日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

"天使乃恥部" 菊地成孔 y Pepe Torment Azucarar

2_641


菊地成孔の最近の音楽の活動は、新音楽制作工房(https://www.shin-on-gak.com/ )を除くと、このぺぺ・トルメント・アスカラールと子供スパンクハッピーくらいじゃないかと思う。
本作もフィジカルのリリースは、香水とセットで\48,000とものすごく高額なものであります。
が、配信もされているので、自分はその配信のほうで聴いています。
過去のぺぺ・トルメント・アスカラールのアルバムは以下の通り(DL作除く)で、最近作が約10年前で驚いた
 "戦前と戦後" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62541137.html )
 "New York Hell Sonic Ballet"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a58840789.html )
 "記憶喪失学"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a55787861.html )
 "野生の思考"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a41109388.html )

メンツは弦楽器以外は不変のようで、本作では以下の通りの面容となってます。
菊地成孔 y Pepe Torment Azucarar
菊地成孔(Sax,Vo,Per)、大儀見元(Per)、田中倫明(Per)、林正樹(P)、鳥越啓介(B)、早川純(Bandneon)、堀米綾(Harp)、
牛山玲名(Vln)、田島華乃(Vln)、舘泉礼一(Viola)、関口将史(Cello)

演奏曲は菊池オリジナルが共作含め6曲、丹羽武史(3), Massacre(5), Vardan Ovsepian(6)で全部で9曲。
1 闘争のエチカの歌
2 京マチ子の夜
3 アンリ・ルフェーブル
4 小鳥たちのために II
5 キリングタイム
6 私が選んだ貴方への頌歌
7 色悪
8 ルぺベレスの葬儀
9 天使乃恥部

菊地が歌詞の有無はあるにしても歌う曲が4曲。ただし4曲めは「パ」しか言ってない
その菊地は2曲めのサックスソロがエロ素晴らしく、さらにそこに絡む林のピアノもこれまた素晴らしい。
他の曲でもサックスは聴けるが、その迫力と官能が同居したようなサウンドは菊地ならではと言いたいもの。
そして、いずれの曲もアレンジが秀逸で、ちょろっと紛れ込むハープの音にハッとしたり、バイオリンとバンドネオンの掛け合いにうっとり聴きいったりと、エレガンスと官能と狂気と驚喜とが入り混じったサウンドが次から次へと繰り出されるさまに圧倒される。
5曲めのドラマチックな展開の派手さは特筆かもしれない(いや、やりすぎかも
最後の曲は、レコードのスクラッチ音から始まり、途中にナレーションを入れたり遊び要素多め

ベストは8曲めにしましょう

"天使乃恥部" 菊地成孔 y Pepe Torment Azucarar (https://magazine.tunecore.co.jp/newrelease/421213/ )

"Plays Standards" 片倉真由子

2_635

片倉真由子さんのリーダー作を聴く(紹介する)のはこれが2枚めですが、1枚めが2011年で、それからこれまでずっと聴かずじまいという体たらく。
 "Faith" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60259969.html )
とはいえ、エポックメイキングな石若駿のアルバムに参加していてそれはしっかり聴いてますし、
 "Live at The Body & Soul" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61999075.html )
北川潔のトリオ作のピアノが彼女で、それもしっかり聴いてますし、
 "Turning Point" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64350959.html )
 "Spring Night" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/474875942.html )
他にも、治田七海(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/498436443.html ), 山口真文(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/504404054.html )など参加作を聴いているので、そうご無沙汰感はありません。
などと書きながら、実は本作は購入しておらず図書館にあったので借りてきて聴いているものです。

メンツはオーソドクスなピアノトリオ編成で以下の面容
片倉真由子(P)、粟谷巧(B)、田中徳崇(Ds)

演奏曲は、タイトルにもある通りスタンダードを中心としたもの。
01.Whisper Not
02.Autumn Leaves
03.Body And Soul
04.Softly, as in a Morning Sunrise
05.Over The Rainbow
06.Moanin'
07.Alone Together
08.Summer Time
09.Sandu

元曲がしっかりと判別できる程度の崩し具合。テンポも速過ぎず遅過ぎずの良い塩梅。ベースドラムもしっかりと4ビートを刻む。
片倉のピアノは、音数は若干多めでおかずも盛るが、多少語尾をアウトさせていくようなところが数か所で出てきてそこが特徴的か
粟谷のベースはオーソドックスなウォーキングを基本として、曲によりよく歌う味わい深いソロを聴かせるのが心憎い
田中のドラムは音数を抑えめに派手な立ち回りも控えめに、でもリズムキープは盤石な振る舞いで、こちらもごくごく真っ当な印象
そんなリズム隊がバックアップに回っているので、片倉のスタンダードの解釈をしっかり提示できているような作風に仕上がっている
解釈の目新しさとか大胆なアレンジとか、そういうのはほぼ出てこないが、それでも聴き応えのある演奏を楽しませてくれている。

ベストは9曲め

"Plays Standards" 片倉真由子 (https://www.amazon.co.jp/dp/B08KTY231H/ )

"ELECTRIC RIDER" 馬場智章

2_610



馬場智章のリーダー作は、2022年の下記を聴いています
 "ギャザリング" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/491759570.html )
が、巷ではアニメ映画Blue Giantの主人公のサックスの音の人として有名な人
 "Blue Giant" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/499021054.html )

メンツはBig Yukiを含むトリオが基本で、そこに曲によりゲストが入る構成。
Big Yukiも最近話題の人ですが、まともに聞けていないのでなんとかしないと..。
馬場智章(Ts)、Big Yuki(kbd,Syn)、JK Kim(Per)
Weedie Braimah(Per:2)、佐瀬悠輔(Tp:3,7,9)、小金丸慧(G:8)、Ermhoi(Vo:9)

演奏曲はすべて馬場のオリジナル。
1.PRIME
2.Season of Harvest
3.WHAT IS ??
4.Fade into you
5.Reprise
6.88
7.Circus II
8.BaBaBattleRoyale
9.Still Remember

電子音を多用したビート感の強いバックトラックに、太くて勢いのある音色でメカニカルなフレーズを奏でるサックスが乗っかる
このサックスも曲によって電気エフェクトをかけ、中には多重録音もありそう
音に厚みを与えドラマチックな展開をみせるのがBigYukiのキーボード
JK Kimは、キレとインパクト、強力なグルーヴ感をタイトなドラムで聴かせる
ハイハットをスティックで叩くカツカツした音が印象的
8曲めにだけギターが入るが、ギターが入ると雰囲気が変わって、ワイルドさが色濃く出てくるのは狙い通りなんでしょう。
アンビエント、テクノから派生した最近のリズムをジャズ化したようなサウンドという印象だが、本人はインタビューで「ジャズを強く意識しないエレクトリックなサウンド」と言っていたが、ジャズテイストをより多く感じるのは、自分の聴取範囲故か、馬場の出自故か..。
この手のサウンドは当初黒田卓也のリーダー作で聴いていたものと大枠ではテイストが同じと感じていて、このサウンドに共感した邦人一派がNYで(Robert Glasperが一派形成しているように)形成されたと感じているがはてさて。
9曲めだけ女性ボーカルが入るが、この手のサウンドでボーカルが1曲だけというのも珍しい

ベストは8曲めにしましょう。

"ELECTRIC RIDER" 馬場智章 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0D8W3K946/ )

"Nameless Piano" 栗林すみれ

2_634


栗林すみれさんのリーダー作を聴く(というか紹介する)のはこれが2作め。
過去に2021年の下記作を聴いていますが、これはほぼ石若目当てでありました。
 "Live At Dede Studio Tokyo" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/483815668.html )
本作は、図書館にあるのを見つけて借りてきたもので、そういう意味では、あまり良い聴き手ではありません。
が、ライブでは過去に2回生演奏を聴いています。
 "20231208" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501701858.html )
 "20240719" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/504069383.html )

本作は2020年にリリースされたソロ作。
栗林すみれ(P)

演奏曲は、栗林すみれのオリジナルがインプロ含め3曲(1,6,7)。
他は、Jesse Van Ruller(2),Esbjorn Svensson(3),Giovanni Paisiello(4),Sammy Fine(5),Giovanni Scasciamacchina(8),,Jimmy McHugh(9),Richard Rodgers(10)
と、イタリアオペラ、ミュージカルからの曲も含め様々な人の曲を持ってきて全部で10曲。
1.Nameless Piano
2.Cow Daisy
3.Believe, Beleft, Below
4.Nel col piu non mi sento
5.I'll Be Seeing You
6.Improvisation "Colored Woods"(inspired by Kaii Higashiyama)
7.Improvisation "Piangere
8.Ship
9.A Lovely Way To Spend An Evening
10.Edelweiss

1曲めが軽やかな疾走感の演奏で、2曲めはキースを彷彿とさせる場面も。
アルバム前半はノリやすいテンポ感のある演奏を並べていて、後半はテンポをキープするよりタメを重視して曲の情感を意識したような演奏。
インプロ曲が2つ間に挟まるが、これらも煌びやかな美しさを感じさせるような演奏で素晴らしい。
全体的に、曲の美しさを前面に押し出していくような演奏ではあるが、
ソロピアノなので自在に音の雰囲気を変えていけるはずだが、アグレッシブな展開に持っていく場面は一切なく。
そういう意味では、自身のアイデンティティを美麗な演奏に振り切ったような感じ
それが故に、美麗曲の美麗さをたっぷりしっかり見せつけてくれ、曲によりフレーズを唄う場面がありその相乗効果も見事
最後の曲がエーデルワイス、旋律を慈しむように、丁寧にゆったりと奏でて締めくくられる

ベストは6曲めにしましょう

"Nameless Piano" 栗林すみれ (https://www.amazon.co.jp/dp/B083XYRFF5/ )

"TrioII: 2" Marty Holoubek

2_633

オーストラリア出身で現在は活動の拠点を東京においているMarty Holoubekの3作めのリーダーアルバム。
リーダーアルバムは2つのトリオでそれぞれ1作ずつ出ており、
Trio Iは、James Bowers, 石若駿とのピアノトリオ
 "Trio I" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/474534583.html )
Trio IIは、井上銘, 石若駿
 "TrioII" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/489133827.html )
本作は、Trio IIのほうの新作で、タイトルはそういう意味では実にシンプルw
参加作も多く、大半は石若関連のアルバムのようだが、自blogでも多数紹介している。
David Bryantのリーダー作
"Higher Intelligence" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/493406902.html )
 "COAT OF ARMS" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/502479781.html )
栗林すみれのリーダー作
 "Live At Dede Studio Tokyo" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/483815668.html )

メンツはTrio IIの不変的メンバーということで以下の通り
Marty Holoubek(B)、井上銘(G)、石若駿(Ds)

演奏曲は、Marty Holoubekが4曲、石若駿が3曲のオリジナルで全部で7曲。
1.Omaru
2.Uncle Izu
3.Shizuru
4.Maritta
5.Campfire
6.Beki
7.Misery Likes Company

16ビート多めの非4ビート曲が大半を占める。
さすがにベーシストがリーダーなだけに、普通のギタートリオとは異なりフロントをギターとベースが半々くらいに担っている。
4曲めだけがスローテンポの曲で、この曲は、冒頭ギターが前面に出て印象的なイントロからテーマを聴かせ、その直後にエモーショナルなベースソロになだれ込むところが萌える
さらに最後の曲では口笛が入るが、これは誰が吹いているのか..
Marty Holoubekはエレベだけを使っていると思うが、フロントでのソロでもバッキングでもメロディアスで速いフレーズをこれでもかと繰り出してくる
さすがにリーダーらしく、派手な振る舞い多めだが、これが実に格好良い
井上銘のギターは、オーソドックスなプレイから、粗い音、速いフレーズを駆使したサウンドまで、バックに回ってもフロントを食わない程度のところで自己主張をしっかり見せてくる
そして、複雑なパターンで強力な推進力わ発揮する石若のドラムは、ここでも絶大なパワーを発散しまくっている

ベストは 2曲めにしましょう

"TrioII: 2" Marty Holoubek (https://www.amazon.co.jp/dp/B0D9BDMSHR/ )

"Progress" 世田谷トリオ

2_601

世田谷トリオの2枚めのアルバムで、1枚めは2018年にリリースされています。
 "Introducing Setagaya Trio" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64491031.html )
実際には、公式Bootlegなんてものも出ていて、その紹介が下記
 "Live Bootleg Vol.1" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64637096.html )
 "Live Bootleg Vol.2" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64637103.html )
この後ももしかしたら出ているのかもしれません。
ライブもちょこちょこ見てはいたんですが、CDを買うためにライブに行ってるというところもなきにしもあらず..。
 "20160908" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63849052.html )
 "20181011" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64627120.html )
 "20240817" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/504419469.html )
本作も直近のライブに赴いた際に入手したものです。

上記の通り活動期間が10年になろうかというもので、これだけ続いているのも実は珍しいと思う。そのメンツは不変。
高橋佑成(P)、岩見継吾(B)、吉良創太(Ds)

演奏曲は、Joseeph Lacalle, Paul Motian, Thelonius Monkに、高橋佑成4曲, 岩見継吾1曲, 共作2曲で全部で10曲。
01 Omrai
02 Metsa
03 Hako
04 Amapola
05 Skip Song
06 K.O.G.S.
07 Setado Funk
08 Jarvi
09 Bird Song
10 Thelonius

高橋のエモーショナルな美しさと、アヴァンギャルドさとを併せ持った演奏に、個人的にかなり惹かれているピアノ
少しハネるように強いピチカート、ゴリゴリのアルコ弾き、を縦横無尽に駆使して演奏を煽ってくる岩見のベース
強力な煽りから爆発的な打数で攻め倒してくるこの勢いにピアノもベースも追従したりしなかったり
これは実際にライブで目の当たりにしたほうが間違いなくおもしろい
曲自体も高橋の多彩なスタイルをしっかり出し切れるような多種多様なものが並んでおり、3曲めのしっとりと美麗なものから、5曲めのフリー濃度濃いめの曲、8曲めのゆったりとしたワルツな曲、9曲めの訥々とした曲。
いずれも聴きどころがたっぷりあると感じられ、満足度は高い。

ベストは 5曲めでしょう

"Answer to Remember II" Answer to Remember

2_631

石若駿がリーダーを務めるAnswer to Rememberの2作めがリリースされました。
前作は2020年にリリースされた下記。
 "Answer to Remember" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/473155803.html )
しかし、相変わらず石若駿は主役脇役問わず、ジャズ非ジャズ問わず多彩な活動を続けています。
このバンドも1回だけかと思ってたんですが、2作めが出るってんで「へぇ」と思ってしまいました。

メンツは以下の通り。前作同様に若手、中堅にあたる面々を多く起用した布陣で、さらに曲ごとにゲストも入っているよう。ジャケの記載が面倒なんで細かくは確認してません。なもんで前作の紹介では割愛してたんですが..。
石若駿(Ds)、佐瀬悠輔(Tp)、MELRAW(As,G)、中島朱葉(As)、馬場智章(Ts)、若井優也(P,Key)、海堀弘太(P,Key)、Marty Holoubek(B)、Taikimen(Per)
KID FRESINO、HIMI、甲田まひる、ermhoi、Jua、Tomoki Sanders、KARAI、井上銘、閑喜弦介、二階堂貴文

演奏曲は下記14曲。ジャケでは曲ごとにフォントを変えててなんか意味があるのかもしれないが、全部石若のオリジナル。
1.ATR Theme
2.札幌沖縄
3.NEW POWER
4.Christmas Song II
5.KIMOCHIS
6.KWBR Kuwabara
7.Only Memory
8.Blue Jeans
9.Bim Bottle Circle
10.ONUSHIX
11.SKA ATR No.1
12.(つづく)
13.SEYA
14.KWBR Reprise

前作の記事で、SongBookシリーズが陰で、こちらが陽という位置付けというインタビュー記事を紹介しているが、そういう意味では本作もだいぶ陰の要素が強く出てきているような印象
石若が好んで多用している、固有のフレーズ、音使い、節回し、音の景色がふんだんに現れ、SongBookシリーズを聴いているのかと錯覚するくらいに感じられる場面すらあるような感じ。
当然のように、ボーカルはもとよりラップもボコーダーを使った変声も普通に起用せれているのは、時代の為せる技
これは、おっさんがとやかくいうフェーズはとっくに過ぎているのでノーコメントに徹することにします
石若節多めではあるがいろんな要素が詰め込まれているので、ベストトラックをどの側面で決めるか悩みどころではありますが、(いつも通り)深く考えずに…

ベストは4曲めにしましょう

"Answer to Remember II" Answer to Remember (https://www.amazon.co.jp/dp/B0D8VH4GZ8/ )

藤原大輔,市野元彦,大村恒(20241026)

20241026a


藤原大輔のトリオによるアメリカーナを演奏するライブは、おおよそ3か月毎に行われているはずで、これが7回めになるんだと思います。
その5回はたぶん以下のとおりで、自分は初回からちょうど1回おきにてみていることになります。
 20230121 (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/497217679.html )
 20230422 みれてません
 20230722 (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/500117192.html )
 20231104 みれてません
 20240330 (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/502838550.html )
 20240712 みれてません

このバンドのメンツは不変の以下の通り
藤原大輔(Ts)、市野元彦(G)、大村亘(Ds,Tabla)

配置は、左奥にドラムセット、その手前にタブラを置いて大村、さらにその手前に横向きに市野、右奥に藤原が立つ。
定刻を少し過ぎたところで開演。
前回は、藤原がエフェクト類を持ち込んで音作りをしながらの演奏だったが、今回は何も持ち込まずストレートなサウンドでの演奏。
市野が音楽監督的な立ち位置であることはこれまで聴いた時とおおむね同じ印象だが、イントロで曲の骨格を提示したあと、バックでの全体を破綻させない演奏と個性を魅せるソロと見事に聴かせる。
藤原のサックスは、過去少し感じられた主旋律を追うことに重点を置いているような印象もだいぶなくなり、テーマは元曲を尊重するように演奏するが、そこからシームレスにソロに移行するところは曲を自身のものにしてきているが故なんでしょう。
後半数局ではフルートを使っていたが、いずれもていねいに紡いでいくような味わい深い音色がとても沁みる。
大村の繊細かつ多彩にリズムを作り出していくようなドラムと、微細な指使いによる繊細なタブラ(後半で2曲程度使用)とが、このバンドのアメリカーナの独特な雰囲気つくりによく作用している
選んでいる曲はおおよそ固まってきているように思えるが、Full Metal Jacketの挿入曲Hello Vietnamが、このバンドのテーマ曲的に存在し、Ry Cooder, Bob Dylan, Charlie Haden、はては'50, '60頃のカントリーに属するような曲を選んでいる。
ただし、曲によってはアレンジが入って、前回とは雰囲気の異なる演奏もあったはず。

直前の藤原のXでのコメントに「回を重ねて自由になってきました。」とあったが、たしかに回を追うごとに曲がバンドのものになってきているのは如実に感じられ、元曲の心地よさとジャズな心地よさとが混然一体と押し寄せてくる。

お客さんは10人程度。1st setが50分くらい、2ndは60分くらいで、さらにアンコールにも応えてくれ、今回も大満足のライブでありました。
次回は3月に決まったそうですが、その前に北本団地「中庭」でライブがあるようです。

"Totem" Rs5pb

2_611

自衛隊出身の類家心平がリーダーを務めるRs5pbの、これが3枚めのアルバム。
1stアルバムは、約8年前にユニット名がタイトルになったアルバムが出ています。
 "UNDA" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63739147.html )
2ndアルバムは、約4年前の下記作。
 "RS5pb" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/474534657.html )
RS5pbとしては4年に1枚のペースでのリリースとなるが、もう少し頻度高くアルバムを出しても良いような気もする
類家心平の個人としての活動は、昨今はデュオが多いようで、自blogを漁ると、中嶋錠二との
 "Duo" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/490034908.html )
山田貴子との
 "Live in Kyoto" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/495215233.html )
が近作として出てくる。

メンツは、1stアルバムから同じで、2ndアルバムではゲストが入っていたが、こちらは1stアルバム同様ゲストなしの布陣になっています。
類家心平(Tp)、田中TAK拓也(G)、中嶋錠二(P,Key)、鉄井孝司(B)、吉岡大輔(Ds)

演奏曲はすべて類家のオリジナル
1. TOTEM
2. Godot
3. The Melancholy of Flying Fish
4. SHIZUKANO UMI
5. Augustus
6. The Land
7. Ambergris
8. AXEMEN
9. Es-2
10. Dear

類家の怖いものなど何もないと言わんばかりに力を漲らせ、太々しく朗々と響かせるトランペット。
これがなんといっても最大の聴きどころでしょう
このサウンドを聴いているだけでその説得力にヤられる感じが強い
次に、場の雰囲気を一変させる力を持ったサウンドが田中のギターで、彼がディストーションをかけた派手なフレーズでのソロになると、一気にロックな雰囲気に染まり切るのが実に見事
ピアノの中嶋、ペースの鉄井、ドラムの吉岡。この3人が曲調に合わせて自在に変化させてゆくサウンド表現が変幻自在で、これが曲に勢いを増している原動力。
とくに、このピアノあってのこの表現力ではないかと感じられたが..
その曲調は、ジャズを基調にした迫力あるハードなサウンドで、クールな雰囲気とアバンギャルドな雰囲気とをあわせ持ったようなサウンド
これがなんとも格好良い。

ベストは3曲めでしょう

"Totem" Rs5pb (https://www.amazon.co.jp/dp/B0D5LZ1BHF/ )

eFreydut(20241011)

20241011a

eFreydutは、本年4月頃にNYで録音したアルバムが出ています。
 "Fairway" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/502983330.html )
このアルバムのレコ発ライブを、ベーシストに三嶋大輝を迎えて行っています。
今回、その一環(というわけではないと本人は言ってましたが)としてのライブが、いつものお店であるってんでいそいそと出かけてきました。

eFreydutのメンツは
永武幹子(P)、大村亘(Ds,Tabla)、三嶋大輝(B)

舞台は、左端手前に、三嶋のベース、その後ろに定位置から引っ張り出されたピアノ。
ピアノの定位置にドラムセット、その手前にタブらという配置。
お店に着いたのは開店直後くらいで、リハーサル終了直後のようでした。
定刻を少し過ぎたところで、演奏スタート。
今回の選曲は、アルバムからの曲が半分、新曲が半分、1曲を除いてすべて永武 or 大村のオリジナル。
最初に曲紹介をしたあとは、数曲続けて演奏するという進行で、これは「難曲揃いで、演奏の集中力を削ぎたくないから(意訳)」とのことで、それだけ難曲揃いの選曲であるという証。
ただ、聴いているだけだと流暢に流れるようなフレーズが非常に心地良い演奏、たしかに拍は単純ではないのは判るのだが..。
曲は、アルバムの曲も新曲もノリの良い曲が多めで、しっとりめの曲は1曲くらいだったと思うが、それもいくぶんかは熱気を孕んだ演奏。
永武のピアノは、アルバムでも感じた通り、これまで多く聴いていたような演奏とは少し雰囲気が異なるような印象で、それがフリー濃度が希薄だからか、よりエモーショナルな演奏に振っているからなのか..。
興が乗ると首を上下に振り、キメでは首を左右に振り両者に合図を送る。
三嶋も2人の音をしっかり聞き取りながらの渾身の演奏、ソロではベースを抱えるように背を丸めての演奏が印象的。
そんな両者をがっちりサポートしつつ、しっかり煽るところはしっかり煽ってくるのが大村のドラム&タブラ。
とくにタブラが素晴らしい。

たしか、前半5曲で50分くらい、後半も5曲で55分くらいに、アンコールにも応えてくれました。
アンコールは来年米国でリリースされる大村さん参加のアルバム?からの曲を演奏して大団円
満足感たっぷりの演奏を堪能させてもらいました。次回もありそうな気配だったので楽しみに待ちたいと思う。
記事検索
Recent Comments
RSS
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

  • ライブドアブログ