この盤は、Disc Unionの宣伝を見て、気になって買ったもの。
リーダーの宮嶋みぎわは、Vanguard Jazz Orchestraの日本代理人で、1枚めのアルバムがArtistShareからリリース。
さらに、本人持参の先行発売がされ、それが少し安価であるってんで、電車に乗っていそいそ買いに行ってきました。本人には会えませんでした。

メンツは以下の通り。

宮嶋みぎわ(Cond)
Dan Urness(Tp)、David Smith(Tp)、Matt Holman(Tp)、Nadje Noordhuis(Tp)、
John Mosca(Tb)、Jason Jackson(Tb)、Jennifer Wharton(BTb)、Douglas Purviance(BTb)、
Ben Kono(As,Ss,Fl,Cl)、Alejandro Aviles(As,Ss,Fl,Cl)、
Sam Dillon(Ts,Fl,Cl)、Quinsin Nachoff(Ts,Cl)、Carl Maraghi(Bs,BCl)、
Jeb Patton(P:1,3-8)、Migiwa Miyajima(P:2,9)、Jared Schonig(Ds)、Pete McCann(G)、寺尾陽介(B)
Guest from Orange Pekoe
Tomoko Nagashima(Voice:9)


演奏曲はすべて宮嶋のオリジナルで、全部で9曲。
01. Ready ?
02. Colorful by Migiwa Miyajima
03. Captain Miggy's Age of Discovery
04. Find the white line - inspiration on birds
05. The Hi Hat Man
06. Drops into the Sky - dedicated to Kumi Hoshika
07. Awakening
08. Hope for Hope
09. An Ending - I love you

ビックバンド、ラージアンサンブルと昨今の大所帯バンドは、あえて名前を変えて新しいことを演っていることをアピールしている印象があるが、そんな両者の違いを乱暴に書き出すと。

ビックバンドは、エリントン、ベイシーのバンドが代表格のトランペット、トロンボーン、サックスにピアノベースドラムにギターという楽器構成を基本に、音の厚みと勢いによる迫力あるサウンドを基に、ソロイストの演奏に圧倒される

ラージアンサンブルと言われるものは、ビッグバンドとはちょっと異なる楽器編成、緻密でありながら凝ったコード使いと進行、
さらにそれをしっかりと計算し尽くして構成され、ときに意表をつくようなことすらある楽器の割り振りによるアンサンブルで聴かせ、その分温度感は低めになることが多いか。
大半は、ソロイストが入ってジャズの様相を呈すが、そこが聴きどころの大きな部分ではない。

で、この作品。Vanguard Jazz Orchestra 関係者ってこともあってか、楽器編成は、持ち替えは半端なさそうだが、ビッグバンドと大差ないもの。

しっかりとしたビートは維持しながら、複雑な構成の曲を緻密なアンサンブルアレンジで構築、ちょっと高めの温度感で聴かせる。決してECMのような低い温度感には向かわない。

曲によってではあるが延々と熱いソロをたっぷりと聴かせる場面もあり、ソロにオォッと感じることも。
技巧的には、いろいろなギミックが其処此処で聴かれ、刻々といろんなことが起こるが、曲としては一貫性があり、散漫なイメージは感じさせない。

個人的にではあるが両者の溝を埋めるようなビッグバンドとラージアンサンブルの双方の良さを上手く取り込んだ作品として興味深く聴いた。

ベストは6曲めにしましょう。

Miggy Augmented Orchestra "Colorful"(https://www.amazon.com/dp/B07GJM5V9Z/)