日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

"Chaos" Tenors In Chaos

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本作は、最近できたんだと思いますが、黒田卓也が主宰する「aTak Record」(https://kurodatakuya-timeout.stores.jp/ )からリリースされたアルバムで、同じタイミングで黒田が主メンバーとなった15人の大所帯編成のアルバムがレーベル初アルバムとして出ていますがこちらは買っていません。
 "Zasu" (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CX4VP3CP/ )

本作はテナーサックス3本を擁した6人編成のバンドで、たぶん迫力あるサウンドが聴けてそれがおもしろそうだなと買い込んできたもので、そのメンツは以下のとおり。
西口明宏(Ts)、 陸悠(Ts)、 馬場智章(Ts)、 David Bryant(P)、 須川崇志(B)、 Kazu Odagiri(Ds)、 黒田卓也(Tp:8)

演奏曲はメンバーオリジナルに、John Coltrane, Newell Chase, Wayne Shorter, Sonny Rollinsで全部で10曲。さすがにタイトル通りテナー奏者の曲が多めです。
1.Moment's Notice
2.Chaos
3.Midway
4.Bang a Gong
5.My Ideal
6.Giant Steps
7.Ringtone
8.BAKKI BAKI
9.Yes Or No
10.St. Thomas

冒頭、ドライブ感たっぷりの4beatからスタート、フロントがテナー3本で、その音色の迫力が圧巻。
1本が低音残りの2本が中高音というパターンでアンサンブル的に3者が重なる厚みのある演奏が多め
そしてピアノが攻めたフレーズで応酬して、実はこれが良い意味で気になる、というか目立つ
半分くらいの曲でエレピを起用、これも曲の雰囲気に合わせていて良い
ドラムはあまり冒険的な派手な立ち回りはせずに堅実なドラミング
ただし、ここでの曲の雰囲気にあった軽快なグルーヴ感は充分に聴きどころになっている。
全体的な演奏の印象としては、粗さを感じさせない整った響きではあるが温度感は高めというところ。
有名曲はなかなか大胆なアレンジが施されていて、そんなのを楽しむのもおもしろい
1曲め10曲めの冒頭とか、6曲めとか
音楽とは関係ないが、このアルバムのジャケサイズがEP盤(18cm四方)で、まぁ保管に面倒で。。。(--;;

ベストは9曲めにしましょう

"Chaos" Tenors In Chaos (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CX56F7F6/ )

"トリオ座2023" トリオ座

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トリオ座という林栄一を擁したユニットのアルバム。
トリオ座としては、1986年のライブを収録したアルバムが過去に出ていたようですが、これは全然認知していませんでした。
2022年にCDで再発されてましたが、そのときもスルー。
 "THE TRIO" (https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008560552 )
(再々発されるよう https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008827204 )
本作は2023年に行われた2か所でのライブを2枚のCDに収めたもの。

メンツは下記3人で、山下洋輔トリオの後期で共演していた面々
林栄一(Sax)、国仲勝男(B)、小山彰太(Ds)

ディスク1は、林3曲、國仲1曲、Thelonious Monkで全部で5曲
ディスク2は、3者の即興でよさそうです。

Disc1 (仙台 Mondo Bongo May 18 2023)
1. lumo
2. Bemsha Swing
3. Rabbit
4. Circle
5. Sky Mirror
Disc2 (東京 新宿 Pit Inn Oct. 24 2023)
1. Suite 2023
2. Solo to Trio

小山の直感的かつ繊細に音を選んで叩き出すドライブ感あるドラミング、
国仲の中低音を中心にギターのようなフレーズでのソロから低音しっかりのバッキングを格好よくこなすベース、
林のさまざまな技を駆使した音色でまさに林節という表現がぴったりの表現力の強さをみせるフレーズを奏でてゆくサックス。
3者3様にドスの効いた迫力がありながら郷愁をも感じさせるサウンドがえもいわれぬ音を紡ぎ出し響かせる
サックストリオではあるが、米国のサックストリオとはひと味もふた味違う音世界を見せつける。
中央線ジャズってこんなのが面白いのよね〜と、あらためて感じさせる、そんな3者のとっても熱い演奏を 2枚にわたってたっぷり堪能いたしました

ベストはd1の3曲めにします

"トリオ座2023" トリオ座 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CV596L8L/ )

"ライヴ イン 益田" 生活向上委員会

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生活向上委員会というと生活向上委員会大管弦楽団を想起しますが、大雑把に来歴を記すと、
もともと八王子アローンで梅津、原田の両氏が"生活向上委員会"を立ち上げ活動していた。
梅津、原田の両氏が渡米しているあいだに、松風が中心となった「松組」で"生活向上委員会"名義でアルバムを作成。1975年。
 本作
同じタイミングで、梅津、原田がNYでアルバムを作成。1975年
 "ニューヨーク支部" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63896773.html )
この両名が帰国してから立ち上げた新グループが"集団疎開"名義でアルバムをリリース。1977年。
 "Live at 八王子アローン" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a32084777.html )
継続活動していた"生活向上委員会"と"集団疎開"が合体したのが"生活向上委員会大管弦楽団"で、2枚のアルバムを残した。
 "生活向上委員会大管弦楽団"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a8022528.html)
 "This is Music is This!?"(https://www.amazon.co.jp/dp/B000UUOK1A) 1979
 "ダンス・ダンス・ダンス"(https://www.amazon.co.jp/dp/B000UUOK1K/) 1980
ということらしいです。
このアルバムもずいぶん前にCDでリリースされていましたがようやく聴く機会を得られました。

本作は、「生活向上委員会 松組」で作成された唯一のアルバムということで、そのメンツは以下のとおり。
松風鉱一(As)、明田川荘之(P)、山崎弘一(B)、宮坂高史(Ds)

演奏曲はスタンダード2曲とオリジナルで全部で3曲。
1.Impressions
2.I Love You
3.斎(いんば)

中低音のゴツゴツとした音色から、ギラギラとした高音を駆使した激しい打鍵のピアノ
興がノってくると,拳か肘かのぶっ叩きフリーが飛び出してくるところは、実に明田川さんらしい。
ゴリゴリとしたウォーキングで推進力をつけていくベース。
淡々と4ビートを刻んでいるが、その迫力がとんでもない。
シンバル主体で軽快にリズムを刻んでゆくドラム。
こちらも、興がノってくるとバシャバシャとサウンドが派手になってきて、聴いてる側もテンションが上がってくる。
そんなリズムを従えた主役はたぶんサックスで、1曲目では前半はピアノトリオの演奏を充分に聴かせ充分にテンションが上がったところで、サックスが入ってくる貫禄。
ここぞとばかりにテンション高い音色で割り込んでくる。
ただただ遅刻しただけかもしれないがw

ベストは、3曲なので決めないことにします。

"ライヴ イン 益田" 生活向上委員会 (https://www.amazon.co.jp/dp/B07Z75BXQK/ )

"The Third" Plastic Dogs

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小埜涼子さんは、約10年前に"ウンディーネ"というアルバムを教えてもらって、それに妙に惹かれたのが馴れ初め。
その後、全部ではないがなんか気になってということで数枚購入して聴いています。
過去の紹介は下記のとおり。
 "ウンディーネ" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61405695.html )
 "Alternate Flash Heads" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63520026.html )
 "Beyond the Dual 2" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63653609.html )

本作は、その小埜さんの「名古屋発プログレッシヴ・メタル・バンド」と紹介されている Plastic Dogsというユニットの3枚めのアルバム。
過去2作は聴けていないのですが、以下のとおり。
 "GROWL" (https://www.amazon.co.jp/dp/B07YPWSWYJ/ )
 "IVERT" (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CTGCT9M7/ )

Plastic Dogsのメンバーは2ギター+ドラムという構成で以下のとおり。
小埜涼子(Sax)、武藤祐志(G)、林剛史(G)、上ヱ地宏太(Ds)

演奏曲はすべてこのバンドのオリジナルってことで良いと思います。
01. Savant
02. Axian
03. Taft
04. Kenthus
05. Unsolvenst
06. Frexivent Suite 1st Movement
07. Frexivent Suite 2nd Movement
08. Frexivent Suite 3rd Movement
09. Frexivent Suite 4th Movement
10. Prixiance
11. Swany
12. Ouija
13. Ivert (retake)

絶叫系の激しいサウンドのサックスにディストーションかけまくりのギターが重なるヘヴィでおどろおどろしいメタルサウンド
ベースは入らないがドスの効いた低音が怒涛に攻めてくるのは、ギターの1人が低音を担っているってことだと思う。
ドラムもタイトなサウンドをズドドドと容赦なく振りまいて、まぁもの凄いことになっている。
昨年(2023年)の国立音大の学祭で"Jazz Standard"とタイトルされたバンド演奏があって、スタンダードをパンク風に演奏していてぶっとんだが、このバンドなんかまさにこのPlastic Dogsの演奏に触発され、演奏する曲をJAZZのスタンダードに変えて登場したんじゃないかと勘繰るくらい。
6曲めからのFrexivent Suite と題された4曲は、240bpmくらいの超高速な曲で、曲冒頭の口頭でのカウント(ワンツースリーフォーを1秒で言い切る)からとんでもなく凄い(笑)

ベストは5曲めにします。

"The Third" Plastic Dogs (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CSC1TDR2/ )

"涛" 板橋文夫

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板橋文夫の1976年のアルバムで、これが初リーダー作ということになります。
ご本人のhpのディスコグラフィ(https://bowz.main.jp/itabashi/disc/discography.html )では、このアルバムが一番最初に記載されています。
次作が、"Rise and Shine" (https://www.amazon.co.jp/dp/B000CQM0YQ/ )です。

メンツは、ピアノトリオ構成の下記3人。楠本卓司は明田川荘之のアルバムに入っていて聴いていますが、岡田勉は自blogでは引っかかりませんでした。
が、渡辺香津美の"Monday blues" (https://www.amazon.co.jp/dp/B000OXENY2/ )は聴いてますし、1970年代のヒノテルバンドに在籍していた人とのこと。(渡辺香津美さん、心配です..。)
板橋文夫(P)、岡田勉(B)、楠本卓司(Ds)

演奏曲は現在でも人気の有名曲2つが並ぶ。濤は、このアルバム以外では演っていないんじゃないかと思うが..。
1.アリゲーター・ダンス
2.グッド・バイ
3.濤

1曲めの"Alligator Dance"。
大きなうねりを感じさせるサウンドがゴリッとした肌触りで怒涛の如く押し寄せてくる。
2曲めの"Goodbye"。
この曲はそもそもしっとりめな曲調のはずだが、ここでの演奏はしっとりというよりどっしりと言いたいサウンド。
3曲めの"濤"。
これが約20分の大作で、LPではB面のすべてを占める。
初めて聴く曲だったが、前2曲が曲の良さに秀でているだけに、テーマ部が若干判然としないところは弱さになっている気もするが、演奏の迫力は当然ながら負けておらず、続けて聴いて違和感はない。
このアルバムの中では最長で実際のところこの曲が主役になるんだと思う。
いずれの曲もテーマはしっかり演奏され曲の良さを聴かせ、フリーに走ってカオスな迫力になることはなく、演奏の音の圧倒的な迫力で聴かせるという感じ。
いかにも中央線ジャズといったサウンドが迫力たっぷりに堪能できる。
ベクトル的には予想通りだが、執拗以上に暴れまわらないところに逆に凄みが感じられ、期待以上の演奏を楽しませてくれている。

ベストは1曲めにしましょう。

"涛" 板橋文夫 (https://www.amazon.co.jp/dp/B09V29WCFP/ )

"Fairway" Efreydut

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ライブも含めて聴いている頻度がとても高い永武幹子が、大村亘とともにニューヨークに渡り録音してきたアルバム。
この Efreydutというユニットは、永武, 大村の2人らしいが、ここにゲストにKanoa Mendenhallを迎えて、本作はトリオ編成になっている。
Kanoa Mendenhallについて宣伝文には、Joel RossやAaron Parksと共演と書かれているが、自blogを漁ると、2020年のJoel Rossのアルバムだけが引っかかりました。
 "Who Are You?" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/479217815.html )

永武幹子(P)、大村亘(Ds,Tabla)、Kanoa Mendenhall(B)

演奏曲は、大村が5曲(1,2,6,8,10), 永武が3曲(3,4,7), 3人の共作が1曲(5)に、William Waltan(9)で全部で10曲
01.Savichara
02.Accismus
03.Le Petit Prince
04.Glow
05.Whispering Clouds / Nimbus
06.Petrichor
07.Not Sure
08.Melt Dough
09.Touch Her Soft Lips And Part
10.Liquidity

選んでいる曲の曲調にもよると思うが、これまで聴いてきた永武のサウンドに比べて、より端正で美麗なサウンドになっているという印象。
全体に、これまで聴いてきた演奏より幾分ピアノのタッチを抑えめにして、ピアノだけが前面に出ていかないよう配慮しているところもあるか..。
と感じたのは、とくにベースが前面に出てくる場面が印象的で、Kanoa Mendenhallの奏でるフレーズがかなりメロディアスでそれをしっかりフィーチャしたいという意図もあったんでしょう。
もちろん大村の演奏もしっかり聴かせていて、特にTablaでの演奏は良い演奏を聴かせる場面が多い印象。
6曲めとか実に見事
上述のとおり Efreydutは永武大村のデュオユニットらしいが、ここではしっかり3者対等のピアノトリオとしてのサウンドを聴かせている。
共作となっている5曲めは3者のインプロでしょう、幽玄さが目立つような抽象的なサウンド。

ベストは8曲めにします。

"Fairway" Efreydut (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CSJY99KC/ )

藤原大輔,市野元彦,大村恒(20240330)

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藤原大輔のトリオによるアメリカーナを演奏するライブは、おおよそ3か月毎に行われているはずで、これが5回めになるんだと思います。
その5回はたぶん以下のとおりで、自分は初回、3回めをてみています。
 20230121 (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/497217679.html )
 20230422 みれてません
 20230722 (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/500117192.html )
 20231104 みれてません

メンツは、
藤原大輔(Ts)、市野元彦(G)、大村亘(Ds,Tabla)

配置は、左奥にドラムセット、その手前にタブラを置いて大村、さらにその手前に横向きに市野、右奥に藤原が立つ。
前回までとは異なる配置で、会話から今後はこの配置で落ち着きそう

定刻を5分も過ぎたところで開演。
今回のライブは、藤原、市野両氏がエフェクトな装置類を持ち込んでいて、藤原さんが曲の頭に、フレーズを覚えこませる作業をイントロ的に行うという展開が多め
そんな作業中は、大村さんのドラムと市野さんのギターが楽器を鳴らし続けていると..。
全体としては、初期の2回はアメリカーナを演奏するということで曲を演奏することが主体になっているような印象で聴いていたが、今回は曲のテーマはモチーフ化され、本編は3者それぞれの持ち味がかなりしっかりと出たサウンドになってきているような印象
藤原さんの、繊細にコントロールされた多彩な音使いが、まず実に見事。
そして出てくるフレーズもアメリカーナとしてはかなりとんがった箇所もあったりと攻めてる感じがあったか。
そこにさらにエフェクトが乗っかることになる。
曲によってかけ方と音の強弱はあるが、なんだかんだで独特の雰囲気を醸し出してくる。さらにフルートも数曲で起用
大村さんは、今回タブラはたしか2曲でしか使わず、大半がドラムの前に座っていた。
そのドラムも曲に応じてコントロールされたドラミングで、例えば雰囲気が重めの曲では低音多めにして重めの、逆に軽めの曲ではブラシを使うことで軽いサウンドを表現とか。
市野さんも曲に合あっているような合っていないようなフレーズで攻めてきたり、エフェクトを細かく調整しながら音色を作っていく場面を見せたりと、多彩なサウンドを仕掛けてくる。

お客さんは10人程度。1st setがライクーダー多めで70分くらい、2ndはボブディラン多めの曲構成で50分くらい。
白眉は、初回での演っていたJim O'Rourkeのユリイカの再演でした。
さらにアンコールにも応えてくれ、大満足のライブでありました。

"The Edge Of Death" 吉田哲治/永武幹子

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吉田哲治, 永武幹子のデュオは、入谷の「なってるハウス」で、2020年頃からコンスタントに演奏をしていたようです。
そのライブの模様を切り取ったアルバムが2021年にリリースされています。
 "Live at なってるハウス" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/484681577.html )
この前後に近所のお店でライブも見れています。
 "(20211129)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/484606373.html )
この2人のデュオはこの2作めのリリースで解消されるとのことで、これが最終作になりますが手売りだけでの販売をしてたもの。
ようやくが入手できたのでその紹介。
曲のタイトルをみれば予想できると思うが、少し前(2020年以前?)に吉田さんが"くも膜下出血"で倒れたそうで、その臨死体験を曲にしたもののようです。

メンツは、
吉田哲治(Tp)、永武幹子(P)

上述のとおりのコンセプトなので、ものすごいタイトルの曲が並ぶ。
1 死の淵
2 死の淵に立つ
3 三途River
4 復活
5 Second Stage

曲のタイトルを見てもわかる通り、吉田さんが死の淵を垣間見たところをテーマにした作品
出てくる実際のサウンドは、運命を感じ、悲壮感漂い、という感じに進行するが、
さすがにそう強烈に悲観的なものではなく、曲によりそこはかとなく暗さを感じさせるものもあるが、全体としては淡々と受け入れられるようなサウンド。
3曲めは、吉田さんが「サンズリバー♪」と歌うところがちょっと滑稽に感じられたり..。
5曲めはタイトルから、生還して次の演奏活動に進めるというホッとした心情なのか、ちょっとほっこりとするような曲調
ある意味これがあるから救いになっている

永武のピアノは、暗さを見せるために低音を多めに使った演奏が多め。
跳ねるようなフレーズ使いとか永武らしさはしっかり出ており、ソロもしっかりたっぷりして楽しませてくるている。
4曲めの美麗な演奏も実に見事
個人的には、サンズリバーと歌っているバッキングでの演奏が、なんだか気に入っている

ベストは5曲め

"Jet Black" 藤井郷子

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藤井郷子東京トリオの2作めです。
前作は2021年にリリースされています。その紹介は下記。
 "Moon On The Lake" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/482603274.html )
須川は、Banksia Trioの人気でここのところ凄いことになっている。
 "Masks" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/499737558.html )
竹村は、2021にリーダー作を発表している。
 "村雨" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/483352303.html )
この両名は、渡辺貞夫のレギュラーバンドのメンバーでもある(あった)。

そんなリズム陣を擁したトリオということで、注目度は相当高いことになります。
藤井郷子(P)、須川崇志(B)、竹村一哲(Ds)

演奏曲はすべて藤井のオリジナルで全部で6曲。
1.Along the Way
2.Gentle Slope
3.Sky Reflection
4.From Sometime
5.Take a Step
6.Jet Black

1曲めが、テーマ、ドラムソロ、テーマ、ベースソロ、テーマ、ピアノソロという展開で、この曲の展開も凄いが、各人のソロが相当攻めててインパクトがデカい。
以降、たっぷりと時間をとったシンバルの擦過音、ベースのアルコ弾き等々を交えつつ、ベース、ドラムを含め、ひとつの楽器を明確にしっかりと前面に据えた演奏が続くような展開になっている。
ピアノトリオという構成ではあるが、実態としては単独楽器での演奏(=即興)が主体となっているような演奏で、もちろん3者の交歓(交感)という場面も多数存在するが、個人的な印象としては、上述のとおり。
演奏自体はスピリチュアルなものが主体になるので、相応のハードルの高さを感じつつも聴き応えも充分なもんがある。
それが故に、聴取にあたっては多少なりとも心構えは持っていたほうが良いんでしょう。

ベストは6曲めにしましょう。

"Jet Black" 藤井郷子 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CP4D87KD/ )

Temp(20240302)

20240302_a


TempのNo Trunksでのライブはこれまでほぼ皆勤賞ではないかと思うが、その記録は以下のとおり。
 "(20221209)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/494660101.html )
 "(20230408)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/498937590.html )
 "+1(20230728)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/500184654.html )
 "(20231223)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501852955.html )

Tempのメンツは以下の通り
伊地知大輔(B)、魚返明未(P)、加藤一平(G)

舞台は、左端手前に、加藤のギター、その後ろに定位置から引っ張り出されたピアノ。
ピアノの定位置ちょっと手前にベースという配置で毎回同様の配置。
お店に着いたのは開店15分後くらいで、伊地知君が1人で音出しをしているようなところでした。
定刻を少し過ぎたところで、演奏スタート。
今回の選曲は、ほぼ伊地知君のオリジナルであると告知があって、最初の曲がJohn Lewisの名曲"Django"w
1st 2nd 両セットとも4曲ずつの演奏で、いずれも1曲に15分くらいかけて、3人ともたっぷりと時間を取ってのソロを披露するような展開。
魚返君のピアノは、今回はかなり熱い演奏を披露していたように感じられた。
過去ソロライブ(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501494788.html )では、これくらいの熱い演奏を聴かせていたと思うが、このTempでは熱いところは加藤君にまかせ、美麗を前面に出すという役割だと思っていたが、美麗さよりも強いタッチでの熱い演奏が印象的だった。
加藤のギターも、今回はより過激度を増したような感じで、前回のライブでは落ち着いた演奏から徐々にテンションが上がって固有のサウンドになだれ込んでいくような感じだったが、今回はほぼ最初から加藤節炸裂といった場面が多く、アンプの上に置いた装置を頻繁にいじり倒し足元の諸々の装置をいじくり倒し、烈火のごとく音色を瞬時に変化させ変幻自在の音世界を創出していく。
そんなテンション高めのエフェクトなサウンドが、ソロの最後で一気にテンションを戻して次に進む、そのギャップも聴きどころではあるが、今回はその切れ味は若干弱かったか。
今回も他のメンバーのソロのバックで伴奏をしていたが、ちょっとだけボリュームを上げてそこはかとなく聞こえるように演奏していた
伊地知のベースも、そんな過激で熱い演奏に負けじと盤石なペースメーカーを維持しつつかなりテンションの高いソロを聴かせていたが、このバンドは他の2人のインパクトが強すぎるの..。

1stセットが1時間強といった感じ、2ndセットは1時間を10分以上超え、さらにアンコールにも応えてくれ、たっぷりと演奏を楽しませてもらいました。
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