日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

"Melodies" 市野元彦

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市野さんの演奏はライブでは高頻度に聴いていますが、CDでは2016年のアルバムが直近かもしれません。
 "Childhood" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63887497.html )
(参加作は、石若の"SongBook6", 橋爪亮督盤等に入っている)
その前は、藤原大輔らと演っていたRabbitoo
 "Torch" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63674453.html )
 "national anthem of unknown country"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62404051.html)
個人名義のリーダー作は、2008年の"Time Flows" (https://www.amazon.co.jp/dp/B001F6ZGT8/ )以来と思われます。
個人的には、2007年の下記作を聴いています。
 "Sketches" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62027989.html )

メンツは、盟友といえそうな面々が揃ってます。台湾の謝明諺は2023年に来日しライブを行っており、しっかり参戦してました。
 "(20231208)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501701858.html )
市野元彦(G)、津上研太(As)、外山明(Ds)、謝明諺(Ts:1,2,3,4,6,8)

演奏曲はすべて市野のオリジナルで全部で8曲。
1. Conversation and Confession
2. First Dance
3. Peace
4. Elephant Ride
5. Spring
6. Solid/Liquid
7. Tiny Little Waltz
8. Nice People

ゆったりめなテンポに緩めなテーマがあるのは感じられるが全体としてはフリー要素強めな演奏が主体になっている
4者(時に3者)がそれぞれにそれぞれのアイデンティティに従った音を全体のサウンドバランスを考えながら紡ぎ出していく、その集合体の妙
とくに2管による、対峙しているようでありながら、お互いがお互いのサウンドをリスペクトしているような、複雑に絡み合っていくところが大きな聴きどころになっていると思う
なんだかんだで肝は、リーダーである市野の全体をまとめ上げ破綻のないように仕立てていくセンスの賜物であるのは間違いないでしょう

ベストは6曲めでしょう。

"Melodies" 市野元彦 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0DNG7NJWJ/ )

森田修史, 魚返明未デュオ(20241227)

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この両者のデュオがいつもの店で行われるのは、たぶんこれが2回め。
個人的に、共演自体は過去にtempに客演という形で聴いています。
 "(20230728)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/500184654.html )

配置は、定位置(右端)から左側に引っ張り出されたピアノに座る魚返に、ほぼ中央位置に立つ森田という立ち位置。

演奏した曲は、先日リリースされた森田のリーダー作 "See you on the other side" ( https://www.amazon.co.jp/dp/B0DKWYN1QS/ )からの曲が大半で、そこに魚返のオリジナルを数曲入れたような感じ。
最後の最後に、Kenny Barronのオリジナルを披露したのが、今回の両者以外の唯一の曲。

定刻を5分も過ぎたところで、両者が前に出てきて開演。
今回、ほぼかぶりつきという感じの場所で聴いていたので、両者の音をがっつりと浴びられたが、両者の音色がいずれも芯のしっかりある音であることが如実に感じられた。
ただ強いだけでなく、力感がありながら一切ブレないしっかり芯の通った音という表現がしっくりくるような感じ。
それでいて、音楽は、ガツガツした雰囲気にはならず、しなやかさすら感じさせるような心地良いサウンドに仕上がっている。
低音から高音まで速い節回しからじっくりゆったり聴かせる節回しまで縦横無尽なフレーズで音を紡いでゆく森田
それに対して、いつも以上に同じ音を執拗に叩く即興で応戦する魚返
それぞれがそれぞれの個性をしっかり見せた演奏であるが、それでいてきれいに融和しているのが実に心地良い。
1stセット、2ndセットとも5〜6曲ずつでそれぞれ約1時間、最後にアンコールにも応えてくれた充実のライブでありました。

聴衆は10人強といったところか、ただし女性比率が高かったのが、普段とちょっと違ってたか。
終演後、お酒飲みつつ少し会話を楽しんだところで辞してきました。

魚返, 中島, 手島(20231222)

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国分寺市の公民館のイベントで無料ジャズライブがありまして、その告知をみつけてすぐに予約をいれたもの。
ジャズのライブではありますが、AM10:30〜 という、ある意味凄い時間の開催です。

そのメンツは以下のとおり。
魚返のライブは何度も見てますが、管楽器の入ったものは数少なく、個人的にはレアなものであります。
ベースの手島はライブでもcdでも初聴きでした。
魚返明未(P)、中島朱葉(As)、手島甫(B)

ほぼ定刻に職員による解説のあと、メンバーが登場して開演。
メンバー紹介、かんたんな曲紹介から1曲めは、Someday My Prince Will Comeから。
市が主催ということで、しっかりとパンフレットが用意され、そこに公演時間、プロフィールと演奏曲とが書かれています。
なのでどんな曲を演奏するかというというわくわく感がないのだけがちょっと残念。

中島の速いフレーズからサブトーンを効かせたフレーズの終わらせかたとか、なかなかにエモーショナル。
ドラムレスのなか、手島の手堅いベースが良い感じに推進力をとっていて、ソロも数曲で披露して良い味を出していく。
魚返は、フロントに管が入るので音数は若干控えめにはなるが、オリジナル曲ではイントロと最初のソロをとるような感じ。
少ない音数のなかでの攻めた合いの手の入れ方なんかも、さすがにしっかり楽しませてくれる。
普段ジャズに馴染みのない人もいる前提で、技巧的なアドリブで熱い演奏を繰り広げるような展開は期待できないと当初予想していたが、必要以上に過激にはならないが、しっかり原曲をすっとばすようなアドリブを繰り広げていて侮れない。

1stセットは、すべての曲の前に曲紹介し、さらに1曲めと2曲めのあいだでは長めにジャズの話、楽器の話とデモなどを披露
3曲めで小学生のクラリネットをゲストとして招聘(市内在住とのこと)
2ndセットは、1stセットが超押したので、3曲連続で演奏して、最後の曲が終わったのが定刻の10分後。
それでもアンコールにも応えてくれました。

セットリストは以下のとおり。
Someday My Prince Will Come
Anthropology
夏の駅

East of The Sun (and West of The Moon)
もず
The Christmas Song
照らす

壷阪健登ソロ(20231213)

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壷阪健登は1995年生まれで、米国から帰国後にデビューをした若手。
今年、初リーダー作が出ていますが実はこれは未聴。
 "When I Sing"(https://www.amazon.co.jp/dp/B0CZXPWYQG/ )
参加作は聴いていて、浅利史花の"Thanks For Emily"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/499811728.html )、中村海斗の"BLAQUE DAWN"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/499021152.html )と若手ミュージシャンのアルバムに参加しているのを聴いています。

今回、武蔵野スウィングホールでソロコンサートがあり、縁あって聴くことができました。
武蔵野スイングホールに赴くのはどうやら2019年のJeremy Pelt依頼のよう(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/471855325.html )。
コロナ渦もあるが、自分の勤務地変更の関係もあって足が遠のいていました。

ステージ中央にSteinwayが置かれ、マイク類は一切見えなかったので今回は完全生音。
過去スウィングホールはPA過多のコンサートが多かったので、これは朗報。

19時開演予定で、しっかり定刻通りに開演。
スタッカートの切れ味が秀逸で、スラーとの対比が光る。
打鍵の強弱の安定性、リズム感の安定性、そして紡ぐフレーズの安定性、おおらかでダイナミックでそれでいてひたすらに美しい。
スリリングという感じは個人的には受けなかったが、本当はある種のスリリングさを持ち合わせた演奏だったんだと思う。
個人的には、安心して演奏に酔いしれるような印象を持った。
そして、ピアノをしっかり鳴らしきっているように聴こえていたのも特筆で、ピアノの音色に聴き惚れていれば、それだけでも十分満足できると言ったら、演者には申し訳ないか。
演奏曲は1曲を除いてすべてオリジナル(リーダー作の全曲だったらしい。これを演るのは今夏が初とMCで語っていた)で、ちょっとクラシックコンサートのように感じられるところも。
服装が、白シャツに黒ズボン、黒革靴ってのも、そんな印象を助長していたかも..。
ソロピアノを始めたのが、小曽根真の影響だったとMCで語っていたが、小曽根の影響下にあるような演奏という印象を持ったが、本当かどうかは...?
1曲だけ演奏した非オリジナル曲は、季節柄のMel Tormeの"The Christmas Song"でした。
おおよそ2曲続けて弾いてMCをいれるような進行で、2ndセットで1曲弾いた後のMCでは、ソロピアノについて、ホールでのライブについて語ってました。

1stセットが50分、2ndセットも50分くらいで、アンコールにも応えてくれ、ました。充実のピアノサウンドを堪能させてもらいました。

"陽炎" 竹村一哲

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竹村一哲のリーダー作が出ました。
が、CDを売る気はあまりないような気配で、店舗では買えず流通にはのっておらず、メンバーから直接購入することになるが、それも確実ではなさそうで、自分も入手に少々苦労しました。ただし配信は充実しています
竹村一哲の簡単な来歴は、石田幹雄, 瀬尾高志とのトリオで北海道から出たきた時にリリースされたのが
 "張碓" (https://www.amazon.co.jp/dp/B000Q36TSI )
その後、板橋文夫トリオ、渡辺貞夫グループ、藤井郷子東京トリオと錚々たるユニットで活躍している
そしてこれがリーダー作2作め。前作は2021年にリリースされている下記。
 "村雨" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/483352303.html )
といった感じ。

メンツは前作と全く同じで、下記の面々。
竹村一哲(Ds)、井上銘(G)、魚返明未(P)、三嶋大輝(B)

1 Snow falls
2 陽炎
3 Twilight
4 陰のみぞ知る
5 洞窟 (Cover)
6 Fall of the wall
7 No
8 Priestess (Cover)
9 いきり

井上の少し歪感のある音色での不安定さも感じられるフレーズがフロントで、とくに4曲め後半の泣きのフレーズは、かなりのグッとさせられるパワーを感じさせる
もう一人のフロントの魚返のピアノは綺麗な音色での安定した美フレーズが見事。
3曲めのイントロとか、見事に魚返ワールドを感じさせる
続く三嶋のソロも雰囲気たっぷりで良いサウンドを聴かせている
竹村の曲の緩急により自在にコントロールされたドラムによるノリが全体をしっかりと存在感をみせつつ下支えしている。
冒頭曲はフリー濃度濃いめの攻めた曲調、2曲めはジャズ濃度方面が濃い、そっち系に攻めた曲調。
他にも、調和をハズしたようなだったり、ミニマルな気配を醸したものだったり、ちょっと凝ったテーマのクセのある曲を、井上と魚返とが絶妙に気持ち良く捌いて格好良く仕上げていくのがなんとも心地良い。
そう考えていくと、三嶋の安定感ある盤石なベースの存在感をあらためて認識することにもなる

ベストは3曲め

"陽炎" 竹村一哲

"渋吼 Shibukoh" 渋さ知らズ

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渋さ知らズの新作がリリースされた。前作は2017年の下記なので、約7年ぶりということになる。
 "渋樹" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63994078.html )
このあとも、毎月1日の新宿Pit Innでのライブを筆頭にコンスタントに活動は続いていたが、片山広明が亡くなったことが大きいと勝手に思っているが、アルバムを作るタイミングが作れなかったんだと思う。(完全な推測)
今作は、不破が自身のレーベルをつくりそこからのリリースとなっている。

過去には自主製作のCD-R含め、たくさん出ていた渋さ知らズのCDですが、自blogで紹介しているものを一覧しておきます。
 "渋彩歌謡大全" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63235985.html )
 "渋栗" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62388245.html )
 "渋夜旅" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a59397317.html )
 "巴里渋舞曲" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a55867783.html )
 "ケイハクウタガッセン" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a49624236.html )
 "渋響" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a44079059.html )
 "渋星" https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a26302227.html )
 "片山広明with" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a24572521.html )
 "渋全" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a22483825.html )
 "Lost Direction" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a18234684.html )

メンツは以下の通りで、本作は過去を鑑みてもかなりな小規模編成。
メンバーは、不破, 立花, 鬼頭 ,山口 ,磯部, 玉井といった主要どころはしっかり残っているが、個人的には加藤一平の加入が特筆事項。
不破大輔(Cond)
北陽一郎(Tp)、立花秀輝(As)、斉藤圭祐(As:8)、田中邦和(Ts:1-7)
鬼頭哲(B)、加藤一平(G)、山口コーイチ(P)、磯部潤(Ds)、玉井夕海(Vo)、和田直樹(G)

演奏曲は以下の通りで、CDのトラック数は3つだけでT1が1,2、T2が3-7、T3が8という構成。
T2は、2曲が交互に現れるメドレー的なもの
1.イントロダクション「渋さ知らズ」
2.平和に生きる権利
3.行方知れズ
4.渡
5.行方知れズ
6.渡
7.行方知れズ
8.堕天使たちのバラード ー水族館劇場『新漂流都市』よりー(作詞:翠羅臼/作曲:不破大輔 )

上述の通り、2曲めが行方知れズと渡が交互にシームレスに曲が続くような流れになっていて、これが中心ということで良いと思う。
冒頭、平和に生きる権利のフレーズをモチーフにしたスローめな展開、これがこの盤のイントロ的扱い。
平和に生きる権利のフレーズが明瞭になって玉井さんの歌が入ってきて、ここから本編(で良いと思う)
管の数がそう多くないので、これまでのような圧巻の迫力とはならないが、渾身のブローでしっかりと音の厚みを出すような演奏が清々しい
往時の渋さというと、片山のテナーが主役となり要所のソロで渋さのアイデンティティを形成していたと理解しているが、
片山亡きあと、立花のアルトがフリーキーにハイインパクトなブローを響かせることで後釜に座っているということだと感じられるサウンド
だが、実は表に出てくる頻度はそう高くないが加藤のギターのインパクトが強烈で、裏番はってるんじゃないかと思っている
特に、T2の冒頭となか程のソロが素晴らしい

こんな構成なのでベストは決めないことにします。

"渋吼 Shibukoh" 渋さ知らズ (https://www.amazon.co.jp/dp/B0DHHCG89N/ )

"蒼い街" 吉田隆一, 石田幹雄

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吉田隆一と 石田幹雄のデュオ作は、2010年に1枚アルバムが出ている。
 "霞" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a59697337.html )
本作はその10ん年ぶりの2作めということになる。こんなに間を開けて2作めというのも凄いことだと思う。
石田は、本blogでライブ含め登場頻度は高いので割愛するが、吉田もリーダー作は下記を聴いています。
 "N/Y" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63745524.html )
他は、板橋文夫, 林栄一, 渋谷毅らの大所帯バンドの一員、スガダイローとのblacksheepなど参加作は実は多数存在する。

メンツはそんな2人
吉田隆一(Bs)、石田幹雄(P)

演奏曲は、石田、吉田のオリジナルがそれぞれ2曲ずつに、Charlie Haden, Billy Strayhorn, Hermeto Pascoalが各1曲で全部で7曲。
1.Etude
2.Nightfall
3.乙女座の茫然
4.A Flower Is a Lovesome Things
5.蒼い街
6.Bebe
7.真夏の午寝

全体にスローな曲多めの、やさしく丁寧に抑制を効かせながら奏でられるバラードが主体となる。
個人的には、石田の抑制をしっかり効かせながらピアノに対峙し、醸し出されるサウンドの美しさに魅了され、吉田のバリサクから吹き出されるハッとさせられる低音の迫力とがなんといっても聴きどころなわけで、
とくに4曲めで聴ける吉田のサブトーンは、さすがにバリトンでなければ表現できないの迫力という感じで、尋常でない
3曲めが、ちょっとアップテンポになり、テンポが速くなると吉田も石田もいい意味で少し粗めの演奏に変化してくる。
6曲めも速めなテンポだが、これは勢いに任せすぎずに抑制を効かせた演奏から始まる。
中ほど以降、吉田がかなりフリーに振れ暴れまわるが、その熱気溢れる咆哮がなんとも心地良い。
ここがこのアルバムの一番の聴かせどころといっていいと思う。

ベストは5曲め

"蒼い街" 吉田隆一, 石田幹雄 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0DFHJ92CH/ )

"天使乃恥部" 菊地成孔 y Pepe Torment Azucarar

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菊地成孔の最近の音楽の活動は、新音楽制作工房(https://www.shin-on-gak.com/ )を除くと、このぺぺ・トルメント・アスカラールと子供スパンクハッピーくらいじゃないかと思う。
本作もフィジカルのリリースは、香水とセットで\48,000とものすごく高額なものであります。
が、配信もされているので、自分はその配信のほうで聴いています。
過去のぺぺ・トルメント・アスカラールのアルバムは以下の通り(DL作除く)で、最近作が約10年前で驚いた
 "戦前と戦後" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62541137.html )
 "New York Hell Sonic Ballet"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a58840789.html )
 "記憶喪失学"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a55787861.html )
 "野生の思考"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a41109388.html )

メンツは弦楽器以外は不変のようで、本作では以下の通りの面容となってます。
菊地成孔 y Pepe Torment Azucarar
菊地成孔(Sax,Vo,Per)、大儀見元(Per)、田中倫明(Per)、林正樹(P)、鳥越啓介(B)、早川純(Bandneon)、堀米綾(Harp)、
牛山玲名(Vln)、田島華乃(Vln)、舘泉礼一(Viola)、関口将史(Cello)

演奏曲は菊池オリジナルが共作含め6曲、丹羽武史(3), Massacre(5), Vardan Ovsepian(6)で全部で9曲。
1 闘争のエチカの歌
2 京マチ子の夜
3 アンリ・ルフェーブル
4 小鳥たちのために II
5 キリングタイム
6 私が選んだ貴方への頌歌
7 色悪
8 ルぺベレスの葬儀
9 天使乃恥部

菊地が歌詞の有無はあるにしても歌う曲が4曲。ただし4曲めは「パ」しか言ってない
その菊地は2曲めのサックスソロがエロ素晴らしく、さらにそこに絡む林のピアノもこれまた素晴らしい。
他の曲でもサックスは聴けるが、その迫力と官能が同居したようなサウンドは菊地ならではと言いたいもの。
そして、いずれの曲もアレンジが秀逸で、ちょろっと紛れ込むハープの音にハッとしたり、バイオリンとバンドネオンの掛け合いにうっとり聴きいったりと、エレガンスと官能と狂気と驚喜とが入り混じったサウンドが次から次へと繰り出されるさまに圧倒される。
5曲めのドラマチックな展開の派手さは特筆かもしれない(いや、やりすぎかも
最後の曲は、レコードのスクラッチ音から始まり、途中にナレーションを入れたり遊び要素多め

ベストは8曲めにしましょう

"天使乃恥部" 菊地成孔 y Pepe Torment Azucarar (https://magazine.tunecore.co.jp/newrelease/421213/ )

"Plays Standards" 片倉真由子

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片倉真由子さんのリーダー作を聴く(紹介する)のはこれが2枚めですが、1枚めが2011年で、それからこれまでずっと聴かずじまいという体たらく。
 "Faith" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60259969.html )
とはいえ、エポックメイキングな石若駿のアルバムに参加していてそれはしっかり聴いてますし、
 "Live at The Body & Soul" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61999075.html )
北川潔のトリオ作のピアノが彼女で、それもしっかり聴いてますし、
 "Turning Point" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64350959.html )
 "Spring Night" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/474875942.html )
他にも、治田七海(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/498436443.html ), 山口真文(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/504404054.html )など参加作を聴いているので、そうご無沙汰感はありません。
などと書きながら、実は本作は購入しておらず図書館にあったので借りてきて聴いているものです。

メンツはオーソドクスなピアノトリオ編成で以下の面容
片倉真由子(P)、粟谷巧(B)、田中徳崇(Ds)

演奏曲は、タイトルにもある通りスタンダードを中心としたもの。
01.Whisper Not
02.Autumn Leaves
03.Body And Soul
04.Softly, as in a Morning Sunrise
05.Over The Rainbow
06.Moanin'
07.Alone Together
08.Summer Time
09.Sandu

元曲がしっかりと判別できる程度の崩し具合。テンポも速過ぎず遅過ぎずの良い塩梅。ベースドラムもしっかりと4ビートを刻む。
片倉のピアノは、音数は若干多めでおかずも盛るが、多少語尾をアウトさせていくようなところが数か所で出てきてそこが特徴的か
粟谷のベースはオーソドックスなウォーキングを基本として、曲によりよく歌う味わい深いソロを聴かせるのが心憎い
田中のドラムは音数を抑えめに派手な立ち回りも控えめに、でもリズムキープは盤石な振る舞いで、こちらもごくごく真っ当な印象
そんなリズム隊がバックアップに回っているので、片倉のスタンダードの解釈をしっかり提示できているような作風に仕上がっている
解釈の目新しさとか大胆なアレンジとか、そういうのはほぼ出てこないが、それでも聴き応えのある演奏を楽しませてくれている。

ベストは9曲め

"Plays Standards" 片倉真由子 (https://www.amazon.co.jp/dp/B08KTY231H/ )

"ELECTRIC RIDER" 馬場智章

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馬場智章のリーダー作は、2022年の下記を聴いています
 "ギャザリング" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/491759570.html )
が、巷ではアニメ映画Blue Giantの主人公のサックスの音の人として有名な人
 "Blue Giant" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/499021054.html )

メンツはBig Yukiを含むトリオが基本で、そこに曲によりゲストが入る構成。
Big Yukiも最近話題の人ですが、まともに聞けていないのでなんとかしないと..。
馬場智章(Ts)、Big Yuki(kbd,Syn)、JK Kim(Per)
Weedie Braimah(Per:2)、佐瀬悠輔(Tp:3,7,9)、小金丸慧(G:8)、Ermhoi(Vo:9)

演奏曲はすべて馬場のオリジナル。
1.PRIME
2.Season of Harvest
3.WHAT IS ??
4.Fade into you
5.Reprise
6.88
7.Circus II
8.BaBaBattleRoyale
9.Still Remember

電子音を多用したビート感の強いバックトラックに、太くて勢いのある音色でメカニカルなフレーズを奏でるサックスが乗っかる
このサックスも曲によって電気エフェクトをかけ、中には多重録音もありそう
音に厚みを与えドラマチックな展開をみせるのがBigYukiのキーボード
JK Kimは、キレとインパクト、強力なグルーヴ感をタイトなドラムで聴かせる
ハイハットをスティックで叩くカツカツした音が印象的
8曲めにだけギターが入るが、ギターが入ると雰囲気が変わって、ワイルドさが色濃く出てくるのは狙い通りなんでしょう。
アンビエント、テクノから派生した最近のリズムをジャズ化したようなサウンドという印象だが、本人はインタビューで「ジャズを強く意識しないエレクトリックなサウンド」と言っていたが、ジャズテイストをより多く感じるのは、自分の聴取範囲故か、馬場の出自故か..。
この手のサウンドは当初黒田卓也のリーダー作で聴いていたものと大枠ではテイストが同じと感じていて、このサウンドに共感した邦人一派がNYで(Robert Glasperが一派形成しているように)形成されたと感じているがはてさて。
9曲めだけ女性ボーカルが入るが、この手のサウンドでボーカルが1曲だけというのも珍しい

ベストは8曲めにしましょう。

"ELECTRIC RIDER" 馬場智章 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0D8W3K946/ )
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