吉本章紘とのデュオ作がひそかに素晴らしい、本田珠也が自身のリーダー作では必ず起用するベーシスト、須川崇志の初リーダー作がリリースされました。

最近、ライブでの遭遇率が高いんですが、最近の参加作を少し列挙しておきます。
 Niran Dasika "SUZAKU" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64477405.html)
 Ictus Trio "ICTUS" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64398605.html)
 吉本章紘, 須川崇志 "Oxymoron" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64339949.html)
 Tamaxille "Live at Pit Inn" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64332094.html)

本作のメンツは、古い知人と思われるアメリカ人で、録音もNYとのこと。
須川崇志(B:2,5,7、Cello:1,3,4,6,8)、Leo Genovese(P)、Tom Rainey(Ds)

演奏曲は、3人の共作が4曲(1,3,4,5)須川のオリジナルが3曲(2,7,8)に、八木美知依(箏奏者)で全部。
3人の共作は即興でしょう。
01 First Meeting
02 Outgrowing
03 Violoncello
04 Short Story Long
05 Motion
06 Izayoi 「十六夜」
07 Ancient Blue
08. Uncompleted Waltz

音粒の乱れ打ちのような1曲め
ベースのミニマルなフレーズをモチーフ的に一定間隔で提示しながらのフリーインプロな2曲め
響きを抑えたチェロとピアノの高音のせめぎ合いの3曲めは、1分30秒くらい
チェロのボウイングによる即興的フレーズにピアノの散りばめたようなサウンドが振りまかれる4曲め
と、前半の大半は即興を中心とした演奏で占められる。
後半は、モチーフ的に短いものであっても、もう少し曲の体裁を持ったものが増えている印象。
6曲めは、ピアノの反復するフレーズに、チェロのボウイングがゆったりとしたフレーズを乗せてくる。
1小節2音くらいで鳴らされるベースとピアノのユニゾンのトロッとした演奏に、いずれかの即興をそっと乗せてくるような7曲め
ピアノの伴奏に須川のチェロのボウイングが美しく奏でられる小品で締めくくり。


全体を通して、難易度は相当高めの即興を中心とした演奏でボウイングを中心とした須川の情念のこもった演奏と綺麗な音色、
的を得たと言いたくなるような、ピアノの必要なだけの即興なのに迷いを感じさせない音出し。パルシブに演奏に刺激を与えるドラム。
それぞれのフレーズと音とを楽しみつつ、インプロビゼーションの妙を楽しめれば、この作品を楽しめるんじゃないかと思う。

ベストは7曲めにしましょう。


"Outgrowing" 須川崇志(https://www.amazon.co.jp/dp/B07JB6Q4ZW/)