慶応大学で開催された、「菊地成孔、菊地成孔を語る」というイベントの後半で、菊地成孔さんが小田朋美さんとのデュオでの演奏を披露してくれました。

前半の”語る”のパートではかなりラフな格好で登場したが、演奏のパートでは黒いシャツに着替え、真黒ないでたちで登場。
前回の山下洋輔さんのとき(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64765074.html)も、トークとライブと衣装を変えていたのはミュージシャンとしての意気込みなんでしょう。
小田さん(は、トークパートは未登場)も真っ黒なワンピースでの登場でした。

冒頭、"花と水"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/57539139.html)というアルバムが、菊地リーダーのなかで2番目に売れたアルバム(ガンダム系で順位は変わったらしいが..)だという話から。
実は、"花と水"はアルバムタイトルではなく、和のテイストを強く持ちながら和楽器を使わずに演奏をするユニットの名前だという話をし、今回はピアニストを変えて"花と水"での演奏であるとの説明から、即興から2曲ジャズの有名曲を演奏するという情報だけを明かし曲目を言わずに演奏開始。

短フレーズで音数も少ないほとんどフレーズになっていないような即興から次の曲の萌芽を見せながら、おもむろにOver The Rainbowにすり替わる。
冒頭は、訥々というより一音一音にたっぷりと時間をかけ、一音鳴らして座り直しリードの調整をし息を吸い込んで次の音に進むようなそんな進行から、エモーショナルな盛り上がりを経て、旋律の途中でサックスが途切れ、ピアノがバシーンと鳴り響いて曲が終わる、劇的な演出。

短い拍手に続いてピアノのイントロから、今度はオーソドックスにテーマを吹くBlue In Green。
短い即興が入るが、基本的には丁寧にテーマを吹くことに徹した凝縮した短めの演奏。

過去ログを見ていただければわかると思うが、ほぼ100%と言っても過言でないほどに菊地関連のアルバムを買い集めて聴いているくせに、今回はじめて菊地のサックスを生で聴いたのだが、力強く艶があり、説得力なのか魅了力なのか完全に引き込まれるサウンドで、あらためてそのもの凄さを感じ入った。

小田のピアノは、今回は菊地のサポート役に徹したもので、旋律らしい旋律もほとんど弾かずソロパートもごくごく少なかったが、
それでも存在感というか印象の強さというかそんなのがたっぷりと感じられるサウンドで、やっぱりただ者ではないことを思い知らされた。

会場も、演奏が始まったとたんに信じられないくらいに雑音を出さない実に凛とした雰囲気に包まれるなか、30分程度の短いしかも無料で見せてくれた演奏ではあるが、ちょっとやそっとでは体験できないくらいにインパクトのある演奏を聴かせてもらった。