日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

"COAT OF ARMS" David Bryant

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2022年に、のMarty Holoubekと石若駿とのピアノトリオがリリースされていたが、本作はそれに続く同じメンツの2作め。
1作目の紹介は下記。
 "Higher Intelligence" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/493406902.html )
David Bryantというと、過去にMarcus Stricklandのアルバムに入っていたり(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60952619.html )、Jeremy Peltのアルバムに入っていたり(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62476876.html )とNYで活動しているミュージシャンとして認識していた。
が、2022年に西藤ヒロノブのリーダー作にクレジットされてまして
 "Universal Energy" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/492298997.html )
続いてリーダー作が出たところで活動拠点を日本に移したんだろうなと予測したが、本作のリリースで定着している感が強まった。
それだけ日本のジャズシーンがエキサイトになっているということなんでしょう。

メンツは、前作と同じメンツのトリオに、井上銘のギターとermhoiがゲストとして入る。
David Bryant(P)、Marty Holoubek(B)、石若駿(Ds)
井上銘(G:1,3,5,7)、ermhoi(Vo:3,5)

演奏曲は、David Bryantのオリジナルが9曲、Don Blackmanが1曲(4)で、全部で10曲。
1. Coat of Arms
2. Reliquiae
3. Imbue
4. Morning Sunrise
5. Proliferation
6. Concatenation
7. Mesba’s Mind
8. Immaculation
9. Aberration
10. Ultimatio

1曲めはピアノでのテーマの後のギターソロが秀逸で、続くピアノソロも相当だが、それをも凌駕するくらいのテンションのギターソロがなんといっても圧巻。
それくらい1曲めでのギターのインパクトが強いと、ギターの入らない次の曲が貧弱になる懸念をしたが、こちらはアコピに加えてエレピがオーバーダビングされることで1曲めに負けない音の厚みを加味。
以降、3曲めはボーカルが入り、シンプルなピアノトリオで演奏される4曲めはベースがフィーチャーされる。
と、曲毎に聴きどころを変幻自在にしながら聴き応えのある演奏が立て続けに出てくるのが見事。
前述のとおり曲毎にいろいろ変化を入れているが、David Bryantのピアノがそれをしっかり受け止めながら、侮れないようなピアノソロを繰り出してくる。
そんな変幻自在に表情の多彩さを楽しませてくれるのも楽しいところだが、なんだかんだで井上のギターがとにかく良い味を出しているのが個人的には印象的。
石若のドラムはいつも通りに快調

ベストは1曲めになるんでしょう

"COAT OF ARMS" David Bryant (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CNWT1W5M/ )

"渡良瀬〜ECHO〜" 板橋文夫

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板橋文夫の名曲「渡良瀬」のさまざまなテイクを集めてきたもので、たぶん初出が5テイク、既出が森山威男の入った2テイク(1,5)であっていると思う。
 "おぼろ月夜" (https://www.amazon.co.jp/dp/B01DM0S312/ )
 "Straight Edge" https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63037722.html )

初出と思われる5テイクは、2曲めが珍しい梅津和時の入ったテイク、3,4曲めが瀬尾竹村とのFITだが4曲めはメロディカを演奏しているテイク、6曲めがブラジルでのソロピアノ、7曲めが1981年のデモという内訳。
1. Umi〜Watarase
2. Watarase
3. Watarase
4. Watarase for Melodica
5. Watarase
6. Watarase
7. Watarase

前述のとおり既出の演奏は限られたもので、初出が多いのが最大の聴きどころ。
同じ曲で、大きくうねるような演奏が大半という基本部分は、当然ながら変わらないなか、表現のしかたでこれだけ表情が変わることにも驚く
曲のタイトルからも盛り上げるとなるとそうなるのは自明であるが板橋のピアノのグリッサンドがいずれの曲でも多かれ少なかれこれでもかと登場する。
多分、白眉は梅津さんと演っている 2曲めになると思うが、Fit! Trioでの演奏も相当素晴らしい。
とくに3曲め後半のドラムソロが圧巻
最後がデモとなっているソロピアノでの演奏で、この曲が初登場したのは森山威男の"Smile" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61856239.html )だが、それに前後して録音されたソロということになる!
このアルバムの前に同様のコンセプトの作品が実は出ているのですが、
 "板橋文夫アンソロジー" (https://www.amazon.co.jp/dp/B0BN1VCTRH/ )のDisk2
そちらは未紹介なれど聴いたことがありまして、大作と言いたくなるような大仰に演奏されたものが多く収録されており、聴き応えというか聴いた後の満腹感はあちら、ジャズらしい勢いのある演奏としてはこちらの方が聴き応えがあるような感じ。

ベストは、7曲めにしましょう

"渡良瀬〜ECHO〜" 板橋文夫 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CKBNWGXP )

永武幹子ソロ 独壇場 (20240212)

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前回が昨年11月で、そのときはJaki Byard特集でした。
 "20231127" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501585819.html )
今回のライブの直前の2/3に山口真文とのデュオという気になる組み合わせがあったのだが、残念ながらこちらは都合がつかなかったためこの日のソロに赴いた次第。
18:40頃にお店に赴いたら、今回は2人めでしたが、さすがに他のお客さんの出足は遅いです。

ピアノの位置はいつも同様左側に引っ張り出してあって上蓋も少し開けてある。
定刻を5分も過ぎたところで、MCもなく演奏開始。
1曲が終わったところで、ちょろっとMCがあり、そこで今回は用意してきた曲を眺めたらピアニストのオリジナルだらけなので、そんな特集になるとのこと。

演奏は、全体におおらかさを感じさせるような演奏という印象。
タッチとしてはこれまで聴いてきた演奏に比してそう強く弾き倒すような感じではなく、その分ハネるような弾き方で躍動感を出しているような感じ。
音数も少ないわけではないが、これまでのこれでもかと猛烈に弾きまくるような場面はほぼなく..ガツんというインパクトの少なさが猛烈に弾きまくってないというイメージに繋がってたのかもしれないが..。
さらに、フリーな展開になるような場面もほぼ皆無で、そういう意味でも前のめりに一挙手一投足に目(耳)を凝らすというよりは、ゆったりと心地良く聴き惚れるような感じの演奏

お客さんが15人弱、アンコールも含めて約1時間の演奏をたっぷりと楽しませてもらいました。

最後に、セットリストを公開されていたので転記させていただきます。
Heartsong / Fred Hersch
Peace / H.Silver
Hallucinations / B.Powell
Family Suite -Gaeta, Garr, John Arthur / Jaki Byard
Little Niles / R.Weston
Melancholia / D.Ellington
European Episode / Jaki Byard
enc.) Let's Cool One / T.Monk

"STEPS OF THE BLUE" 松井秀太郎

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松井秀太郎は、国立音大ジャズ専攻を首席で卒業し、在学中から小曽根真にその才能を高く買われた逸材。
新譜会で、S氏がディスクを持ち込んでいまして、ジャケを見て2023年の国立音大の芸術祭でジャズ専攻のオーケストラ Gemstones Jazz Orchestra の演奏に客演していたのを思い出したのは、ストレートの髪の毛を長く伸ばした容姿が特徴的だったから。
そのときは、よく響くトランペットが印象的でありました。
本作は、その松井秀太郎の初リーダー作で、これは聴かせてもらってます。

メンツは30前後の若い面々が中心で、ここに中川英二郎、小曽根真がゲストとして入ってます。
ちなみに、松井秀太郎は1999年生とのこと。
松井秀太郎(Tp)、中林俊也(Sax)、兼松衆(P)、小川晋平(B)、小田桐和寛(Ds)
中川英二郎(Tb)、小曽根真(P:4,6)

演奏曲はすべて松井のオリジナルで全部で8曲。
1.HYPNOSIS
2.COLOR PALETTE
3.ON WIND TO YOU
4.STEPS OF THE BLUE
5.MASQUERADE
6.NEAPOLITAN DANCE
7.LEGEND
8.TRUST ME

まずはなんといっても、松井秀太郎のトランペットのさえざえしい響きが印象的。
盤石のテクニックに裏打ちされた、正確無比に鳴り響く。
演奏全体としても、同様に隙のないかっちりきっちりとした演奏で、往時のジャズの形式美をしっかりと踏襲した演奏スタイルということで良いと思う。
冒頭曲の高速4ビート、3曲めの美旋律、8曲めのバラード等々、テーマの盤石なアンサンブルアレンジに裏打ちされた典型的ハードバップの様相を呈した曲と、6曲めではトランペット協奏曲のようなクラシックテイストの曲が入ってくる。
個人的嗜好としては、いかにも優等生的な演奏といった風情がちょっと堅苦しく感じる気がしているというのが正直なところ。
それだけ自分が普段聴いているのがドロ臭いジャズであるということなんですが。。

ベストは1曲めなんでしょう。

"STEPS OF THE BLUE" 松井秀太郎 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0C6FQYJRC/ )

"BON" Akira Ishiguro

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NY在住で、そちらで活動を続けているギタリストである石黒晃のたぶん2枚めのリーダーアルバム。
ただし、1枚めとなる下記は、2014年のものでしかもたぶん自主制作。
 "Beautiful Round" (https://www.amazon.co.jp/dp/B00I2UOBD2/ )
なので、本作が実質的には初リーダー作になるんでしょう。
それ故にメンツが豪華であると..。

そんなわけで、石黒の演奏はこれまで聴いたことはなく、またどこかで名前を聞いた記憶もありません。
購入動機は前述の通り豪華なメンツで、黒田卓也, Chris Potter, 加藤真亜沙なんて名前を見つけて気になってたということ。
Akira Ishiguro(G)、Jim Robertson(B)、John Hadfield(Ds)
Takuya Kuroda(Tp:1,3,4,6,9)、Sergej Avanesov(Ts:2,3,6,7,10)、Chris Potter(Ts:8)、Samuel Blais(As:7)
Martha Kato(P,Key)、Henry Hey(Keys:3,6)、Brian Donohoe(Syn:4)、Peter Schwebs(B:8)、Devin Collins(Ds:2,4,5)、Rodrigo Recabarren(Ds:8)、Keita Ogawa(Per:1,2,6,7,9)

演奏曲は下記10曲、すべて石黒のオリジナル。
01. Brazil
02. Brain
03. Monster
04. 1212
05. Lionel
06. Bon
07. Enchant
08. Align
09. Musashimaru
10. Round Patience

1曲めが拍がどうなってるかよくわからないような曲で、コード進行はタイトルの通りブラジルな気配を醸す。
この複雑なリズムをしなやかに快感に変えていくドラムが実に見事で、まずはそこに耳が行く。
3曲めは拍は認識できるがそこをちょっと複雑なパターンで叩くドラムで、これはこれでこちらもまた格好良い。
全体としては、ビートのはっきりした曲と、前述の複雑なリズムの曲とが混在したコンテンポラリ系。というかフュージョンに近いような作風の曲が並ぶ。
3曲めとか4曲めとかで印象的なのが黒田のトランペットで、とくにソロでのさえざえしい響きが実に見事で格好良い。
さらに、8曲めだけで客演しているChris Potterのソロが勢いのある素晴らしいソロを聴かせてくれていて満足度は高い。
が、その前の曲でのSamuel Blaisのアルトでのソロも気張った演奏をしていて好感触。
曲の後半ではSergejAvanesovのテナーとのバトル然とした掛け合いで締め括る。
管楽器のソロの後には、がっつりとしたギターソロになだれ込むパターンが多い。
その石黒のギターは、ちょっと歪感のある音色でロックなテイストを感じさせつつ、しっかり伸びやかに弾ききっていて非常にここち良い。
フレーズの端々にKurt Rosenwinkelの影響が垣間見れて、個人的嗜好ではあるがちょっとニヤつかせる。
これも聴けば聴くほどのスルメ盤でありました。

ベストは6曲めにしましょう

"BON" Akira Ishiguro (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CMBHKDG6/ )

渋谷毅, 早川岳晴 デュオ (20240112)

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渋谷毅、早川岳晴のデュオはこれで3回めで過去の記録は以下のとおり。
 (20230311) (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/498536044.html )
 (20230908) (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/500678308.html )
前回(9月)は、事故直後ということでエレクトリックを弾いてらっしゃいましたが、今回はアコースティックに戻っています。
終演後、お加減をお聞きしたら「まだちょっと痛いけど、おおむね大丈夫」なんておっしゃってました(お大事にしてください)

18時15分頃にお店に着いたら、カウンターで早川さんは静かに譜面を眺めていました。
ピアノもベースもしっかりセッティング済みでしたが、渋谷さんは18時30分頃いらっしゃいました。

セッティングはこれまでと変わらず、ピアノを左手前に移動し、ベースは正面に立つような感じ。
定刻を10分も過ぎたところで演奏開始。
事前(直前と幕間)にいくつかの曲は準備していたようだが、それでもほとんど前打ち合わせはない模様
前の曲が終わったところで渋谷さんが少し考えて、早川さんにこんな曲と伝えて徐に演奏が始まるような進行
1st setで演奏したのは、即興のあと、Body & Soul, Stella by Starlight.. とスタンダードを立て続けに演奏。
テンポは若干早めに、跳ねるような感じのピアノでの演奏が楽しい。
Stella by Starlightと次の曲でベースソロが披露されたが、個人的にStella by Starlightでのソロが格好良くて、これが個人的にはかなり萌えた。
2nd setは、冒頭がピアノソロで立て続けに3曲。多分渋谷さんのオリジナル曲(曲名不明)を立て続けに演奏。
その後早川さんを呼んで通常の演奏へ。
こちらは、Calra Bley関連の曲が多めで、そこに即興と普段演奏しない曲を混ぜるような構成。
たしか、Jerome Kernの曲を「美しい曲は難しい」と語って..、これは初だったよう。
と、テンポ速めにノリよく演奏してたり普段演らない曲を演ったりと、渋谷さんの気分は相当良かったんじゃないかと推察する。
が、1st setは40分弱とちょっと短めに終了。2nd setは50分くらいに、長い拍手の後ではあったがアンコールにも応えてくれ、Calra Bleyの名曲Ida Lupinoを披露。
これも、ほとんど演奏していない曲とのことでした。

お客さんも15人くらいと最近では多め。濃密な時間をたっぷりと過ごすことができました。

"Moonlit" 加藤真亜沙

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加藤真亜沙の3枚めのリーダー作。
過去作は以下のとおり。
 ”Tales from The Trees” (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63894287.html )
 "Soluna" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/494913298.html )
これまでは、米国の面々を多数起用した、(おそらく)現地で制作したアルバムだったが、本作は六本木Alfieでのライブを収録したもので、Live at Alfieレーベルからのリリース。
Live at Alfieレーベルは、大林武司さんの"Foresight" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501265293.html )もそうでした。
ここのところ精力的にアルバムリリースしているんでしょう。

本作のメンツは以下のとおり、中林さんは、リーダー作を聴いてます。
 "Graffiti" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a55302703.html )
小田桐さんは、自blogを漁ると参加作が2つでてきました。
加藤真亜沙(P,Vo)、中林薫平(B)、小田桐和寛(Ds)
Guest: KAN(Per)

演奏曲は、"Tales from The Trees"から3曲(武満曲含む)、"Soluna"から3曲と、たぶん新曲が1曲(2)で全部で7曲。
1. Departure
2. Uragami
3. Ishonsho Abe
4. Sol
5. Kinmok-Sailor
6. After the Rain
7. Small Sky 小さな空(武満徹)

クレジット上、加藤にボーカルがつくが、これは大半の曲では歌詞はなくボイスで、ちょうどピアノトリオの4つめの楽器のような役割を担う。
具体的には、ピアノトリオをバックにテーマを歌ったり、ピアノがテーマ的な演奏のときに、それに対抗するフレーズを歌うような感じ。
第4の楽器ではあるがソロは一切取ってはいない。
加藤のピアノはやさしく添えるような左手にきらびやかな右手、紡ぎ出されるフレーズは、最近のピアニストらしい技を効かせた華のある表情を見せ、そこにエレガントな雰囲気を合わせ持ったような印象。
テーマではボイスを被せて表現の幅を拡げるというスタイルで、個性のある表現方法としているのは理解できるし、新しいピアノトリオのあり方の一つという気もする。
聴衆も高反応だが、個人的にはいまいちピンと来ていない気が..。
最後の曲はたぶんアンコールだったと思う(拍手は入ってないので推測)が、曲の後半でここだけはしっかり歌っている。

ベストは3曲めにしましょう

"Moonlit" 加藤真亜沙 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CK7RYZKS/ )

"Scenes" WYP TRIO

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南さんの新作は、映画のエンディング曲を収録したもの。
その映画は、「白鍵と黒鍵の間に 」(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a53793479.html )で、2008年に出版された南さんの著作。
映画は、ここに書かれている話(バブル期のたぶんほぼ実話)を元にして、コミカルに仕上げられていました。
ちなみに書籍もこのあと続編が4冊くらいでていたはずでず。最後の「パリス」(https://www.amazon.co.jp/dp/4905447941/ )はたぶん多大にフィクションが入っていると思います。

本作のメンツは以下のとおり、服部さん参加作は久しぶり、座小田さんは紺野智之さんのアルバム(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/482603240.html )に入ってました。
南博(P)、座小田諒一(B)、服部正嗣(Ds)

演奏曲は、Nino Rota, 富樫雅彦, 名曲, Ornette Coleman, オリジナルという構成。
1.Gelsomina
2.Valencia
3.My Way
4.Turnaround
5.Bird in Berlin
6.Nonchalant(映画「白鍵と黒鍵の間に」エンディング曲)

何度か立て続けにつらつらと聴いてたんですが、総じて服部君のドラムの自由度がかなり高いので、良い意味で捉えどころが掴みにくい場面があるのが、良い雰囲気に繋がっているような印象。
テーマは大半の曲で南さんのピアノが担うが、3曲めのマイウェイではベースの座小田氏がテーマの冒頭ワンフレーズを担っている。
その座小田氏のベースは、他の曲ではバッキングに徹している曲が多めで曲調に乗っかっていながら派手にならない良い塩梅で低音を響かせている
南さんのピアノは、音数を絞って凝縮させた美旋律のストイックな響きと、固有の溜めの利かせ方、さらに要所で繰り出す南節と言いたい個性的なリフと南ワールドをたっぷりと堪能できる。
最後が、映画のエンディング曲であるが、このお世辞にもうまいと言えない口笛が、映画の中では良い具合にはまっていたが、これだけ聴くとなんじゃこりゃな感じなんだろうなとは思う。
個人的には、映画を見ているので、あのエンディングを思い出しながら聴いているが..。

ベストは5曲め

"Scenes" WYP TRIO (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CLN9WPKY/ )

"Old Folks" 渋谷毅 / 武田和命

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渋谷毅と武田和命が共演した記録で、1985年12月に西荻窪のアケタの店で行われたライブの音源とのことで、正式録音ではないようです。
後述のとおり演奏の途中で話し声が入ってたりするのですが、記録が残っていたことが凄いことだと思います。
武田の演奏は、過去に渋谷毅オーケストラを除くと下記2作を紹介していますが、この頃の日本人ジャズ自体を広く聴きこんでいるわけではないので、そう熱心な聴き手とは言い難いところではあります。
 "Gentle November" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501036990.html )
 "イン・ヨーロッパ-1983-" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63142544.html )

メンツは、先の両名に川端民生, 藤井信雄を加えたカルテット。
武田和命(Ts)、渋谷毅(P)、川端民生(B)、藤井信雄(Ds)

演奏曲は、スタンダードと言える下記4曲。
01 Now's The Time
02 Old Folks
03 Let's Cool One
04 Round Midnight

1曲めはCharlie Parkerの有名曲。
藤井がシンバルをバシャバシャ鳴らしまくり、武田が粗野な雰囲気を醸したサックスを吹き鳴らす。
ゴリッとした音で淡々とウォーキングをかき鳴らす川端のベース。
そんな勢いに負けないようくらいついてくる渋谷のピアノ。いつになく激しいピアノを弾いている。
2曲めはバラードでテンポこそゆったりとしたものになるが、武田のハードな演奏はテンションそのままで強い音を聴かせている。
曲調としては曲ごとに緩急が交互に現れるが、演奏のテンションは高いところでほとんどブレのない演奏を聴かせていて、凄いことになっている。
途中、横からの話し声が入っていたり正式な録音ではなさそうだが、これが貴重な音源であることは間違いない。

ベストは1曲めになるんでしょう

"Old Folks" 渋谷毅 / 武田和命 (https://www.amazon.co.jp/dp/B000N4RBUK/ )

"波紋" 菊地雅晃

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菊地プーさんの甥にあたる菊地雅晃のアルバム。
wikiには、菊地成孔のQuintet Live Dubに参加していたとありますが、このユニットではアルバムは出てないので、自blogで菊地雅晃を検索してもなにも引っかかりませんでした。
Dub Sextetでは3枚もアルバム出ているんですが..。
菊地雅章Slash Trioにも参加してたようですが、こちらも残念ながら聴いてないです。
正式リリースは11/8ですが、たぶん先行で出た分が中古に出たのを安く入手出来ています。

メンツですが、個人的には坪口の参加が気になったところではあります。
他の面々も自blogを漁ってもなにも出てきませんでした..。
菊地雅晃(G)、松村拓海(Fl)、坪口昌恭(Key,Syn)、堀田秀顕(B:1,2,4,5)、金子充伯(Ds)

演奏曲は以下のとおり。5曲めを除いて菊地のオリジナル。
1.軽く溺れる
2.Rainbow bridge
3.Night view of ...
4.ロータリーファズ
5.時間よ止まれ

1曲めが菊地雅章の"ススト"に入っているCircle/Lineを彷彿とさせる反復リズム
2曲めがアーバンでメローな甘いサウンド
3曲めが8ビートのうねうねしたリズムがだらだらと延々と続くようないかにも往時のフュージョンと言ったサウンド
4曲めも似た傾向て、さらにそこにバイクの排気音をフィーチャーしている
最後は、元曲よりゆったりなテンポで、エフェクトをかけた声で歌われる時間よ止まれ
演奏としては、ちょっと古さを感じさせるエフェクターをかけ、カッティングを主体とした演奏が目立つ菊地のギターに、坪口も、こちらも最近の音つくりじゃないよなと思わせるしかもさまざまなシンセサウンドを聴かせており、これまた楽しい。
さらに4曲めの終わりでは、ボコーダーでなんだかおもしろがってしゃべっている。
宣伝文に「サイケデリックAORシティポップフュージョンジャズロッククロスオーバープログレアシッドダブ」なんて語が書かれているが、まさにこの言葉通りだと思う。
逆に、この言葉を読んでもこの音は想起できないとも思うが..
最後12分くらいでいったん曲は終わるが、1分も経過したところからリフレインが始まり、Stop The Warを繰り返しながらそっと終演。

ベストは1曲めにします。

"波紋" 菊地雅晃 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CLQ85KFL/ )
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