日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

世田谷トリオ(20240817)

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久々に、新宿PitInn に行ってきました。そして、久々に世田谷トリオのライブを見てきました。

自blogの記録を見ると、コロナ前の5年前以来の新宿PitInnでありました。
仕事場が変わり田舎方面への通勤になったこともあったので、まぁ納得できる
最後は、本田珠也のトリオでした
 "(20190419)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64783856.html )
じゃぁ、世田谷トリオはどうだったかというと、さらにその1年前の2018年以来でした。
 "(20181011)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64627120.html )

その世田谷トリオですが、今年初頭に新作が出てまして、その入手もずっと画策していたことも、今回参戦の理由のひとつ。
アルバムは、正規版の初リーダー作が過去に1枚出てますが..、
 "Introducing Setagaya Trio" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64491031.html )
実はその前に非正規版(たしかCDRで)ってのが出てまして、それも含めて全部入手して聴いています。
 "Live Bootleg Vol.1" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64637096.html )
 "Live Bootleg Vol.2" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64637103.html )

久々のピットインで久々の世田谷トリオ。
開場前に店の前を通りかかったら、ちょうど岩見君が店の前を歩いていて、目があったら覚えていてくれて、ちょろっと挨拶しました(岩見君も2020年の後藤篤カルテット以来..
 "(20200627)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/475959101.html )
開場ちょっと後にお店に着くと、入場の列ができていて、人気の高さがうかがえます。
最終的にお客さんは30人を少し超えてたようで、さらに前席から埋まっているような状況だったので、人気の高さは間違いのないところ
舞台は、PitInnの定常の、左にピアノ、右にドラム、真ん中にベースという配置。
メンツはずっと不変の以下の通り
高橋佑成(P)、岩見継吾(B)、吉良創太(Ds)

ほぼ定刻に演奏スタート、最初にメンバー紹介のMCがありそこから4曲立て続けに演奏
1stは6曲、うちオリジナルが4曲準ずる曲1曲で、ほぼ1時間
ラテン調を中心に、派手めな曲が多め
2ndも基本的には曲毎のタイトル紹介はなく複数曲演ってから曲紹介をするような進行で、こちらも6曲でオリジナルは1曲だけで、他はBill Frisell, Theronius Monk, Duke Ellington, 80/81などを。
曲調としては若干しっとりめだったりキメがわかりやすかったりという感じだが、中程以降、結局曲関係なくがっつりの演奏になだれ込むのはお約束。
こちらも、ほぼ1時間で、さらにアンコールにも応えてくれ、John LennonのImagineを!
テーマから即興のあとテーマに戻らず終演としていたが、これが良いまとまりで格好良かった。
高橋が次の予定があるとのことでしたが、かなりギリギリな時間まで演奏してくれたことになります。感謝感謝
基本的進行は、テーマは、ピアノかピアノとベースのユニゾンからで、即興はピアノが先行するのが多めだが、ベースからの曲もあったか。
ピアノソロのバックをドラムとベースとで音数多く空間を埋め尽くし、あるタイミングで音をブチっと切るようなアレンジが施され、ここが世田谷トリオらしいところ。

久々に聴いた高橋のピアノの、右手左手のユニゾン、右手の高速フレーズ、タッチの強弱の微妙なコントロール、美麗フレーズからのフリーフォームと、あらためて上手さ巧さを実感した。
音数がめっぽう多い吉良のドラム
しかも数曲でたっぷりがっつり、これでもかってなソロを披露
数日前にちょっとトラブルがあったようで腕にテーピングをしてたが、そんな気配を見せないとんでもなくパワフルな演奏でぶっ飛んだ
岩見の、体を揺さぶり、顔の表情豊かに、汗をたっぷり掻きながら、アルコとピチカートを半々に使いアグレッシブでパワフルなベースを響かせる

個人的には前述のとおり6年ぶりくらいになるが、アグレッシブで熱い演奏がさらに進化した世田谷トリオをたっぷりと堪能させてもらいました。

"Babylon Hotel" 挾間美帆 & DR BigBand

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挾間美帆のDanish Radio Big Bandでのパフォーマンスは、これが2作め
初作は2021年の下記。
 "Imaginary Visions" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/484946039.html )
このリリース直後に来日してまして、これは生で見ています。
 "20221113" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/493485029.html )

本作は、Danish Radio Big Bandとデンマーク国立交響楽団との演奏で、ドイツ制作の人気テレビドラマ(と言われても自分は知らない)の音世界を再現した作品ということになるようです。

演奏曲はBeyonce,
01. Crazy in Love
02. Babylon Berlin & Zu Asche, Zu Staub
03. Welcome to Burlesque
04. La Vie en Rose
05. Libertango
06. Lonely House - Street Scene
07. Bei Mir Bist du Schon
08. Reason or Rhyme
09. Welcome from Babylon
10. Wenn ich mir was wunschen durfte
11. Join the Club - Moka Efti Orchestra
12. Liebesleid
13. Le Grand Lustucru

1920年代を題材にしたというが、おおよそ戦前の音楽を模したアレンジ(サウンド)を中心に据えている。
オープニングではEdith Piaf風のシャンソン然としたサウンドが流れ(でもBeyonceの2013年)、フレンチなイメージが多く感じられる。
この時代の音楽といえば、ゴージャスでエレガント、官能的で妖艶なフランス(あるいは欧州)が最もふさわしく、そんなサウンドの印象にいろいろな音楽を染め直している。
全体の雰囲気は、先述のような雰囲気で一貫性があるように感じられるが、実際には、前述のBeyonceをはじめ、 La Vie en Rose は戦後の曲であり、Libertango は1970年代の作品と、実はいい意味で脈絡ない一貫しないような曲を集めてきている。
他の曲も含めて、戦前のサウンドを意識したようなアレンジに、時折最近の音楽を感じさせるような響きが現れ、その違和感がまた良い方向に作用しているように感じる。
初めは購入に踏み切る際、自分の好みに合うか少し不安があったが、それは全くの杞憂だった。
このアルバムは実に見事なエンターテイメントを提供してくれている。

ベストは7曲めにしましょう

"Babylon Hotel" 挾間美帆 & DR BigBand (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CZDTKS5Q/ )

“プレイグラウンド” 山下洋輔

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1990年に結成された山下洋輔のトリオのアルバムで1993年にリリースされたもの。
往時の山下洋輔トリオというとベースレスの、ピアノ, サックス, ドラムという構成が普通のような感覚だが、この編成は1983年で終わっているので、この頃はオーソドクスな編成となっている。
この盤、実は有名盤でそれが故に購入してきたのだが、菊池成孔が山下組で演奏している音源です(唯一かどうかは未確認)。
が、ドラムの堀越彰の初録音でもあるらしい

さらに、林栄一も客演していてメンツは以下のとおり。
山下洋輔(P)、小松康(B)、堀越彰(Ds)
林栄一(As)、菊池成孔(Ts)

演奏曲は、山下(3曲), 堀越(1曲), 小松(3曲)のオリジナルを中心に、林のオリジナル他を入れた全部で10曲
1. Power Bomb
2. Synchronizer
3. My Grandfather's Clock(おじいさんの古時計)
4. The 88th Dream(88番めの夢)
5. Tongue Twister
6. Strawberry Tune
7. Like Jaz
8. Brick Block
9. Green Sleeves
10. Kurdish Dance

1曲めが後半でベースのアルコ弾きをがっつり効かせ, 2曲めではエレベを起用した曲、これはちょっとラテンな気配が感じられる。
いずれもトリオでの演奏。
ピアノソロ以外は、概ね落ち着いた展開をみせる
3曲めで菊地登場。
粗めの音色でゆったりテンポでテーマを演奏、その後のソロではフリー濃度が一気に上がる
さらに、ピアノの山下節が彩りを添える
6曲めでは林が登場。
テーマを1フレーズ吹いて、山下のソロに繋ぎ、次のソロが林の真骨頂と言える演奏で、速いテンポを一気に走り抜ける
8曲めが林、菊地両者の入ったトラックで、中央線ジャズ的な展開のフリージャズ感たっぷりの演奏
全体として、曲はスタンダードを含むオーソドックスなものを選んでいるが、演奏は要所でしっかりテンションを上げてきており、強力かサウンドをたっぷりと楽しめる
上述のとおり、山下組での菊地の録音として有名なアルバムなので、そこにだけ言及されることが多いと思われるが、林の入った演奏もトリオでの演奏も充分聴き応えのあるものでありました。

ベストは8曲め

“プレイグラウンド” 山下洋輔 (https://www.amazon.co.jp/dp/B00005FK2Y )

"照らす" 魚返明未

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魚返のピアノトリオのリーダー作としては3枚めになる作品
過去作は以下のとおり。
 "STEEP SLOPE"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63342279.html)
 "はしごを抱きしめる" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64675267.html )
この2枚は、楠井五月, 石若駿とのトリオだったが、本作でメンバーを変えてきている。
他にTempと.Pushというユニットがあったり、井上銘とのデュオ作があり、以下のとおり紹介しています。
 "Temptation" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/490644583.html )
 "NEW PROMISE" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/492591148.html )
 "魚返明未&井上銘" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/487809305.html )

メンツは、高橋陸が.Pushのメンバー、中村海斗は2023年の初リーダー作を聴いています。
 "BLAQUE DAWN" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/499021152.html )
魚返明未(P)、高橋陸(B)、中村海斗(Ds)

演奏曲はすべて魚返のオリジナルで全部で11曲。
1.曇り空
2.洞窟
3.照らす
4.アルコールジェル
5.間奏曲I
6.棘
7.Normal Temperature
8.間奏曲II
9.昨日の雨
10.夏の駅
11.かけら

魚返のオリジナル曲は本人の見た風景とかその時に本人が感じた印象のようなものを元に作られた曲が大半で、その元となったものはタイトルを見ればおおよそ察しがつくようになっている。
なので、そのタイトルを見ておいて、そこから想起されるイメージを自分なりに思い浮かべながら楽しむのも一興ではあるが、個人的にはタイトルは無視してひたすらに演奏に注視して、その音世界に浸るような感じが好ましい気がしている。
こんな聴き方でも充分にその魅力に聴き惚れるのは間違いない。
そんな魚返の、美しさのなかに、耽美な響き、ゴージャスな雰囲気、美麗なフレーズ、そして激しさを感じさせる場面とさまざまな表情をたっぷりと詰め込んだピアノが実に心地良い。
メロディアスでありながら魚返のピアノをがっちりと支える高橋のベースの強さ。
オンテンポでありながら自由度もたっぷり多彩な表現をしなやかに叩きだす中村のドラム
両者とも、魚返のピアノを邪魔しないような良く抑制を効かせた演奏でありながら、個性をしっかり感じさせる。
魚返本人もこのトリオでまわったツアーで、この3人での演奏に盤石なものを感じていたよう。

ベストは3曲め

"照らす" 魚返明未 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CX8M7FQV/ )

"Zek! III" Zek Trio

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ピアノトリオでLed Zeppelinの曲だけを演奏するというコンセプトのバンドの Zek Trio ですが、これが3作めのリリースとなります。
過去の2作の紹介は以下のとおり。
 "Zek!" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63976804.html )
 "Zek! II" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64792908.html )
1作めが2015年で、2作めが2018年で、3作めである本作は2023年のライブ音源を収録したもの。
いずれも2枚組で、収録曲をざっと見比べたところ、重複は1/3くらいのイメージで良いんじゃないかと思います。
3枚のいずれでも演奏しているのは、Immingrant Song だけでした。

メンツは不変の以下のとおり。米木さんがこのあと病気療養とのことなので、当分ライブでは聴くことはできません。(でもいまだに生で見れてない..)
清水くるみ(P)、米木康志(B)、本田珠也(Ds)

演奏曲は、上記のとおりの状況で以下の11曲。CD2枚分たっぷり入ってます。
Disc 1
1. Dazed Aan Confused
2. Poor Tom
3. Gallows Pole
4. Sick Again
5. Four Sticks
Disc 2
1. No Quarter
2. Moby Dick
3. Night Flight
4. The Crunge
5. Immigrant Song
6. 貴方の声を見つけて!(Rock and Roll)You may hear your shouting

元曲のテーマ(主旋律)とかキメとか、Led Zeppelinの曲としてのツボをしっかり抑えているので、Led Zeppelinの曲を聴いている満足感は損なわれず、それでいてジャズのアドリブの緊張感とか面白さも兼ね備えているので、さまざまな聴きどころをでいろいろと楽しませてくれる。
3者それぞれが、重量級の迫力ある演奏を繰り広げており、その重厚かつある種の厳かな雰囲気を感じさせるサウンドが、実に見事で格好良い。
Led Zeppelinの曲にはこれくらいヘヴィ級な演奏がよく似合っている
ところどころ曲の合間に英国由来の曲(ロンドン橋落ちた、勇敢なるスコットランドとか)が混じるが、この展開は過去2作にはなかったような.. でもちょっと楽しいご愛嬌
Sick Againが代表的になると思うが、本田珠也のドラムが暴れ回るのをピアノとベースが支えているような錯覚にするくらい本田珠也のドラムの圧力が際立っている。
これまでもそうだが、なんだかんだ本田珠也のドラムの迫力を聴くのが大きな目的になってしまうような
もちろん、清水さんのピアノの表現の妙も聴きどころだし、トリオとしての一体感の素晴らしさも聴き応え充分ではあるが、あの迫力に耳を持ってかれるのはしょうがないでしょう...

ベストはDisc1の5曲めにします

"Zek! III" Zek Trio (https://www.amazon.co.jp/dp/B0D4YL8PPQ/ )

市野元彦, 栗林すみれデュオ(20240719)

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2023年12月に台湾のサックス奏者 謝明諺 のライブがいつものお店でありました。
 "20231208" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501701858.html )
その際のギタリストとピアニストである、栗林さんと市野さんのデュオ。
この両者は、他のお店ではライブを披露しているらしいが、ここではこれが2回め。
前回は見逃していたので今回は是非にとお店に赴きました。
18時を過ぎたところでお店に着きましたが、まだリハーサルをやってましたが、客席には先客が2名。
根強いファンがいらっしゃることがわかります。

メンツは、
栗林すみれ(P)、市野元彦(G)
配置は、ピアノをいつものように定位置の反対側に移して、ピアノの定位置に市野さんが椅子に座ってギターを構える。
ひと通りリハーサルが終わったところで、栗林さんがピアノの高音から低音まで何度か弾いたと思ったら、ピアノの裏側にまわってなにやらやりだした。
どっかの音域でビビりがあったか音のバランスがよくなかったか、裏の荷物を移動して調整をしていたらしい。

定刻を10分も過ぎたところで開演。
ミディアムからミディアムスローくらいのテンポでしっとりとした雰囲気の、両者のオリジナルが大半で、数曲スタンダードかそれに類する曲が入っていたはず。
最初に、主に市野さんが曲の紹介をするのだが、たまにその話が栗林さんに向いている場面も。
大半がオリジナルなので、テーマをこちらが認知できていないが、たぶんイントロ的な演奏を少しした後、するりと本編の主旋律に入っていくような感じの進行だったと思う
ピアノとギターのデュオだからというのが大きいと思うが、ビート感をとくに意識させないで、ひたすら両者の美しい旋律を聴かせていくような演奏。
どの場面も独奏になる完全なソロの場面は皆無で、バランスとしては、市野さんは低音に近いところを、栗林さんは中音域から高音が多めな分担だが、相手の音に機敏に反応して臨機応変に役割は変化していく。
旋律もそうだが音色も含めて,ほんとうに、綺麗に綺麗に、丁寧に丁寧に、音を紡いでゆくような感じ
両者がそれぞれに、美意識を掘り下げていくような、美しさを追求していくようにみえるが、
聴く側としては、ひたすらそんな美旋律にうっとりと聴き惚れ、体内に染み渡らせてゆくのが心地良く気持ちを穏やかにしていく。
栗林さんはときに気持ちよさそうに笑顔を見せながら体を前後に揺すり、ときに歌いながら、綺麗な旋律を紡いでいく
これがまた、なんというか見ていて心地良い。

1st set, 2nd setとも約50分程度で5〜6曲ずつ。アンコールにも応えてくれました。
最近、爺さん生活(超早起き)してるんで、早々に辞してきました。

John Hebert, 魚返明未(20240708)

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先日ソロライブを堪能した魚返君と、Fred Hersch Trioのベーシスト John Hebert とのデュオライブがありました。
魚返君の直近のライブ記は下記
 "ソロ(20240615)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/503664992.html )

John Hebert(B)、魚返明未(P)

今回の楽器配置は、ピアノは大きく動かさず右側、John Hebertは左側に立つ。
お客さんは、遅れてきた人もいたが、当然の満席。

定刻を10分も過ぎたところで開演。
強烈な歌心に裏打ちされたJohn Hebertのベースの創造性豊かなフレーズ
その手のひらに乗っているようで、果敢に自己主張を入れてくる魚返のピアノ
演奏曲はスタンダードを挟みながら、オリジナルも交えたもの
極端だが、ラファロエバンスの演奏を聴いているような、心地良い緊張感と、うっとりとした気分とを同時に体感するような演奏
魚返は、結局最後まで唸ることはなく本領とはちょっと違うかと邪推したが..。
本人曰く、初共演ということで、しっかり相手の音を聴きながら臨機応変に反応するように集中していたら、結果的に唸っていなかったような感じだったらしい(多少意訳)
楽譜の交換は事前にしていたかもしれないが、きっと本番2時間くらい前に初対面、リハーサルもそこそこに本番に臨んでいるはずなのだが、見事なコンビネーションの高クオリティの演奏は、やっぱりさすがだと感じられる。

1st setがおおよそ50分 2nd set 60分くらいにアンコールにも応えてくれ、大満足のほぼ2時間を過ごさせてもらいました。
終演後、ちょっと会話して、John Hebertと2ショット写真を撮ってもらい、嬉々として帰路につきました

"Opera" 桑原あい

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桑原あいは2012年からの付き合いで、デビュー初期は出たら買いしてまして、これまでのリーダー作の紹介は以下のような状況
 "From Here To There"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61449684.html )
 "Sixth Sense"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61934350.html )
 "The Window"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62659308.html )
 "Love Thema"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63152665.html )
 "Somehow,Someday,Somewhere"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64062389.html )
 "Dear Family"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64348943.html )
 "To the end of this world"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64611830.html )
 "Live at Blue Note Tokyo" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64788994.html )
 "Making Us Alive" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/494912435.html )
最近の作品は聴かなくなってしまっているのですが、本作は図書館で見つけて名前を懐かしく思い借りてきました。
2020年11月に東京オペラシティでライブ録音されたもので、2021年にリリースされたもの。

演奏はソロピアノ
桑原あい(P)

演奏曲は、1曲がオリジナル(10)で、残りはさまざまな有名曲(自分が知ってるかは置いといて)が並ぶ
01.New Cinema Paradise 
02.Livin’ On A Prayer
03.Leonora's Love Theme 
04.Loro
05.Waltz For Debby
06.星影のエール
07.Going To A Town
08.Mishaps Happening
09.Everything Must Change
10.The Back
11.Daydream Believer

確か、桑原の愛奏曲だか、愛聴曲だかを集中的に演奏するようなセットリストだったと記憶しているが、ホールらしい残響をともなったサウンドで、クラシックの奏法を駆使しながらのおおらかな演奏。
過去作の印象は、これでもかというほどに弾き倒すような勢いで押していくような演奏が清々しいような印象だったが、そういう意味ではだいぶ落ち着いた演奏という印象。
ただ、ハッとさせられるタイミングが何度かあったのも事実。
気を衒ったような凝ったアレンジとかはなしに、たぶんキャリア的に容易に思いつくらいのアレンジを即興的に織り交ぜつつ、好きな曲を気分の赴くままに弾きつないでいくような感じだったんじゃないかと推測する。
それでいて破綻なく淀みのない演奏を全編にわたって聴かせているのは考え過ぎずにピアノと対峙しているが故と思えるくらいに、主旋律を大切に演奏しているのが印象的

ベストは思いあれたっぷりに聴かせる3曲めにします

"Opera" 桑原あい (https://www.amazon.co.jp/dp/B08R7L28DW/ )


魚返明未 ソロ(20240615)

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前回の記録は昨年11月ですが、実はこの間(本年2月)にもソロがありましたが、そのときは行けませんでした。
 "ソロ(20231118)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501494788.html )
18時10分頃にお店に着いたら、すでに先客がいらっしゃいましたが、開演までにはほぼ満席、最終的には20人に達していたんじゃないかと推測。
魚返君は定刻ぎりぎりまで外出されてました。(11月のときもそうでした。)
ピアノの位置はいつも同様左側に引っ張り出してあって上蓋も少し開けてある。
定刻を5分も過ぎたところで開演。

おおよそ1〜 2曲ごとにMCを入れ、曲紹介と、その曲のエピソードなどを語るような感じで進行。
先日リリースされたトリオでの新作 "照らす" (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CX8M7FQV/ ) の中からの曲でスタート。
演奏は、元曲のテンポは関係なくゆったりめなテンポで強い打鍵はあまり使わずというのが全体の印象
曲のタイトルが、"昨日の雨"、"照らす"、"夏の駅"のように情景を切り取ったような名付けなのが魚返オリジナルの特徴だが、まさにさまざまなシチュエーションでの静けさを音にしていくようなイメージの演奏。
饒舌でありながら五月蠅さを感じさせない
今回のライブは、唸る場面がこれまでに比べかなり少なく演奏もアグレッシブな方面に振れる場面も少なめ
だが、気合いが足りないわけでは当然なく、開始10分には滴るほどに汗をかいていたし、表情を見てても思い入れたっぷりにピアノに挑んでいるのが見て取れる。
たぶん、一番思い入れのある曲が、井上とのデュオ盤(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/487809305.html )の、サイクリングロードなんだと思うが、 2ndの中ほどで披露されたが、
たっぷりと時間をかけてじっくりと聴かせるような演奏だったのが実に印象的

選曲は、新作から6割、その他オリジナル 3割、スタンダード1割くらいの内訳だったか
1st 45分くらい、 2nd 60分くらいにアンコールにも応えてくれました

前日が新譜会(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/503656436.html )で、遅くまで呑んだくれていたので、この日は早々に辞してきました。

"Trinity" 山口真文

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山口真文さんは、自身のhp(https://mabumi.com/ )のプロファイルをみると、1970年頃から活動を開始した人ですが、自分の琴線にはこれまで一切引っかかってこなかった人。
先日、いつものお店でライブがあり名前を認知した次第。
そのライブには赴いていませんが名前はしっかり憶えまして、あるタイミングで図書館にあるのを見つけて借りてきて聴いたもの。
本作は2022年のアルバムで、それまで1998,2011,2017年とそんなペースでのリーダー作リリースだったようですが、最新作は2023年なので活動が再活発化してきているんだと思います。
 "Viento" (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CMPP9HH8/ )

本作のメンツは以下のとおり。ベースの小牧氏は初聴きですが1981生の中堅
山口真文(Ts,Ss)、小牧良平(B)、本田珠也(Ds)

演奏曲は以下のとおり、スタンダードを中心としたもの
1.Stella by Starlight
2.Round Midnight
3.Summertime
4.Someday My Prince Will Come
5.Solar
6.Everything Happens To Me
7.The Night Has a Thousand Eyes
8.Yearnin’

冒頭のイントロの独奏から、朗々と吹き鳴らしているその堂々とした佇まいに気圧されるような山口のサックス
淡々と4ビートをシンバルで刻むそのシンプルな佇まいが、余計凄みを感じさせる珠也のドラム
サックスに負けない太い音でこちらも淡々としたウォーキングがえも言われぬ凄みを感じさせる
3者が3様の凄みを醸す迫力の固まりのようなサウンドがとんでもない
ちょっとゆっくりめのミドルテンポで、しかも選曲がスタンダードだらけなので、より演奏の強度を求められるところを、予想以上の強度と迫力を魅せる演奏

ベストは6曲めにしましょう

"Trinity" 山口真文 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0B2PYVLV9/ )
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