日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

小曽根真 "Road To Chopin"

小曽根真のクラシック挑戦シリーズと言うことになるんでしょうか
ショパン生誕200年ということで、ショパン集になったかはよくわかりません。
なんとなく、たまたまショパンに目が向いた年が生誕200年だったということのような気がしています。
元々、ショパンのピアノが好きなこともあり、リリース情報が流れたときは購入するつもりだったのですが財布の軽さから、いったんwish listの下段に押し下げられていたのですが...。
この盤が実際にリリースされる前後に"題名のない音楽会"に出演して、この盤の片鱗を見せられたことで、中段くらいまでは(購入意欲が)戻っていたのですが、まだひと踏ん張りがつかないでいたところ中古で見つけて思わず入手してしまったという次第であります。

1 ドゥムカ(あるべきもなく)
2 マズルカ 第13番 イ短調 作品17の4
3 ワルツ 第6番 変ニ長調 ≪子犬≫
4 前奏曲 第4番 ホ短調 作品28の4
5 練習曲 第4番 嬰ハ短調 作品10の4
6 前奏曲 第15番 変ニ長調 作品28の15からの即興
7 マズルカ 第24番 ハ長調 作品33の3からの即興
8 ワルツ 第7番 嬰ハ短調 作品64の2
9 マズルカ 第40番 ヘ短調 作品63の2
10 ポロネーズ 第3番 イ長調 作品40の1≪軍隊≫
11 夜想曲 第2番 変ホ長調 作品9の2
12 マズルカ 第2番-ポーランド民謡≪クヤヴィアック≫

元々ショパンのピアノが好きなことは前半に書いていますが、なので原曲に慣れ親しんでいるからかジャズ的アプローチが原曲の良さをスポイルしているなぁと感じられるものも散見していると感じたのは事実です。
音符の進行に手を付けないでテンポの変化だけで、ジャズ的な雰囲気を混入できたら良かったんじゃないのか?
と感じたのは、11曲目のノクターンを聴いたとき。
とはいえ、テンポの遅い曲でのアプローチ、丁寧に丁寧に音を紡ぎ出していく感じがたまらない美しさに満ちていて個人的にはこの辺が好みです。
テンポが速い曲はジャズ的アプローチも過激になりがちのようで、原曲を完全に通り越していてこれはこれでなかなか楽しいといえる演奏になってはいましたかねぇ
途中8曲目でラテンなアレンジになっているのですが、これがchick coreaになっているのはご愛敬?(笑)

功罪としてジャズ的なハーモニーとアレンジが際立っている部分があって、ジャズってこんなだよとクラシックな人に説明するにはいいんじゃないか?とか考えちゃいました。

最初と最後にAnna Maria Jopekの歌唱が入った曲を配しています。途中2曲でGregoire Maretのハーモニカとのデュオが挟まっているのは、アルバムとしてのアクセントを考えたのでしょう。

"題名のない音楽会"でも演奏していましたが、"子犬のワルツ"がこのアルバムの代表曲になるんでしょうね。


小曽根真 "Road To Chopin"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/3769962)

増田ひろみ "Maybe September"

平井庸一さんのバンドで、彼女がこのバンドのキモだろうと気持ちよく音に浸っていた増田ひろみさんのリーダー作がついにリリースされました。

平井庸一関連作品
 "LENNIE'S PENNIES"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/56792626.html)
 "MARIONETTE"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/58718058.html)
 "Live At Pit Inn"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/3796728)
ライブ
 平井庸一バンド(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/58733906.html)
 デュオ(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/58755568.html)

メンツは以下の通りのワンホーンカルテットです。
増田ひろみ(As)、Gene DiNovi(P)、Neil Swainson(B)、Ernesto Cervini(Ds)

演奏曲も、ごくごくオーソドクスなスタンダードを中心とした選曲となっています。
1 Out Of Nowhere
2 You'd Be So Nice To Come Home To
3 Maybe September
4 What Is This Thing Called Love
5 Royal Roost
6 All The Things You Are
7 The Shadow Of Your Smile
8 Tico Tico
9 Fly Me To The Moon
10 When Words Are Not Enough

平井バンドはレニトリスターノを演奏するためのバンドだったのですが、そのバンドでアルトサックスで光っていた奏者ですので、リーコニッツを彷彿とさせる白い(というか少なくとも黒くない)演奏が特徴的ということで、間違いありません。
彼女の、楽曲のキモを的確に掴んで味わい深く表出させるさまは、お見事としか言いようがありません。

楽曲からして往年のジャズを意識していることは想像できますが、演奏スタイルもまったくもって従来のジャズフォーマットから逸脱しておりません。
近年の個人的嗜好からすると、ごくごくオーソドクスというよりは新しいこころみを試していたり若干なりとも前衛感を持っているようなバンドを"うはうは言いながら"聴くことが多いと思っているのですが、このバンドは新しさの片鱗とか全然そんな雰囲気すらみせないのに、なんとも魅せられる演奏になっているのは増田さんを筆頭にした演奏の魅力以外の何ものでもありません。
ということで、バックの演奏も含めて味わい深くしみじみと聴き入るのにふさわしい作品に仕上がっています。

オーソドクスで聴きどころ満載ってわけでもないんですが、不思議なことに何度聴いても飽きない魅力たっぷりの作品なのでありました。


増田ひろみ "Maybe September"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/3796736)

渋さ知らズ "渋夜旅"

渋さ知らズを買うのは"巴里渋舞曲"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/55867783.html)以来となります。
この間に"渋栗"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/3552443)と言うのが出ていますが、なぜかスルーしています。

メンツは多すぎなのは自明なので割愛。

演奏曲は以下の通り。スタジオ録音作ということで、セオリー通り新曲だらけの布陣となっています。
なんとなく、"渋さ"というと、お馴染みの曲のオンパレードというイメージがあるので、ちょっと新鮮な感じがします。

1 ドラゴ
2 権太アジール
3 水の中の虹虫
4 漂海鷂魚(ひょえい)
5 島舞踏
6 渡
7 浮渋
8 ア・デイ・イン・ザ・ライヴ
9 浮渋エピローグ
10 権太チョッパー、パート1

ここでも、前作同様Violin、Guitorといった弦楽器の音が印象的に響いていることに気づくのですが、これは"渋さが管楽器のバンドだ"という刷り込みを持っているからなのかもしれません。

個人的には"渋さ"も音楽としてはそろそろ伝統芸能の域に達したかなという感じがありまして、(個人的には)ほとんど金太郎飴な状態になっている感じで、(個人的には)この盤も前作と入れ替えても違和感ないというか、(個人的には)あまり進化進展を感じさせるものではありません。
ただ、ライブは相変わらずの盛り上がりを魅せているのは"昨年のパワージャズ"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/58733910.html)でしっかり確認しました。
(フリージャズで踊るムーブメントというのを廃らせちゃいけないと、何となく感じています。)
また、中心メンバー以外は結構リフレッシュをしているので、新人(若手)の登竜門 あるいは中央線ジャズへの引導手渡し所、あるいは学校としても機能しているんじゃないかと推測できます。

ということで、この盤はいつもの(カッコ付き)「渋さ知らズ」な音楽は健在であり、それを目的に買っている分には期待を裏切れれることはないのでありました。
さらに、渋さの存在意義についてあらためて考えしっかり納得できたのでよかったかな?なんて思っております。

ただ、次作は買わないんじゃないかなぁ..。


渋さ知らズ "渋夜旅" (http://www.hmv.co.jp/product/detail/3759711)

Hiroshi Minami "Girl Next Door"

南博さんのピアノトリオによる、スタンダード集の第2弾です。
前作は"Like Someone In Love"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/53426957.html)

メンツも前作から不変の以下の通り。
南博(P)、芳垣安洋(Ds)、鈴木正人(B)

演奏曲では、最後にオリジナルのソロ作を入れているのが大きな特徴とのことです。
1 The Girl Next Door
2 Bye-Ya
3 But Not For Me
4 I Loves You Porgy
5 Nefertiti
6 Doxy
7 Blame It On My Youth
8 Goodbye Pork Pie Hat
9 Epilogue

演奏ですが、基本的には前作の雰囲気を踏襲したイメージです。
ミディアム〜スローテンポのものが大勢を占め、くつろぎ、美しさ、癒しを追求した演奏のふりをして、実は内なる熱さをヒシヒシと感じる、ある種の緊張感が漂うような演奏です。
でも、あまり重さは感じません。最近の人気の高さから、精神的に重さをひきづってないんでしょうかね。
南さんは、先日の"Lindenbaum Session"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/59160542.html)の圧倒的な演奏でもウナらされましたが、かなり絶好調的にいい状態が続いているんじゃないかと思います。

あまり真剣に聴かなければ軽く聞き流せると思いますが、しっかり聴いていると迫力感というかかなり圧倒される演奏であります。というのは、南さんのアルバムではたいがい感じることです。
I Loves You Porgy が前作のMy Foolish Heart のように、ビルエバンスな演奏です。
なんだか、こうなるとちょっとユーモアを持って1曲演っているんじゃないかと勘ぐっちゃいます。
今回の盤は、なんだか鈴木さんのベースが良い感じに印象的でした。
南さんのタッチも以前の優しいイメージよりは、多少強さを感じさせる(それでも優しい)ものに変わってきている感じあります。

相変わらず目が離せない存在なんです。ぜひ、国立にも来てくださいね!!


Hiroshi Minami "Girl Next Door"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/3771189)

板橋文夫 "Nature"

先日、ソロライブを見に行ってきた板橋文夫さんの作品です。
ここのところ、旧作復刻が続いているようですが、先日ライブを見た勢いでその中の1枚を思わず購入してしまったというのが実情です。

メンツは、板橋文夫(P)、望月英明(B)、亀山賢一(Ds)が基本。
4,5曲目(がLPのB面)で下記4人が加わっています。
大友義男(Ss)、古沢良治郎(Ds)、初山博(Vib)、山崎弘一(B)

演奏曲は以下の5曲。全部、板橋さんのオリジナルのようです。4,5曲目は組曲になっているようです。
1 ホエン・ユー・スマイル
2 アップ・イントゥ・ザ・スカイ
3 リッスン・トゥ・マイ・ストーリー
4 マクンバ
5 アシュ

板橋さんというと、"わたらせ"(収録の"渡良瀬"と"グッドバイ")が代表作である通り、美麗な曲作りと、それを彼独特の美学で奏でるところに魅力の大半が存在していると思われるのでありますが、この盤は全体的に陽性の曲が多く、美しさにほれぼれすると言うよりは、ノリの良さに聞き惚れるタイプのアルバムと言うことになります。
リズム隊の2人も、このコンセプトにしっかりはまった硬質気味かつアグレッシブなサポートをかましています。

前半3曲がピアノトリオの演奏で、うち前半の2曲は陽性気味の曲の中で、いつもと変わらない板橋節が見事に映える彼のピアノを堪能するにはもってこいって感じです。
3曲目はぐっと美麗な感じの曲調でこれも見事な演奏で聞き惚れてしまいます。
彼の真骨頂はコッチなんでしょうが、他の曲も全然負けていないどころか(正直なところこの盤では)陽性の曲が良く聞こえます。

4曲目から"管""ビブラフォン"などが入ってきますが、音の厚さはしっかり増していますが、全体の雰囲気がガラッと変わるようなことなく陽性の演奏(ちょっと長め)をガッツリ聴かせてくれます。
5曲目が渋めの曲で大団円となります。

元がLPなので、長さ的にはちょいと足りない感じがなきにしもあらずではありますが、美麗方面でなく陽性方面の板橋さんを聴くのも、なかなか趣向が変わって良いもんであります。


板橋文夫 "Nature" (http://www.hmv.co.jp/product/detail/3713465)

佐藤允彦 "My Wonderful Life"

この盤の存在は、12/19開催の2009年4回目の新譜試聴会で知りました。
2007年に逝去した富樫雅彦さんが書きためたバラードばかりを集めた演奏集です。
富樫さん、バラードには相当の拘りがあったようで、2002年に演奏活動を止めた後の作曲活動もほとんどバラードが占めていたとか..。
佐藤允彦さんが発起人となって、ゆかりのある名手3人の管楽器奏者とのデュオを通して、富樫さんの名曲を世に知らしめようと言うのが、この盤の主旨のようです。

その集められたゲストが凄い。富樫さんの人徳の成せる技か。メンツは以下の通り。
佐藤允彦(P)、渡辺貞夫(As)、日野皓正(Tp)、峰厚介(Ts)、山下洋輔(P)

各人がとっかえひっかえ1曲ずつ共演しているので、その内訳を書いておきます。
渡辺貞夫   :1,6,9
日野皓正   :2,5,10
峰厚介    :3,7,11,13
佐藤允彦(solo):4,8,12
山下洋輔   :14

演奏曲は、そういうわけで富樫雅彦さん作曲のバラードが13種類となっています。
1 My Wounderful Life
2 Reminisce-'63
3 Memories
4 Waltz Step
5 Everlasting Friendship
6 Where Am I Going ?
7 Dancing In The Dream
8 Sorrowful Days
9 Today's Feeling
10 I'll Sing For My Friends
11 Till We Meet Again
12 Good Night My Friends
13 The Past Is Beautiful After All
14 My Wounderful Life

正直言いまして、渡辺貞夫さんも日野皓正さんも個人的にはあまり相性がよろしくなく、これまで日野さんのアルバムは買ったことないし、渡辺さんのアルバムはいくつか買ったけどあまり好印象を抱けていないのであります。
ありますが、このアルバムは別格でした。両人の演奏がこんなに良いものかとあらためて感じ入った次第であります。

全曲バラードということで、曲(テーマ)の美しさは格別のものがあり、それを名手4人が様々なフォーマットで表現していくと自然にその音楽に引き込まれていきます。
渡辺さんが旋律をいとおしみつつでもさらりと歌い上げる旋律。日野さんがときに朗々とときに訥々と奏でるフレーズ。峰さんがていねいにていねいに旋律を紡ぎ上げていく。そして佐藤さんのソロがやけに寂しく響く。富樫さんの美意識に深く感銘を受けることができるアルバムになっていると思います。

多少重く響く部分もなきにしもあらず(という意味では、渡辺貞夫演奏部が軽く響くので救われますが)なのも事実なので、そう頻繁には聴か(け)ないですが、たまに引っ張り出してくるという聴き方が吉ではないかと思います。

この重さがキツいのか("佐藤允彦plays富樫雅彦"をリリースしている)EWEからのリリースではなく、ジャズアルバムを出したことない「Ratspack Records」というレーベルが(おそらく説得されて)リリースを担っています。
これが吉と出るか凶とでるか。。実は(いろいろな意味で)ちょっと気になるところであります。


が、この重さがキツいのか、すでに中古でも見かけてます。


佐藤允彦 "My Wonderful Life" (http://www.hmv.co.jp/product/detail/3682445)

zeketsuma akustik Trio "Lindenbaum Session"

松風鉱一さんのアルバムは、"ゲストハウスで昼寝"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/1250803)(未紹介)以来の2枚目の購入です。
松風さんはライブを見るチャンスも実は頻繁にあるのですが、それも未経験。
と、個人的にはなぜかちょっと縁遠い間柄にあるのですが、この盤は昨年4回目の新譜試聴会(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/58901863.html)で聴かせてもらって買わねばならぬと思った盤でありました。もしかしたらその前からウィッシュリストに入れてたかも..(汗)

メンツはドラムレスのトリオで以下の3人。ピアノに南博さんが座っているのが個人的にはかなりポイント高いです。
松風鉱一(Sax,Fl)、南博(P)、吉野弘志(B)

2008年10月5日 習志野にあるリンデンバウムというライブハウスでの収録です。

演奏曲は、以下の8曲。全部松風さんのオリジナルです。
1 トラッシュ・フォー・ラッキー7th
2 トゥアリング
3 エイジアン・ウォーク
4 アウトサイド
5 サード・グラウンダー
6 K2
7 イエロー・サンズ
8 ちりめんじゃこの歌

演奏ですが、まずはフルートからスタート。テンポ遅めの曲が並んでいます。テンポ遅めと言っても、癒し系な演奏と言うよりは1音1音入魂になる遅さという感じで、聴き応えは充分であります。

トリオということで各個人が持っている自由度はかなり高いのですが、フリーにはならないところで3者3様にそれぞれがそれぞれのやり方で1つの曲を紡ぎ上げていく、さらに3人が各人の音をしっかり聴いているからこそ醸し出される心地よい緊張感とあいまって、演奏がとても心地よい。
ドラムは入っていないんですがあたかもドラムがいるが如くのスウィング感に圧倒されます。

個人的には、南博さんの挙動が気になってしまいます。トリオとかソロの演奏に較べれば、アグレッシブな感じではありますが、まごうことなき"南さんのピアノであります"な音とフレーズとで個人的にはニコニコしてしまうわけであります。
おそらく南さんの資質として管が入ると少しアグレッシブ度があがるんでしょう。go thereなんか典型的ですね。

拍手はあまり多くないので、聴衆はあまり多くなかったんでしょう。この現場に居合わせた人がうらやましいです。


松風鉱一 "Lindenbaum Session"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/3664417)

板橋文夫 "North Wind"

前々回(3回目)の新譜試聴会の最後に映像が開陳された"板橋文夫さんのソロピアノ"が音源だけで販売されていることをひょんなことから知りまして、思わず購入した2枚組であります。

1998年北海道北見でのコンサート音源です。

演奏曲は、以下の通り。比較的お馴染みの曲と言える面容となっています。
Disk 1
1.プロローグ−北の街"きたみ"
2.マイフェイバリットシングス
3.チャオプラヤ
4.ニューシネマパラダイス
Disk 2
1.南へ
2.渡良瀬
3.上を向いて歩こう(アンコール)
4.グッバイ(アンコール)

演奏ですが、これは一回映像を見てしまっているのも多分に影響しているとは思いますが、彼の「ピアノ(という楽器)の持つの力をかなりの部分まで引き出」す演奏、奏法に完全に圧倒されてしまいまして、聴いているとグイグイとその音世界に引きずり込まれていく自分にハッと気づくわけであります。
ピアノも鍵盤だけでなく、側板とか弦とか音が出る部分はどこでも縦横無尽に使いきって、さらにピアニカとか、打楽器類まで繰り出して音楽に彩りを添えて、(個人的にはピアノだけで充分満足できると思うが)万人を飽きさせない趣向を凝らしているということなんでしょう。

内容的には、ノってきた(曲が良いことも含めて)後半(=2枚目)のほうが良い演奏になってきていると思いますが、1枚目を含めて全体的にクオリティはしっかり高いことは間違いないので安心して身を任せられるわけであります。

板橋節をご存じの方には板橋節がしっかり楽しめる安心してお薦めできる作品と言い、板橋節をご存じない方には板橋文夫を知るにはこの盤からでも間違いではないですよ。彼の音世界を是非楽しんでくださいと言えるわけであります。


板橋文夫 "North Wind"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/733580)

森山威男 "Live At Lovely"

先日のパワージャズ2009(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/58733910.html)で圧倒され、その前の新譜試聴会(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/58493476.html)での映像で圧倒された板橋文夫のピアノをもう少し聴きたい。まずは1ホーンで聴いてみたいと漁っていて出てきたのが、この作品です。
実は、ずっと以前に、この盤と"Rise And Shine"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/1420589)が並んで中古に置いてあったのを見かけたことがあるのですが、そのときは1枚と決めて、この盤を落としたことがあります。
1990年12/28,29の名古屋の"Lovely"でのライブ録音です。

メンツは、板橋氏を含めた下記の4人となります。
森山威男(Ds)、板橋文夫(P)、井上淑彦(Ts)、望月英明(B)

演奏曲は以下の通り、板橋さんの作品が名曲"渡良瀬""グッドバイ"を含む4曲。スタンダードの"Hush-A-Bye"で全5曲となります。
1.Sunrise
2.Watarase
3.Exchange
4.Hush-A-Bye
5.Goodbye

邦人ジャズを聴き始めて日が浅く、"わたらせ"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/53592320.html)のコメントとか、今読むとかなり冷や汗ものではありますが、あれから急激に耳を成長させた身としては、このアルバムの音は、するすると体に染み込んできますねぇ。
1曲目の重戦車の突進のような重量感のある疾走感。粗さと勢いのあるフリーキーな絶叫に圧倒され
2曲目の渡良瀬で、突然訪れる静寂と不器用な美しさに唖然としてうっとりして
3曲目でまた勢いのある演奏、4曲目が小粋な演奏、で5曲目の大作然とした大仰な演奏で大団円。
本当に、生でライブを聴いているような構成と演奏で(中央線ジャズに毒されていれば絶対に)満足できる逸品に仕上がっているアルバムであります。

中央線ジャズを知らない人に中央線ジャズを教えるのにこの盤を聴かせるのはほぼ間違いのない選択であることも含めて中央線ジャズの究極(中央本線の末端は名古屋(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E6%9C%AC%E7%B7%9A)であることもかけて)をいっていると言っても過言ではない演奏が繰り広げられているわけであります。(言い過ぎかなぁ)


森山威男 "Live At Lovely" (http://www.hmv.co.jp/product/detail/21546)

スガダイロー "黒船 ビギニング"

最近の邦人ジャズピアニストの中では、注目筋の筆頭に近いところに位置しているスガダイローの新作です。

なんでだかよくわかりませんが、立て続けにアルバムリリースをしていまして、思いつくままザザッと並べると以下の通りとなります。(漏れあるかも)
 「スガダイローの肖像」で、彼の懐を全開陳をしたのを筆頭に(この盤が初リーダーではないと思うが)
 「ジャズサムライ」シリーズで、加藤真一との一騎打ちを繰り広げ(3枚目が出てる)
 女性ボーカリスト(誰だったか忘れた)とのデュオ作シリーズがあって(たしか2枚くらいあったような)
 ピアノトリオ作品として、坂本龍馬->黒船 プロジェクトを立ち上げ(これが上下2枚シリーズ)

過去に、私も数枚購入しておりまして以下のような感じで記事にもしております。
 "スガダイローの肖像"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/56941180.html)
 "Jazz Samurai 2"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/57250785.html)
 "坂本龍馬の拳銃"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/58221223.html)
ついでに 生でも数回見ておりまして、ソロだったり、渋さミニちびだったり、打鍵の手が視認できない程の高速フレーズに圧倒されているのでありました。

で、今作は末尾の"坂本龍馬の拳銃"からのピアノトリオ作の2作目で、「須賀大郎短編集」の下巻となっております。
1回の録音(2日間)で良い演奏がたくさん録れちゃったので、2枚に分けてリリースしたということのようです。

メンツは、なので当然の如く前作同様の下記となります。
スガダイロー(P)、東保光(B)、服部正嗣(Ds)
今回は、1曲だけ歌が入っていまして、ベーシストの東保光さんが歌っているようです。

演奏曲は以下の通り。オリジナルが8曲で、スタンダードと題されたメドレーが前作からの恒例となっています。
1. 十二次を行く
2. 上州無宿
3. 黒船
4. 子供の歌 第一番
5. 坂本龍馬の革靴
6. スイングしても意味が無い~セロニアス
7. マイ・ファニー・バレンタイン
8. 清河八郎
9. スタンダード
10. ビギニング
11. 桜


演奏ですが、基本的に前作と大きくは違わないものでありまして、痛快無比、抱腹絶倒、悲喜交々な演奏はこの盤でも健在であります。

相変わらず、9曲目に鎮座する"スタンダード"での神出鬼没的にいろんな曲が出てくる演奏は、痛快の極みなのであります。(こういう演奏好き)
他の曲もダイロー節全開の好演がてんこに詰まっておりまして、好きな人にはたまらない演奏集になっております。

ストイックな正調ジャズピアニストというよりは、多分にエンターテナーな要素を持っているところが、彼の個性と演奏の楽しさを引き出していることは間違いないところではありますが、ただこれだけの頻度でこれだけエンターテナー性の強い演奏のアルバムを出していると(全部を聴いていない私でさえ)多少なりとも、飽きが出てくるところは否めないところであります。
リリース頻度をもうちょっと抑えて、あまり方向性を変えないところで、もう少し趣向を変える(矛盾した内容だ)ようなことを考えないと、リーダーとして作品を出すのがツラくなりそうな気配の予感がしてしまうのは気にしすぎでしょうか?

特に3曲目の冒頭での音に顕著ですが、おそらくこういう音を録音をしているんでしょうけど、なんだかピアノの音が安っぽく(おもちゃのピアノみたいに)響くのは賛否ありそうな気がします。
それとも、録音スタジオのピアノがこういうピアノでそれを逆手にとっているってことなんでしょうかねぇ..。

まだまだパワー衰えずの、勢いのある演奏が楽しめます。まだ未経験の人は、なにはともあれ体験することを強くお薦めします。

スガダイロー "黒船 ビギニング" (http://www.hmv.co.jp/product/detail/3673123)
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