昨年、バラード集とトリオ作を同時リリースした大西順子が、2年連続で新作を本作は、管入りの6人編成での作品です。
昨年の2作は以下のとおり。
 "Very Special"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64380470.html)
 "Glamorous Life"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64380462.html)

その前が2016年2010年2009年なので、2年連続で都合3枚の新作を発表するというのは、最近の演奏活動が充実していることと、嫌気がさしていないということなんでしょう。
今年に入ってもライブ活動をしていることも活動が好調故と言えるでしょう。

本作のメンツは、レギュラートリオに広瀬、吉本、片岡の管楽器奏者が入った6人。
大西順子(P, Rhodes, Wurlitzer, Clavinet)、広瀬未来(Tp, Flh)、吉本章紘(Ts, Fl)、片岡雄三(Tb)、井上陽介(B)、高橋信之介(Ds)

広瀬3曲、吉本2曲、井上2曲、大西2曲、片岡1曲、高橋1曲に、全員の共作1曲で
全部で12曲。
01 One Lap Behind
02 Falling Rocks
03 Apple of My Eye
04 Dr. Pu!Poon
05 Baby I'm yours
06 July
07 Teenager
08 Dark Chime
09 Head Towards the Light
10 Cura de gatos
11 Unity 1 みんなの曲
12 Remembering Spring

1曲めの4ビートのハードなハードバップ、3曲めのシリアスな雰囲気なもの。
数曲ではエレピも起用していて、2曲めではオーソドックスな演奏のアクセントとして、4曲めではエレベも入ってファンクな演奏を。
他にもエレピを使った曲は数曲あり。
ラージアンサンブルを意識したような凝ったアンサンブルの8曲め。
11曲めがちょっとM-Baseを彷彿とさせるメカニカルな曲。

全般的に、いろいろなバリエーションのオーソドックスなスタイルを前提にしながら現代的なアプローチを主張しているような感じで、興味深く聴き進められる。

堅実さというよりノリを重要視しているような井上のベース。
しっかりとしたビートを刻みながら、エモーショナルな表現を入れてくる高橋のドラム。
この二人がレギュラートリオであるが、大西の強いタッチで強引に攻め込んでくるような、それでいて風格すら感じさせるピアノには良く合っている印象。

さらに、3管のユニゾンによる音の厚み、緻密なアンサンブルから、各人のパリッとした即興まで、難解な曲の難解なアレンジもきっちりこなす、
良い意味で若さを感じさせる演奏もまた、大西の揺るぎないフレーズとは好相性と言えそう。

大西のピアノは、エレピでのリフ、即興に強気なフレーズが多めで耳を引き付けられることが多い印象。
3管が強いからアコピでは太刀打ちできないというのもあったかも。

ベストは、大西にはハードな演奏が似合うというのも込めて11曲めにします。


"XII (twelve)" 大西順子(https://www.amazon.co.jp/dp/B07KB1C4WX/)