日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

"波紋" 菊地雅晃

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菊地プーさんの甥にあたる菊地雅晃のアルバム。
wikiには、菊地成孔のQuintet Live Dubに参加していたとありますが、このユニットではアルバムは出てないので、自blogで菊地雅晃を検索してもなにも引っかかりませんでした。
Dub Sextetでは3枚もアルバム出ているんですが..。
菊地雅章Slash Trioにも参加してたようですが、こちらも残念ながら聴いてないです。
正式リリースは11/8ですが、たぶん先行で出た分が中古に出たのを安く入手出来ています。

メンツですが、個人的には坪口の参加が気になったところではあります。
他の面々も自blogを漁ってもなにも出てきませんでした..。
菊地雅晃(G)、松村拓海(Fl)、坪口昌恭(Key,Syn)、堀田秀顕(B:1,2,4,5)、金子充伯(Ds)

演奏曲は以下のとおり。5曲めを除いて菊地のオリジナル。
1.軽く溺れる
2.Rainbow bridge
3.Night view of ...
4.ロータリーファズ
5.時間よ止まれ

1曲めが菊地雅章の"ススト"に入っているCircle/Lineを彷彿とさせる反復リズム
2曲めがアーバンでメローな甘いサウンド
3曲めが8ビートのうねうねしたリズムがだらだらと延々と続くようないかにも往時のフュージョンと言ったサウンド
4曲めも似た傾向て、さらにそこにバイクの排気音をフィーチャーしている
最後は、元曲よりゆったりなテンポで、エフェクトをかけた声で歌われる時間よ止まれ
演奏としては、ちょっと古さを感じさせるエフェクターをかけ、カッティングを主体とした演奏が目立つ菊地のギターに、坪口も、こちらも最近の音つくりじゃないよなと思わせるしかもさまざまなシンセサウンドを聴かせており、これまた楽しい。
さらに4曲めの終わりでは、ボコーダーでなんだかおもしろがってしゃべっている。
宣伝文に「サイケデリックAORシティポップフュージョンジャズロッククロスオーバープログレアシッドダブ」なんて語が書かれているが、まさにこの言葉通りだと思う。
逆に、この言葉を読んでもこの音は想起できないとも思うが..
最後12分くらいでいったん曲は終わるが、1分も経過したところからリフレインが始まり、Stop The Warを繰り返しながらそっと終演。

ベストは1曲めにします。

"波紋" 菊地雅晃 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CLQ85KFL/ )

Temp(20231223)

20231223ss

Tempのメンツは以下の通り
伊地知大輔(B)、魚返明未(P)、加藤一平(G)

昨年リリースされたCDは、2022年のベスト3に選ばせてもらいました。
 "Temptation" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/490644583.html )
昨年12月と本年4月7月にライブがありまして、7月はゲストが入った構成で、いずれもしっかり堪能しています。
 "(20221209)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/494660101.html )
 "(20230408)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/498937590.html )
 "+1(20230728)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/500184654.html )

舞台は、左端手前に、加藤のギター、その後ろに定位置から引っ張り出されたピアノ。
ピアノの定位置ちょっと手前にベースという配置で前々回と同様の配置。

定刻を10分程度過ぎたくらいにMCからスタート。
最初の曲が、You Must Believe In Springで、その後は"Temptation" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/490644583.html )からの曲、伊地知のオリジナルが多めという構成。
Tempのおもしろさは、ピアノとベースの美麗なサウンドに過激なギターサウンドが絡むことによる化学反応にあると思うのだが、今回は3者のテンションが一段上がってきたような印象で変幻自在ぶりにも磨きがかかってきたと感じられた。
過去数回のライブでも"Temptation"からの曲を多く演奏しているが、聴くたびに演奏が変化してきているのはわかるが、今回はもの凄さが俄然増してきている感じ。
とくに、加藤のギターソロが、前半音色を変えずにガッツリとした即興を聴かせ、この即興の鬼気迫る凄さもさることながら、後半になるにしたがって徐々に音色に変化をつけてくるような展開が多く、これが見事に格好良い。
そんな加藤のソロが唐突に終わると、そこからピアノでの美麗なテーマの一気に切り替わる展開が、これまた格好良くももの凄い。
バッキングでも延々ギターを弾き続けていたが、これまではボリュームを絞り切ってる場面が多かったが、今回は少しボリュームをあげていた。
加藤の天才性、奇才性、センスの見事さをあらためて認識し、魚返の美しさと過激さを併せ持ちながら急な展開に持ち込んでいく変幻自在なピアノに感嘆し、それをすべてしっかりまとめ上げる伊地知のベースの包容力というtempの凄さをあらためて見せつけられた。
これは聴かないとわからないんだろうなと思う。

1stセットが1時間くらい、2ndセットは本編だけで1時間近く、さらにアンコールに応えてくれてと、たっぷりの演奏を楽しませてもらいました。

次回は3月の予定だそうです。

"SYMBIOSIS" 竹内直, 市川秀男

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竹内直は、自blogを漁るとスガダイローのアルバムに参加しているものがいくつか出てくる。
ライブは2011年に2回見ています。
 "20110304" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60335620.html )
 "20111113" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60945896.html )
しっかり名前を憶えているミュージシャンではありますが、思った以上に聴いていないなというのが正直な感想。
もう少しいろいろ聴いていると思ったのですが..。
市川秀男は、自blogでも全然ひっかからないし、リーダー作一覧を眺めてもほとんど見覚えがなく、見たことあるのは"明日への旅立ち" (https://www.amazon.co.jp/dp/B08PDK47G1/ )くらいか。(聴いたことはない)
そんな自分とは縁の少ない両名のデュオ作ですが、お店で聴いて良いなぁと思ったんでお借りしてきて聴かせてもらいました。

ということでメンツは
竹内直(Ts)、市川秀男(P)

演奏曲は、市川3曲、竹内が1曲ののオリジナル。Fred Hersch, John Coltrane, Michel Petruccianiにスタンダードで全部で9曲。
1.Symbiosis
2.Canzona
3.A Ripple
4.I'm glad there is you
5.7.08
6.Dear Lord
7.Perhelion
8.I wrote you a song
9.My one and only love / Guy B.Wood

市川の装飾感のあるエレガントとか煌びやかとかそんなイメージが湧いてくるような華麗なピアノ。
それに対する竹内のサブトーンもちょっと繰り出しつつ、色気を感じるくらい雰囲気をたっぷりと込めたサックス。
この両者が絡むことで、甘さはあれど粘度低めな独特のサウンドが醸し出され、須玉の美曲、美演奏を雰囲気たっぷりと楽しませてくれる。
後半は少しノリの良い演奏になりフリーフレーバーが入ってくるのは、ライブ収録に変わるからか。
7曲めがスピリチュアル系のバラード、8曲めがこのアルバムの中ではアップテンポの曲、9曲めのスタンダードとこのあたりが実に心地良い。
竹内の演奏もこっちのほうが快調な感じもするし、個人的にもこの後半の演奏のほうが好き。

ベストは8曲め

"SYMBIOSIS" 竹内直, 市川秀男 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CB146LCD/ )

森田修史トリオ+1(20231209)

20231209s

2日続けてのライブ参戦です。
それだけ見逃せないライブが続いたということです。
そんな2日めは、若手注目のドラマー 中村海斗 が初登場ということです。
今年、リーダー作が出てまして、下記で紹介しています。
 "BLAQUE DAWN" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/499021152.html )

今回のメンツは、森田トリオ+1となってまして、森田,落合,中村がそのメンツ。
そこにピアノの大口さんが入ってのカルテット構成。大口さんは今回初めて聞きます。
森田修史(Ts)、落合康介(B)、中村海斗(Ds)、大口純一郎(P)
ステージは、左奥にドラム、その手前にベース。
ピアノは前日と同じで、定位置から80°くらい回転させ、大口さんは背中を向ける体制。
扉の前に森田さんが立ってサックスを吹きます。

定刻を5分も過ぎたところから演奏開始。
冒頭、何も考えずに演奏できる曲なんてMCが後からあったが、John ColtraneのImpressionsから。
2曲め以降は、森田さんの曲を中心とした選曲
さすがに、演奏開始当初は、フロントでリーダーの森田のサックスの凄さに耳が持ってかれるが、曲が進み多少なりとも全体が見渡せるようになってくると、
4者のテンションの高さと良い意味での出しゃばり具合いも似たような塩梅で、
とくに誰かが突出することなく見事にバランスがとれており、この人選の凄さに感動を覚えるくらい。
森田さんは、いつもの野太いサウンドでゴリゴリなサウンドを吹き鳴らし。
大口さんのピアノは、ファンキーだなぁと感じられる演奏で格好良い。
落合のベースも、強いタッチでしっかり暴れ回っていてこちらも見事。
それにつけても中村海斗のドラム。
しなやかだけど迫力のある、音数は多めだが全然五月蠅さを感じさせない。
そんなドラムの凄さに感嘆しきり。
冒頭、クラッシュシンバルの場所が決まらず?、かなり低い位置にセットされちょっと無理をするような感じだったが、2ndセットではしっかり安定下セッティングになってました。

今回、中村さんの演奏の凄さが際立っていて、たぶんどっかから森田さんが選ぶ曲が中村フィーチャーな曲にシフトしていってたと思われ、後半はアグレッシブな曲が増え、曲の後半で中村ソロがガツンと入ってくる。
いずれの曲も、ドラムの凄さに聴いてる側はやられっぱなし
最後、アンコールもしっかりたっぷり中村のドラムを楽しませてくれる曲を選んでくれたのは、非常に 痺れた。
森田さん曰く、「中村のドラムに遊んでもらうバンド」なんて言っていたが、
攻めれば倍返しで攻められるようなヒリヒリした展開、とても遊んじゃいられない事態になっている。
1stセットが45分くらい、2ndセットも同時くらいの時間に、ガッツリのアンコールに応えてくれました。

今回も、1人居残っていろいろ雑談させてもらってました。
このバンドで今夏に録音をしているそうで、2024年にはアルバムが出るかもしれません。

ライブって、聴衆1人の享受する演奏のパワーがその時のお客さんに均等に割り振られ、お客さんが少ないほど濃くなっていくと思ってまして、今回はちょっと少なめの聴衆でありながら演奏のパワーもとんでもなく、それをたっぷりと享受堪能できたのは無上の喜びでありました。あぁお腹いっぱい。

謝明諺4(20231208)

20231208m

先日紹介した台湾のサックス奏者である、謝明諺(シェ・ミンイェン)がいつものお店でライブを行うということで期待感いっぱいに赴きました。
紹介したアルバムは下記
 "Our Waning Love" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/500418126.html )

金曜ということで、仕事帰りの開演30分くらい前にお店に着いて7人めくらいだったか。
今回のメンツは以下のとおり。
謝明諺(Ts,Ss)、栗林すみれ(P)、市野元彦(G)、飯田雅春(B)
市野さんはすべての人と共演歴があるそうだが、ほかは初顔合わせの人もいるとのことでした。
ステージは、左奥にベース、その前がギター。
ピアノは定位置から100°くらい回転させて、栗林さんは聴衆に背を向けるような配置。
そして、ステージ中央に謝さんが立つような配置。

定刻を5分も過ぎたところで開演。
演奏した曲は、すべてメンバーのオリジナルで、自分の曲が演奏される前の曲紹介は自分でするというパターン。
選曲は、おそらくドラムレスで映える曲を採用していると思われる。
というか、最後の最後、アンコールで栗林さんの不採用曲という表明とともに演奏した曲でさえ、上述の縛りの範囲内に充分含まれる曲調だったので、相当厳選した選曲だったんだと予想できる。
曲の構成は、イントロを市野さんか栗林さんが奏で、テーマになると謝さんが演奏を始めるパターンが多かったか。
そしてそれを追って、ピアノかギターが音を重ね、合いの手を入れていく。
印象的だったのが、4人が4人とも音色がとてもきれいで、それぞれがとても丁寧に音を重ねていっているなということ。
ドラムレスなので、たっぷりと空いた空間を優しい音で埋めていくような音作り
すべてミディアムスローくらいのテンポでゆったりとした雰囲気に包まれ、それがとても心地良い。
そして、演奏が破綻しないよう、滞らないよう、市野さんのギターが細心の注意を払ってフォローしていくようなフレーズを挟んでいく。そんな旨さ巧さ上手さをみせる。
そういえば最近市野さんのリーダー作が出てないなと終演後に聞いたら、もしかしたら来年出せるかもしれないとのこと。
期待を持って待ちたい
1st set が1時間くらい。2ndセットが45分くらいにアンコールに応えてくれ

終演後もだらだらと余韻を楽しんでいたら、最後に皆さんで写真も撮っていただいて嬉々として家路につきました。

"Locura de Amor" 天辰直彦, 永武幹子

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永武幹子がデュオでのアルバムを出すのはこれが3枚め。
 加納奈実との"Jabuticaba"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/481276617.html )、
 吉田哲治との"Live at なってるハウス"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/484681577.html )
サックス、トランペットときて、今作はフルートとのデュオなので、なんともバランスが良い。
天辰直彦のフルートは過去に1回だけ聴いていて、しかも永武のソロでのライブにアンコールで客演したもの。
 20200810 (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/476779456.html )
たぶん、この両名のデュオはこの頃から始まっていて、約3年経ったところでアルバムが作られたんだと思います。
ただし、まだ一般発売はされておらず本人達からの購入に限られると思います。

ということでメンツは
天辰直彦(Fl)、永武幹子(P)

天辰4曲、永武1曲のオリジナルに、Vincent Youmans, Wayne Shorter, John Coltraneで全部で8曲。
1. Aguaceroad
2. Locura de Amor
3. Blue Island
4. Two Kingfishers
5. Tea for Two
6. Speak No Evil
7. I Hoped to be with You
8. Lazy Bird

冒頭のタンゴ調、ラテン調から、ジャズでお馴染みの曲を多めに、曲調としては美麗系の曲、可愛らしさのあるものを選んでいる印象
たぶんだが、永武との共演を意識した上での選曲なんだろうなと感じさせる。
もっともここでも聴かれる永武のピアノは、3,4曲めのような美麗曲でも、しっかりとした意志を感じさせるような、(いつも通りに)ハードな気配の演奏を主体とした永武らしい演奏を楽しませてくれる。
とくに 2曲めの、Michel Camiloばりのフレーズの早弾きはかなりおっと思わせるものがある。
天辰のフルートは、前述の通り(1回1曲だけだが)過去に生で聴いている。
さすがに男性らしく優しい音色でありながら底力感のある音が清々しい。
ライブ告知とかをみていると、長らく共演を続けているようなので、両者のコンビネーションも良い塩梅で、ピアノフルートのデュオとしてバランスの取れた演奏をたっぷりと楽しませてもらいました。

ベストは5曲めにしましょう

"Locura de Amor" 天辰直彦, 永武幹子

永武幹子ソロ 独壇場 (20231127)

20231127n

2週間前に魚返君のピアノソロを聴いていますが、今回もピアノソロです。
 "魚返明未 ソロ(20231118)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501494788.html )
永武幹子ソロは前回は本年5月に聴いています。
 "20230522" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/499445927.html )
今回は、Jaki Byardの曲だけを演奏するという事前告知があったので気合を入れて、18:40頃にお店に赴いたら一番のり。
さすがに、20時開演だと出足は遅いです。

ピアノの位置はいつも同様左側に引っ張り出してあって上蓋も少し開けてある。
定刻をほんのちょっと過ぎたあたりで演奏開始。

演奏曲は、Jaki Byardの愛奏曲ではなく、作曲したものを選んでおり、アルバムとしてはBlues for smoke(https://www.amazon.co.jp/dp/B000006KNM/ ) からと、Family Man(https://www.amazon.co.jp/dp/B000044U31/ )からの曲とが中心の選曲(本人談)
セットリストを公開されていたので転記させていただきます。
 Pete & Thomas -Tribute to Ticklers
 Chardra
 Aluminum Baby
 Family Suite -Gaeta, Garr, John Arthur
 Twelve
 Just Rollin' Along
 European Episode
 enc.) One Two Five

実は、元曲、元の演奏をほとんど知らないので、元がそうなのかそうアレンジして演奏しているのかも判別てきないのだが(汗)、今回聴いていて全体にブギウギ調の演奏が多い印象を持った。
永武の演奏は、
そもそも個人的に特筆すべきところとして、打鍵強め、速弾きが持ち味になっていると思っているところがある(もちろん、エモーショナルなところから、表現の多彩さから、他にもたくさん魅力はある)が、今回の演奏ではそれがより助長しているような、そんな印象をもったが、そんな打鍵の強さにピアノも良く応え、良く鳴っていたと思う。
速いフレーズがこれでもかと繰り出されると、細く長い指が鍵盤を忙(せわ)しなく動くさまが、まるで蜘蛛の足のように怪しくて、そんなのを眺めているのも実はオツだったりする。
半分くらいの曲では譜面を用意して、半分くらいの曲は譜面なしで演奏
楽譜を使う曲の時だけ譜面をピアノの譜面台に置いていたが、その楽譜が演奏の途中で落ちてきて演奏が…なんて場面も。
演奏の激しさに、楽譜が落ちるくらいピアノも揺れているんだろうなと感じさせる。
おおよそ 2〜3曲演奏してMCという流れで進行。
30分も過ぎたところでは、ちょっと息が切れていたのが印象的。
あれだけの音数と打鍵の強さはさすがに体力消耗も激しいんだろうなと感じさせる。
たぶん今回のために演奏する曲を選ぶところから、譜面起こし(見せてもらえば良かった..)なんかもやって、
さらに相応には練習なんかもしていたんでしょうから、準備には相当な時間を割いていたんだろうなと推測。

おおよそ50分強の本編に、アンコールにも応えてくれ、その全部がジャキの曲というレアなライブ。
たっぷりと堪能させていただきました。

魚返明未 ソロ(20231118)

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今回が自身の参戦としては2回めとなる魚返明未のピアノソロ。
前回の記録は以下のとおり。
 "魚返明未 ソロ(20230318)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/498636480.html )
実際には、これが3 or 4回目になると思います。
18時開場直後についたら、すでに先客がいらっしゃいましたが、そこからしばらく静かで、開演10分前くらいになって、ぞろぞろと来店されまして、最終的には10人を超えていたと思います。
魚返君は定刻ぎりぎりまで外出されてました。

舞台は、定番配置のピアノを左手前に移動したところ。
定刻を5分も過ぎたところで、そろそろとピアノの前に向かい、最初に来場のお礼を含めたMCから。
魚返のピアノは、旋律としてはうっとりするくらい非常に美しいものであるが、タッチがしっかりしている分、意志の強さというか、ある種の強さを垣間見せるもの。
フレーズも、スウィング感というよりは抽象感を前面に出しているようなちょっと難解な雰囲気を感じる場面も。
そんな演奏なので、前回は全身を使いまくっての演奏という様相だったが、今回は、唸り声を発し、足を揺らす場面はあったものの、よりピアノ(白鍵と黒鍵)に対峙することに集中しているような印象。
たぶんだが、(素人なのであてずっぽう)要所にちょっとだけ普通と違う音を入れてくることで、独特の雰囲気を作り出し、それが個性的なサウンドに繋がっているんじゃないかと今回感じた。

おおよそ、次の1曲をエピソード含め紹介して演奏、連続して2曲演奏したところでMC。
その2曲の曲名を紹介をし次の1曲を紹介して演奏開始というペースで進行。
演奏した曲は、新曲を含めたオリジナルを中心としたもので、井上とのデュオ盤(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/487809305.html )から、もず, サイクリングロード、"はしごを抱きしめる"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64675267.html )からタイトル曲などを演奏していたか。
他は、Duke Ellingtonを多めに選んで弾いていたと思う。
1stセットが50分くらい、2ndセットはしっかり1時間。にアンコールにも応えてくれ、たっぷりと魚返ワールドを楽しませてもらいました。

"Foresight" 大林武司

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大林武司のリーダー作を聴くのはこれが初になります。
過去に、黒田卓也、石川紅奈のアルバムに参加しているのは聴いています。
 "Zigzagger" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63889659.html )
 "Fly Moon Die Soon" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/492782568.html )
 "Kurena" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/499576865.html )
たぶんですが、Tokyo Jazzだったかで、workshopみたいなことをやってるときに彼が出演していてそれを見たような気もするのですが、記憶定かではありません。
本作は石若駿が入っていて食指が動いたのですが、半分だけだったのでちょっと悩んで結局購入を決めています。

メンツは以下のとおり。2つのトリオと、ソロで1曲演ってます。
Trio Standards(1,4, 5)
大林武司(P)、粟谷 巧(B)、石若 駿(Ds)
Trio Renaissance(2,3,7)
大林武司(P)、小川晋平(B)、中村雄二郎(Ds)
Solo(6)
大林武司(P)

演奏曲は、大林のオリジナルが3曲、Alan Jay Lerner, Victor Young, Miles Davis, Ornette Colemanで全部で7曲。
1. If Ever I Would Leave You
2. Stella by Star Light
3. V.S.
4. Four
5. Lonely Woman
6. Portrait of Bill
7. Foresight

大林のピアノは、タッチは全体としては強めで、あまり音を響かせないタイプの弾き方と聴いた。
単音弾きよりも 2.3音一緒に弾くようなスタイルで弾く場面が多めで、そこでリリカルな雰囲気を出してきているような印象。
さすがに速いフレーズは単音攻めに転じるが、そんな場面はタッチを強くして演奏を盛り上げてくる
さらに要所ではカッと堅い音でサウンドを引き締めるような所作もみせ、メリハリのある演奏は美しさと派手さを両立しているような感じ。
7曲めのタイトルはBill Evansのことだと思うが、あまり大林のピアノからBill Evansのリリシズムは感じられないかなぁ..
このアルバムには、2つのトリオでの演奏が含まれているが、石若のドラムは軽やかなフットワークを見せるようなもので、対する中村のドラムは重量感を感じさせるようなもの。
ベースも石若と組んでいる粟谷のほうが幾分軽やかな印象で、石若入りバンドのほうが全体に軽やかな演奏になっている感じ。
曲は、Miles Davis, Ornette Colemanなのであえてそういう演奏にしているんでしょう。

ベストは1曲めにします。

"Foresight" 大林武司 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CDDJ7LKK/ )

"Beyond Orbits" 挾間美帆

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現在、挾間は2つのバンドを抱えていて、1つはこのm_unit、もう1つはDR Bigband。
本作は、m_unitによる3枚めのアルバムということになります。
過去作は以下のとおり。
 "Journey to Journey" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61742419.html )
 "Time River" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63486002.html )

メンツは、ちゃんと確認していませんが、M_unitとして核になる人はいそうですが、流動的なパートもありそう。
来日公演は、すべて日本人で演ってました。
Miho Hazama(Cond)
Steve Wilson(As,Ss,Fl)、Jeremy Powell(Ts,Cl)、Jason Rigby(Ts,Cl)、Andrew Gutauskas(Bs,Bcl)、Jonathan Powell(Tp,Flh)、Adam Unsworth(Flh)
Tomoko Akaboshi(Vln)、Ben Russell(Vln)、Maria Im(Vln)、Atsuki Yoshida(Viola)、Matt Consul(Viola)、Meaghan Burke(Cello)
James Shipp(Vib)、Billy Test(P)、Sam Anning(B)、Jake Goldbas(Ds)
Christian McBride(B:3)、Immanuel Wilkins(As:8)

演奏曲は、すべて挾間のオリジナルで全部で7曲。
1. Abeam
2. A Monk in Ascending and Descending
Exoplanet Suite
3. I)Elliptical Orbit
4. II)Three Sunlights
5. III)Planet Nine
6. Canʼt Hide Love
7. Portrait of Guess
8. From Life Comes Beauty
弦楽器と管楽器(こちらは主にサックス)とが交互に前面に出て様々なフレーズを重ねていく。
その間を取り持ちながら、自由にフレーズを振り撒いていくようなホルン(とトランペット)という構図で次々と場面を変えて展開していくアレンジが実に楽しい。
曲によって、弦楽器の動きが活発化したり、管楽器の動きが活発化したり、そんな変化が非常に心地良い。
4曲めは組曲の中間部だからか、ビート感希薄で、弦楽器の出番が多い。
6曲めの後半では、サンバを基調におもちゃ箱をひっくり返したようななんて場面も。
全体に、いろんな楽器が複雑なフレーズを駆使して、かなり複雑に絡み合っていて、演奏するには大変そうなアレンジであろうことは、演奏しない身にもひしひしと感じとれる。
もっとも、聴いてるだけの身としては、複雑な雰囲気は感じつつも展開はドラマチックでありながら、ノリが良く気持ち良く聴き通せるサウンドで、全編聴き通しても全然飽きさせないクオリティを持っていて、満足度も充分高く、思わず演奏に没頭してしまう。
いろんな楽器のソロもテンションも高く濃度の高い演奏で、まったくこちらもたっぷりと楽しめる。
この演奏の肝になっているのはたぶんドラマーで、インプロとか創造的な演奏という感じではないのだが、非常に複雑なパターンを、テンポを一切乱さずに、がっつりキープし続けることで、上に乗っかるその他全てのサウンドの根幹を成している。
このドラムあってのM_Unitになってきているんじゃないかと勘繰ったが..。日本では、伊吹文裕が担っていた。

ベストは1曲めでしょう

"Beyond Orbits" 挾間美帆 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0C7BHYTPZ/ )
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