さん、鳥山さんとのトリオが基本となりますが、その前提は打ち込み音源との対峙という位置づけで良いと思います。
fujiwara,daisuke(Sax, electoronics)、miyamoto,takana(P, Key)、toriyama,takeaki(Ds)
tuji,kousuke(Per:2,4,6)、kamimura,taiichi(Ts:4,5)

演奏曲は以下の8曲。8曲目が宮本さん作で、他は藤原さんのオリジナルとなります。
1. Noman's Sand
2. Autobahn
3. Blue Lotus
4. Bossa Noite
5. Ripple
6. Delta Rock
7. Pinion Tree
8. Muted Rain

このアルバムには本人の解説が入っているのですが、「月の明かりと地球の夜」が共通アイコンで「月の晩の歌」であるとの記載があります。
冒頭、サックスの1フレーズからベース旋律が通奏的に流れ始め、その延々と続くベース旋律の上でサックスが即興を重ねていく。砂漠をイメージしたタイトルになるが、延々と続く同じ風景の中でときおり風で砂が舞い上がるようなそんな情景をたしかに想起するような曲。
2曲目はアウトバーン。これも自動車の疾走を感じさせるベースの単調なフレーズの上で、次々と流れ去る景色を想起させる。
3曲目は青い蓮。蓮から立ち上る青い光をイメージしているようだが、幻想的で思索的な一品。
4曲目が南米の大河をイメージしているそうだが、あまりそんな印象は感じないっすねぇ。
PHATのサウンドにとても近い曲で、テクノなリズムが印象的な曲。
5曲目は海と月。凪の海に揺れる月明かりを音楽で表現すると、こんな感じになるんでしょう。この曲は打ち込み感希薄です。
6曲目はうって変わって打ち込み感満載の曲。重厚なリズムにのって、アフリカンな雰囲気を感じさせる曲。
7曲目は、月夜の森に輝く緑だそうで、岩に生える苔の湿った濃い緑を想起させる前半から、後半はリズムが立ったサウンドに変化する、ちょっと重厚感のある演奏。
8曲目だけ月ではなく雨がテーマだそうで、しとしと降り続く雨を想起させる前半から、ぐわっと一瞬盛り上がる後半への展開がドラマチックな演奏。

ということで、大枠ではPHATのサウンドから大きく違わない印象を持ちまして、テクノとか打ち込み系のサウンドにジャズのインプロヴィゼーションを融合させていく演奏は、それまで感じていた藤原さんの魅力をそのまま堪能できる作品という風に聴きました。
藤原さんの活動の全貌を知らないので何とも言えませんが、この路線は重要なライフワークになっているんじゃないかと、推測(+期待)しています。

ベストは、解説文上もしかしたら"+α"的な存在かもしれないですが、最後の曲になんか惹かれます。


藤原大輔 "Jazzic Anomaly"(http://www.amazon.co.jp/dp/B0002J56MG/)

fox capture plan "FLEXIBLE"

fox capture planのフルアルバム"Trinity"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62096753.html)に先立ってリリースされていたミニアルバムも入手してきました。
前作の強リズムの演奏が結構気に入ってまして、ミニアルバムも(値段が安いこともあって、)入手してきてしまいました。

メンツは不変の以下の3人。
Ryo Kishimoto(P)、Hidehiro Kawai(B)、Tsukasa Inoue(Ds)

演奏曲はメンバーオリジナル6曲にビョークの6曲目を入れた全部で7曲となります。
1. Right Here,
2. capture the Initial "F"
3. Flexible
4. 解放される逆光
5. Inflection
6. Hyperballad
7. R__nc_rn_t__n

1曲目は、約1分のバンドイントロのような内容で最後のところでMCが入ってきます。
2曲目は、16beatの早い演奏。最初のカウントからして早い(笑)同じフレーズを調を変えて演奏するピアノが先導する曲で、ベースのフレーズが格好良い。
最近の日本人が演るクラブジャズ系の音楽は、強打音のドラムに、美旋律のピアノとともに、よく歌うベースってのがパターンになっているようです。
"Ethnic Minority"は、ピアノなしのサックストリオですが、ドラムとベースが叩きだすリズムの傾向はそこはかとなく似ていると思うのですが..
横田さんのサックスが美旋律ではなく、勢いのある演奏っていう根本的な違いがありますが..

3曲目は、エレピを使ってちょっとテクノ系な雰囲気を持った楽曲。
ここでは、ドラムがいい味を出しておりまして、ピアノの単調な旋律をごりごり煽ってグルーヴさせています。
4曲目も、ピアノの単調なフレーズの繰り返しが基本になった楽曲。
この"ピアノの単調なフレーズの繰り返し"ってのがこのバンドのアイデンティティかもしれないですねぇ
それと、5曲目もそうですが、人力ドラムンベースと言えるような高速のドラムが2本柱になっているということなんでしょう。

6曲目がビョークのカバーですが、ここでは前半はピアノでの主旋律を前面に出してリズムは弱めの美麗感強めの演奏。後半はリズムが前面に出て力強さの出た盛り上がりを見せ、最後は美麗な演奏にもどって静かに終了。このエンディングもなかなかいい感じ。
最後は、また1分ちょいのラピュタのテーマ曲のような旋律?のアウトロ的な演奏で終了。
全7曲と言えども実質は5曲となるので、ミニアルバムってことになるんでしょう。
次作"Trinity"も、最初と最後は短い曲にしているので、この構成も彼らのアイデンティティにしていくんでしょう。

ベストは3曲目でしょう。高速ドラムの煽りがかなり気持ち良いです。

fox capture plan "FLEXIBLE"(http://tower.jp/item/3138704/FLEXIBLE)<タワーレコード限定>

荒武裕一朗カルテット

荒武さんの演奏は"I Dig IT!"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62011814.html)というアルバムを見つけて買い込んできたところがなりそめで、この縁がちょいと拡がりをみせて、いつもの店でのライブがあったのが今年の夏。残念ながらこのときは都合で行けず。

 8月10日(土)vol.850 招聘
  品切れ状態だった荒武さんのファースト・アルバム"I Dig It!"が、今年の3月に、
  ほぼ10年ぶりに再発された。そのCDを常連客のOさんに聴かせていただいたのが
  今回のライヴの発端である。
  なんとバックの二人は当店一押しバンド、「太田朱美カルテット」の二人ではないか。
  と云うわけで、そのままの招聘となりました。楽しみ!

今回が、(メンツは変わっているが)2回目のライブで、ようやく生で聴くことができた次第であります。

7時過ぎにお店に到着したら、ミュージシャンが誰も来てないとのこと。先客2名いたのですが、皆内心ヒヤヒヤで到着を待っていたのですが..7時半過ぎに、安東さん到着、しばらく後に守谷さんと本田さん到着、直後に荒武さんも到着。ほっと胸をなでおろしたのでありました。
そのまま本田さんがドラムのセッティングを開始し、セットできたところですぐライブの始まりとなりました。
メンツは、荒武裕一朗(P)、守谷美由貴(AS)、安東昇(B)、本田珠也(Ds) 開始時の聴衆は10人強といったところか..

演奏は、スタンダードとオリジナルを半々くらいに織り交ぜたもので、上記アルバムに入っている曲も数曲とりあげていました。
選んでいる曲は、アグレッシブなものが大半で、熱い演奏をたっぷり堪能させてもらいました。

本田竹広氏の心の弟子、荒武さんのピアノ。やっぱり良かったです。演奏スタイルはあまり派手に体を動かすようなものではないのですが、出てくるサウンドは、体揺すられる熱い演奏でした。
守谷さんのサックスも、最後の最後でブギョーとやらかしてくれましたが、あまりブチ切れるようなタイプではないのですが、
ちょっと音数多すぎか?なんて意見もありましたが、個人的にはそのアグレッシブな演奏が好感触でした。
本田珠也さんのドラムは今回初聴きだったのですが、彼も緩急あるにしても、基本はがっつり叩きまくるスタイルで、各セットの最後の曲で、強烈なソロを披露してくれました。
安東さんも、いつものスタイルを踏襲したなかで、まわりのアグレッシブな演奏に負けじと奮闘していました。


ということで、2セット+アンコールの熱い演奏をたっぷりと堪能させていただきました。
次回は、11/29の荒、安東、力武トリオとのことです。

本田竹廣 "Earthian Air"

本田竹廣さんのピアノトリオ作品で、1991年録音のアルバムとなります。
本田竹廣さんのリーダー作は、実はこれまで聴いていませんで、"日本のジャズを聴け"(http://blog.livedoor.jp/pabljxan/)とか偉そうなblog持ってますが、名前倒れで全然偉くありません。

先日紹介の荒武さんが本田さんのお弟子さんであったとのこと。
ご子息の本田珠也さん(彼の演奏も生で聴いてない(恥))も最近活躍目覚ましいというところで、竹曠さん(竹広さんだったり、竹彦さんだったりするらしい)の演奏をしっかり聴いておくべきと、ふと思いたって図書館に行って借りてきた2枚のうちの1枚となります。
ちなみに、もう1枚は"I Love You"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62121753.html)です。

メンツは、もう1枚と同じチンさんのベースに、日野元彦さんのドラムという面容。
本田竹曠(P)、鈴木良雄(B)、日野元彦(Ds)


演奏曲は以下の通り。
1. FLYER'S LAND
2. EARTHIAN AIR
3. RA-MU
4. DARK AND MELLOW
5. SEA ROAD
6. SUN SHOWER
7. COOL EYES

この前に聴いている"I Love You"と大筋では同様のスタイルの演奏が楽しめるアルバム。
メンツ的には、ドラムだけが変わっているわけでありますが、そのドラムのサウンドの差が、全体の印象を大きな違わせていることは間違いのないところでしょう。
アップテンポな曲ではアグレッシブさが前面に出た演奏で全体を煽りまくり、スローな曲では全体を包んでしまうような大らかな演奏で全体を鼓舞していくさまは、日野元彦さんのドラムの真骨頂をしっかり捉えているんじゃないかと思います。(とはいえ、日野元彦さんのドラムもあまり聴いてないんですが(大汗))

録音年が20年違うことになるが、おそらくこの年齢の積み重ねがピアノサウンドに深みを与え、それが全体の余裕感みたいなものに繋がってきているんじゃないかと推測しています。
スタイルとしては、王道の4ビートピアノトリオで大きく雰囲気が変わる演奏ではないのですが、熱いだけではない演奏に、何度聴いても思わずじっくり聴き入ってしまうことになっています。

気分がイケイケのときは、"I Love You"かもしれないですが、全体のクオリティとしては本作のほうが俄然上であると言い切ってしまいましょう。

ベストは、3曲目になると思います。


本田竹廣 "Earthian Air"(http://www.amazon.co.jp/dp/B00005GAYI/)(http://www.amazon.co.jp/dp/B00005EJCI/)

スガダイロートリオ "刃文"

スガダイローって人も多作な方で、自blog初登場が2009年3月の"スガダイローの肖像"で、これはリリース後に購入だったので、リリースはその前年
リアルタイムで買いだしたのが"坂本龍馬の拳銃"からですが、それでも8枚リリースされていて、でも6枚は持ってます。聴いてます。

持ってるだけで、(2009年からの4年間で、)以下の6枚。
 "スガダイローの肖像"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/56941180.html)
 "坂本龍馬の拳銃"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/58221223.html)
 "黒船 ビギニング"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/58882592.html)
 "渋さ知らズを弾く"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/59957749.html)
 "八番勝負"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/60853430.html)
 "スガダイローの肖像 弐"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/60948189.html)
 "春風"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/61308128.html)

他に"ジャズ無宿"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/3684503)と、"詩種"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/5073291)というアルバムが出ています。でもまだありそう。

本作はレギュラートリオでの久々のアルバムとなるようで、前作が"坂本龍馬の拳銃""黒船 ビギニング"の2部作になるので、4年ぶりということになります。
"スガダイローの肖像 弐"もほぼトリオですが..。

このアルバムは、当初ドネートを募って録音がされ、販売も一般の流通にはのっておらず、VelvetSun(http://velvetsun.shop-pro.jp/?pid=60828849)の店頭か通販、スガダイローさんのライブ会場だけでの販売になるそうです。個人的には、通販利用して手に入れています。

ということで、メンツは以下の通り。
スガダイロー(P)、東保光(B)、服部マサツグ(Ds)

演奏曲は以下の通り。"男はつらいよ"と、"requiem"が他人の曲で、他はオリジナルとなります。
1.新時計遊戯
2.蓮の花
3.禁門
4.男はつらいよ
5.刃文
6.epistrophy
7.雨ニモマケズ
8.水瓶
9.requiem
10.悪党

勝手な想像ではありますが、"スガダイローの肖像 弐"で"寿限無"を演ったことと、"八番勝負""詩種"で志人とのコラボを経験したことで、言葉との親和性を考慮した奏法を体得し、"春風"で情景を想起させるような演奏の表現力に磨きをかけたところが、今作では良い形に昇華封入されていて、ピアノの表現、多彩な表情にかなり磨きがかけられていると感じています。

選ばれている曲が、"男はつらいよ"なんて選ぶくらいに曲自体の難易度はそう高くないところにあって、2曲目、7曲目とか相対的には美麗な旋律の曲で聴いていて気持ちいいんです。
さらに、演奏自体もあまりフリー濃度を高くすることなく即興も凶暴に暴れまわる場面は要所に限り、スガダイローの正体を見せるのに必要充分な量にとどめているかなぁと..。
それでいてテンションは高め、打音は強めの演奏は、聴く側のテンションもしっかりと上がってきます。
服部さんのドラムも呼応するようにアグレッシブにさく裂し、東さんのベースもこれまでになくアグレッシブに応酬していると感じてます。

ということで、スガダイローの幅広い音世界の大半をあまり敷居の高くないところでしっかり堪能できるように作られているんじゃないかと感じています。

かなり完成度の高いアルバムに仕上がっていると感じているだけに、どうして流通を限定したのかちょっと不思議に思うほど。
スガダイローファンは絶対、アグレッシブなピアノトリオを聴きたいという面々にもお勧めしたい逸品であると断言してしまいましょう。
あぁ、満足度高い。

ベストは、10曲目にしておきましょう。


スガダイロートリオ "刃文"(http://velvetsun.shop-pro.jp/?pid=60828849)

bohemianvoodoo "live at motion blue yokohama"

TOWERのリアル店舗をうろうろしていたら、bohemianvoodooというバンドのアルバムが気になったので、あまり高くなかったこともあり買い込んできました。
この盤は2012年1月リリースの2011年1月のmotion blue yokohamaでのライブを収録したものとなります。

2008年に結成されたバンドで、メンツはギター、ピアノ、ベース、ドラムが基本構成となるようです。
が、ジャケ見るとホーンの人が3人入っていて、アルバム聴くと判りますがラップ(MC?)の人が1曲入ります。
この時のメンバーは以下の通りとなるようです。この後ドラムの人が加入して、ベースが変わっているかもしれません。(hp上、Nassyとなっているのが、井上さんなのか不明)
bashiry(G)、木村イオリ(P,Key)、井上孝利(B)
ゲストは、井谷亨志(Per)、島佑介(Tp)、福島ケンイチ(Sax)、Tommy(Tb)、midnightcamp(MC)とクレジットされています。

演奏曲は、下記11曲7曲目以外がメンバーオリジナルとなるようです。7曲目はゲストの島さんの曲です。
01. Star Trip
02. Adria Blue
03. Jet Setter
04. Ancient Sun
05. Chill Out
06. A Peacock
07. Hips Kicks〜キャンプファイア feat. midnightcamp
08. Padmini
09. Hookah Smokers
10. Lapis Lazuli
11. Get Dressed Up

演奏ですが、おおざっぱにはリズムがしっかりとした踊る系のインスト音楽ということになると思います。
ただ、オリジナルメンバーにはパーカッションもホーンもいないので、この印象は「このライブでの演奏の」という但し書きがつくことになります。
ということで、そもそものbohemianvoodooの音楽は2、4、6曲目の一部あたりで聴ける演奏が近いと推測しているのですが、だとすると踊るというよりもちょっとスローめで流麗な美旋律をギター、ピアノが奏でるような演奏が主流のバンドだったんだと思います。

このライブでは、前半の一部で本来の演奏を入れていると言うことになると思いますが、基本的には打楽器でのリズムがしっかりした上で良く歌うベースが作り出すベーストラックの上で、ピアノ、ギター、そしてゲストであるホーンがときに美麗に、ときにバリバリと、ときに軽快に繰り広げる演奏を体をゆすりながら聴かせるような演奏と言っていいでしょう。
曲調としてはラテン調のものが多い印象で、これがオリジナルのbohemianvoodooの音楽(アレンジ)なのか、ゲスト入りのライブでのスタイルなのかはちょっと興味のあるところ。パーカッション不在のラテンが成立していたとしたら、そのほうが聴く側としては面白いと思っているのだが..。
(ベーシストが良く歌う演奏をしているので成立していたのかもしれない。)

曲がおしゃれで洗練されていることと、ホーンが入ることで雰囲気としては判り易いリズムの演奏をしているDCPRGという印象を多少なりとも感じました。特に10曲目なんて、雰囲気は"mirror ball"そのものでしょう(笑)

この演奏は、あまり(というか、ほとんど)聴いてないですが、SOIL &“PIMP"SESSIONS とか quasimode とかの系統と同傾向の演奏になっているんだと認識しているのですが..(と言う意味では、菊地さんも同傾向と言える!?)

最近ドラムの人が加入したそうなので、バンドの性格もここでの演奏に近いものに変わってきているんだとは思います。

ベストは、大雑把にアルバムの全貌を見せているという意味で3曲目にしておきます。


bohemianvoodoo "live at motion blue yokohama"(http://bohemianvoodoo.jp/disco.htm)

本田竹廣トリオ "I Love You"

本田竹廣さんのピアノトリオ作品で、1971年録音のアルバムとなります。
本田竹廣さんのリーダー作は、実はこれまで聴いていませんで、"日本のジャズを聴け"(http://blog.livedoor.jp/pabljxan/)とか偉そうなblog持ってますが、名前倒れで全然偉くありません。

先日紹介の荒武さんが本田さんのお弟子さんであったとのこと。
ご子息の本田珠也さん(彼の演奏も生で聴いてない(恥))も最近活躍目覚ましいというところで、竹曠さん(竹広さんだったり、竹彦さんだったりするらしい)の演奏をしっかり聴いておくべきと、ふと思いたって図書館に行って借りてきた2枚のうちの1枚となります。
ちなみに、もう1枚は"Earthian Air"(http://www.amazon.co.jp/dp/B00005EJCI/)です。

奥さん(=珠也さんの母)が、チコ本田さんと言う方で、旧姓が渡辺で、兄が貞夫(As)、弟は文男(Ds)さんということで、お判りになると思いますがもの凄い家族構成であります。

本作のメンツは以下の通り。鈴木良雄さんに村上寛という面容は、当時の渡辺貞夫グループのメンバーと言うことになるそうです。
本田竹曠(P)、鈴木良雄(B)、村上寛(Ds)

演奏曲は以下の通りの5曲となります。
01. I LOVE YOU
02. HERE'S THAT RAINY DAY
03. SUNNY
04. WILLOW WEEP FOR ME
05. AUTUMN LEAVES

演奏ですが、ひと言で言うと4ビート基調の王道ピアノトリオの演奏を存分に楽しむことができます。
1曲目がbill evansで有名な"I love you"ですが、ちょっと早めのテンポにして右手で早いフレーズ、左手で少なめにコードを弾くようなスタイル。強めのタッチで奏でられるピアノが堪りません。
ベースはオーソドクスにウォーキングを決め、ドラムもオーソドクスにシンバルレガートで応戦という本当に王道的ピアノトリオな演奏。
2曲目は、バラードでベースに先導されたピアノの溜めを効かせた演奏で、美しい旋律をより美麗に飾りたてたような演奏。後半はドラムが前面に出てきて少しダイナミックな感じの演奏となります。
3曲目、溜めを効かせたフレーズをブルージーに演奏しているが、なかなかダイナミックな展開の曲。
高音基調でコロコロとした演奏のピアノが要所で入ってくるのですが、これが良い塩梅に効いていて気持ち良い。
4曲目は、3曲目同様溜めを効かせた演奏だが、スローテンポなのでその溜めが心地よい演奏。
最後の枯葉は、テンポを早めにして演奏。右手で決める早いフレーズが気持ち良い。

スタンダード曲を王道的ピアノトリオのスタイルでありながら、パワー感と情感とを合わせた演奏は、今聴いても全然色褪せていないというか、もしかしたら今聴いて俄然光っているのかもしれません。

2006年に61才で亡くなっていますが、(本作が晩年のものではないことを承知しつつ)、こんな演奏を生で聴いておきたかったなぁと。。 今更ながらご冥福をお祈りいたします。


ベストは3曲目になると思います。

本田竹廣トリオ "I Love You"(http://www.amazon.co.jp/dp/B006PDIS2S/)

Fox Capture Plan "Trinity"

Fox Capture Planというユニットの1stアルバムです。
これはタワーレコードの店頭でCDを眺めていたら、ちょっと推してたのが気になって、試聴して良さそうだったので購入した盤となります。
昨今、webからの発注ばかりで店舗でCDを漁る眺めるってことをあまりしていないのですが、たまには店頭で推してる盤のチェックとかしないと聴く音楽が偏ると言うか広がらないと言うか、石若さんの盤(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/61999075.html)も店頭で見つけてますし..
荒武さんのアルバム(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62011814.html)もそうだった(はずだ)し..

そう言う意味では、新譜試聴会もいろんな演奏が聴ける機会ってとても貴重です。
とはいえ、これも店でチェックして家でweb発注(ただし、タワー)してます。クーポンがあったので(^^)
この盤が、フルアルバムとしては1stになるようですが、その前にタワー限定でCD-Rとminiアルバムを出していたようです。(http://www.foxcaptureplan.net/#discography)

メンツですが、日本人3人で、1982〜1984年生という20代前半の面々となります。
最初と最後だけ、ギター、ボーカルがゲストとして入ります。(がこの2曲は1分台なので、イントロアウトロでしょう。)
Ryo Kishimoto(P)、Hidehiro Kawai(B)、Tsukasa Inoue(Ds)


演奏曲は8曲目以外がめんばーのオリジナルで良さそうです。
01. polynity
02. 衝動の粒子
03. Reincarnation
04. Exceed the Limit
05. trinity
06. white ambience
07. dark matter
08. wonderwall
09. good night.
10. the beginning of the myth

冒頭、5拍子の手拍子からボイス、ギターが前面に出た演奏ですが、のっけから格好良い。
2分弱の演奏でイントロの役目になると思うが、役割は十分果たしています。
2曲目が4+2拍子の曲で、ピアノが奏でる単調なフレーズがリズムをなした演奏。
雰囲気としては、横田さんのバンドEthnic Minority(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/61359673.html)のノリに近い感じがしますかねぇ。
3曲目以降も、(昨今流行りの)ジャズで踊る系のサウンドが基本となるので、ドラムが叩きだす強めのリズムと単調な繰り返しのテーマというのが基本になります。
が、ピアノソロはLyle Maysもかくやという美旋律を奏でていることが多く、踊らせるために荒々しいサウンドで盛り上げるだけ盛り上げるという方向性とはちょっと違う印象。
さらに、ピアノの美しさ際立たせの場面では、ちょっとエコーをかけて美旋律を際立たせてみたりと...。
ベースも、いつもゴリゴリと攻めていると言う感じでもなく、場面場面でピアノに寄り添うように美旋律を繰り出してきたりとなかなか変幻自在の活躍を見せてくれます。

6曲目9曲目がちょっとスローな曲になるのですが、この2曲はベースのちょっとゴリゴリとしたサウンドがアクセントとなって、ピアノの(ちょっとエコーの入った)美旋律さく裂の演奏となります。

CDの帯に「ピアノトリオの形を取りながら変拍子やロック、ドラムンベースの要素を取り入れた新感覚サウンド」なんてかいてありますが、e.s.t.、the bad plusを聴いた耳には、そんなに新感覚な感じにも響いてはいないんですがエフェクト音等電気サウンドを(エコー程度で)ほとんど使わないで勝負しているところは好感触です。


ベストは3曲目になると思います。


Fox Capture Plan "Trinity"(http://www.amazon.co.jp/dp/B00BW2E1CI/)

大熊亘 "Cicala Mvta"

中古店で3枚\680-で買ってきた盤。はっきり言って、欲しい盤があったのでその抱き合わせに選んだだけです。
大熊さんごめんなさい。

1998年の作品でおそらく1stアルバムになるようです。
その後、"凸凹"、"ゴースト サーカス"、"Live 2006"、"裸の星"とアルバムがでて、最近はwebでライブ音源の直販が主になっているようです。
1994年から活動を開始しているとのことなので、そろそろ20年という息の長いバンドということになります。
凄いっすねぇ(驚)

メンツは、以下の通り。となってますが、きっともう少しいろんな人が絡んでいるような気がします。
個人名的には、関島さん、植村さん、太田さんの名前は、過去に見た記憶があると言う程度です(汗)
大熊亘(Cl)、桜井芳樹(G)、坂本弘道(Cello)、関島岳郎(Tuba)、植村昌弘(Ds)
太田惠資(Fiddle:3,8,9,11)


演奏曲は、恐らく全部、大熊さんのオリジナルでしょう。12曲とてんこ盛りに入っています。
01 往復ヂンタ
02 プンク・マンチャの踊り
03 ラジャマティ・クマティ
04 道草のために(武蔵野7/8)
05 吾妻八景
06 フラタニゼーション・ソング
07 奥に通じる扉
08 ターキッシュ・ダンス
09 猫虫が入るから
10 青髭の憂鬱
11 四丁目
12 プンク・マンチャ リプライズ

まるっきり、先入観なしに[play]ボタンを押して聴き始めたのですが..

ブンチャッチャッブンチャッチャッのリズムに乗って、管楽器がちょっと荒れたユニゾンでテーマを奏でる、これは
イントロになるんでしょう。1分強の1曲目。
以降、楽器構成こそ似て否なるものではありますが、音楽の構成、全体の雰囲気とかは"渋さ知らズ"と同様のものを感じます。リーダーがクラリネットな分だけ、ちんどん屋感が強いと感じられますかねぇ

ベースとしてしっかりしたリズム(ほぼ2ビート)ががっちりと全体の下支えをしたうえで、ちょっと哀愁を感じさせるテーマ、絶叫音に近い管楽器でのフリーアプローチ。チープなギターサウンド。で構成されたサウンド。
曲によって、演歌、チンドン屋、津軽三味線、お囃子、行進曲、音頭といった和テイストのフレーバーでいろいろと彩られ、ほとんどお祭り騒ぎと言いたい大騒ぎ的な音に満たされます。

きっと、ライブでは、"渋さ"同様スタンディングで踊る聴衆を前にして演奏されるんだろうなと、容易に想像できます。
と、思ったらステージではしっかり女性が踊っているみたいですね。
http://www.cicala-mvta.com/


大熊亘 "Cicala Mvta"(http://www.amazon.co.jp/dp/B00005JZAE/)

ものんくる "飛ぶものたち、這うものたち、歌うものたち"

"ものんくる"というグループのデビューアルバムです。
ジャズものとしては、菊地成孔がプロデュースしていることで、話題になっているものです。
あいかわらず、菊地さんが絡むものは、興味津々でほぼひととおり買わずにはおれない状況にありますが、まだ本人のライブを生で見たことがないと言う。。(汗)

彼ら(ものんくる)のhp(http://mononcle.aikotoba.jp/index.html)を見ると、2011年1月に結成されたということで、2011年10月に1stミニアルバムのリリースがあったようですが、これが初のフルアルバムになるということのようです。

メンバーですが結成時は2人だったようです。hpにあるライブの写真とか見ると4人で写っているものがほとんどなんで、現在は4人のようですが、インタビューとか2人の露出が突出してるのはなんでなんでしょうね? 準構成員とかだったりするんでしょうか?
吉田沙良(Vo)、角田隆太(B)、瀬田創太(P)、西村匠平(Ds)
平山順子(As)、石川広行(Tp)、上杉優(Tb)、小林豊美(Fl)
菊地成孔(As:3)

演奏曲は下記10曲となります。
1. 希望のこと
2. まりおねっと
3. FLOWER
4. 優しさを重ねること
5. 〜Introduction〜
6. 春を夢見る
7. 穏やかな日曜日へ
8. さようなら
9. 知らない空
10. バクの国から来た少女

この人たちのアルバムの聴きどころは、ジャズものとしては演奏と言うことになってしまうのですが1曲目の冒頭のホーンアンサンブルが、ほとんど Maria Schneider かと思わせるようなサウンドになっていて、のっけからのけぞります。
その後も、いろいろなビッグバンドのサウンドだったり、ジャズ、フュージョン的なフレーバーを多く少なくふりかけたサウンドが散りばめられていて、聴いてて「おや?」とか「にやっ」とかしながら聴いてしまいます。

曲の良さ、歌詞の良さ、ボーカルの良さってのも相応にあるんでしょうけど、なによりの良さは、アレンジ(=全体の雰囲気作り)になるんだと思います。

まずは、ホーンを加えたビッグバンドサウンドになる部分のアレンジの秀逸さにありまして、ホーンの人は基本4人だけの参加のようなんですが、音の厚みとか充分に出たサウンドでありながら、Maria Schneiderばりの実に効果的効率的でかつ独特なハーモニーを再現するよう緻密に構成されているんだろうことを充分に伺わせます。
そして、3曲目でプロデューサ菊地のソプラノが入ってきますが、ここだけは、おいしい役をしっかり持っててるなと感じさせる、しっかり聴かせるソロを繰り広げています。

次に、ピアノトリオでの演奏部分になるんですが、ここでも特にピアノが良い味をだした演奏をしてまして、このピアノが作り出す雰囲気ってのも、全体のイメージの大きい部分を担っていると感じています。
あと、中村正人さんのジャズ趣味が出ていると思われる"DREAMS COME TRUE"の雰囲気をそこはかとなく感じる部分とかもありますかねぇ..

そして、ボーカルですが、oncenth trioと共演してた"さがゆき"さんの雰囲気に近いのかなぁと感じてます。
ということで、基本的には演奏、ホーンアンサンブルを楽しむことを主体に聴いているつもりなんですが、徐々に歌に惹かれ、なんとなく歌詞を聴いてしまいと。。聴き方が変化してきているような。。

ベストは、7曲目。この曲がなんとなく一番惹かれてるような気がします。

ものんくる "飛ぶものたち、這うものたち、歌うものたち"(http://www.amazon.co.jp/dp/B00CA63CD4/)
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